REX-USBDVIを利用する場合には、本体接続前にドライバのインストールおよびユーティリティのインストールを行う。ユーティリティは自動的にはインストールされないうえ、インストールディスクのオートランでも表示されない。そのため、エクスプローラからインストーラを実行する必要がある。説明書を読まずに機器を使用するタイプの人は注意したほうがいいだろう。
ユーティリティをインストールするとシステムトレイに「RATOCマルチディスプレイユーティリティ」のアイコンが表示されるようになる。USB-RGBの場合は、同様に表示されるアイコンから動作モード(ミラー・移動)、解像度、移動モードの場合の位置などを指定することができた。それに対しREX-USBDVIの場合は、基本的にはシステムトレイアイコンからいったんユーティリティを起動し、そこで設定する。ただし、ユーティリティで指定できるREX-USBDVIの設定項目は、ミラーモード・拡張モード(USB-RGBの移動モード)程度で、解像度やモニタ位置などはWindows標準の「画面のプロパティ」で設定する必要がある。
そのほかの機能はUSB-RGBと比べても豊富だ。特徴的なのはホットキーによるマルチディスプレイ間の連携、モニターを移動した際のウィンドウサイズの補正、モニターごとに設定可能な壁紙、などだ。
ホットキーを割り当てられるのは、「現在のアクティブなウィンドウを指定のディスプレイに移動する」「マウスポインタを指定のディスプレイに移動する」の2種類で、それぞれ前のディスプレイ、次のディスプレイ、直接指定の3つのパターンでの指定が可能になっている。マウスポインタの移動では移動先のディスプレイの中央にマウスポインタが移動する。例えば、すでにディスプレイ1にマウスポインタがあるとき、移動先をディスプレイ1に指定するとディスプレイはそのままでマウスポインタが中央に移動する。
ウィンドウの場合はもう少し複雑な動きになる。「ウィンドウサイズの補正」項目が「サイズを固定してウィンドウを移動」に指定されている場合は、ウィンドウのサイズ/位置ともに固定のまま移動する。そのため、移動先のディスプレイでは表示できない位置にあるウィンドウは、移動先の画面外に出てしまう。これらの機能はホットキー、あるいはタイトルバー上のメニューでウィンドウを移動させたときにのみ有効になり、ドラッグ&ドロップなどでウィンドウを移動させた場合はウィンドウサイズは保持される。
各ディスプレイごとにデスクトップの壁紙を設定する機能は非常にシンプルな方法で実現されている。壁紙の設定が行われると、ディスプレイの位置関係を元に全モニタの壁紙を貼り付けた巨大なサイズのJPEG画像ファイルを生成し、それを壁紙として登録する。表示位置を「並べて表示」にしているのがポイントだ。これはREX-USBDVIを使っていない人にも有用なテクニックだろう。
一通りユーティリティの機能をみると、動作モードの設定を除いて必ずしもREX-USBDVIのためのユーティリティ機能、というわけではないものが多い。ウィンドウサイズの補正やホットキーによるウィンドウ、カーソルの移動は各種バーチャルデスクトップソフトに見られる機能だし、解像度の変更などはWindows標準の画面のプロパティから行う。
USB-RGBに比べて、一見ユーティリティの機能が充実しているように見えるが、システムトレイからダイレクトに動作モード、解像度の変更ができないことなども含め、この点の優位性は高くない。もっとも、これらの設定をどれだけ頻繁に変更するか、ということを考えると、それほど不利というわけでもないだろう。
唯一、明らかに劣ると思われるのは、回転機能がないことだ。マルチディスプレイ環境を利用しているユーザーの中には、机上のスペースを確保するためにアームを使っている人も多いと思われるが、アームにはピボット機能(回転機能)が備わっているものが大半を占める。ドライバのバージョンアップで対応できるのであれば対応してもらいたい機能だ。
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