例えば“裸族”で、もっと自由に:一歩進んだHDD活用術(後編)(1/4 ページ)

» 2007年09月10日 20時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

内蔵からの解放

 デスクトップPCのHDDを交換(追加)する場合は、PCケースを開けて3.5インチシャドウベイにHDDを取り付け、電源ケーブルとIDE/Serial ATAケーブルを接続するというのが一般的な手順だ。ただし、たまの作業であれば苦にもならないが、頻繁に行うのはちょっと面倒。HDDを「固定ディスク」と呼称していた大手メーカーもあるくらいで、そもそもHDDは基本的に一度設置したら取り外しはしないものだった。

 もちろん、いまでも大多数のユーザーにとってその状況は変わらない。しかし、HDDをケース内のシャドウベイから解放することで、その利用シーンはぐっと広がるのだ。前編に続き、今回はHDDの解放を手助けするアクセサリを紹介しよう。

交換・増設がより簡単に――リムーバブルキット

 現在、一般的なPC上で動作するOSは、Windows系、LinuxやFreeBSDなどのUNIX系、そのほかBeOSや超漢字など、さまざまな種類がある。中には無料で入手できるものもあるが、興味があるにも関わらず実際に使ってみるところまで至らない場合が多い。

 その理由の1つは「既存のOSと共存させながら新しいOSをインストールするリスクと手間」だ。通常、1基のHDDで複数のOSを利用する場合は、パーティションを切ってマルチブート環境を構築する。しかし、このマルチブートがクセモノだ。各OSは自分自身のブートローダを持っているが、これらがすべてマルチブートに対応しているとは限らない。下手をすると、既存のOSが起動できなくなる可能性もある。

 また、試用後にOSをアンインストールしても、ブートするたびにすでに存在しないOSと既存OSの選択画面が出てしまうということもありうる。OSセレクタのような製品を使う方法もあるが、ソフトウェア的なソリューションではどうしても例外的にうまくいかない構成や、今後登場してくるOSやハードウェアに対応できない場合がある。

 最も確実方法はハードウェア的なアプローチ、つまり使用するOSによってHDD自体を取り換えてしまうことだ。代表的なのは5インチベイにフレームを装着し、カートリッジに収納したHDDを挿入する方法。このリムーバブルキットを使用する方法は、ケースを開けずにケース前面からHDDの交換ができるのがメリットだ。HDDをたまに交換するくらいであれば、その都度カートリッジへドライブを装着すればいい。

 ただしこれだと、頻繁にHDDを交換するのであれば、その個数分のカートリッジを用意しなくてはならない。また、カートリッジの入手が継続的に可能かどうかも重要だ。販売元が生産をやめてしまったり、互換性のない新シリーズに移行してしまったりするとちょっと困ったことになる(ちなみに、筆者が使っているオウルテックの「モービルラック」は息の長いシリーズで、PCショップでも多くのカートリッジが売られている)。

 コネクタ位置まで規定され、挿抜性に優れているSerial ATAに限れば、インナーカートリッジが不要なリムーバブルキットもある。最も早く登場した製品の1つがタオエンタープライズの「EZ-RACK-01W/B」だ。これはカートリッジに入れる代わりに直接ベアドライブを挿入する。交換用のHDDが増えていったとしてもカートリッジを買い足す必要がない。

EZ-RACK-01Wを2台装着したところ。1台をシステムドライブに、もう1台をデータドライブとして活用できる(写真=左)。EZ-RACK-01W/Bには鍵が付いている。盗難防止というよりは稼働中の不用意な開閉防止か(写真=中央)。フロントにはスリットがあるものの、ファンは搭載されていない。吸気に寄与するかどうかはケース内のエアフロー次第(写真=右)

HDDの熱に注意しよう

 さて、ここで紹介するリムーバブルキットと、前編で取り上げたシステムとデータの分割を併用すれば、複数のOSを切り替えつつ、データを共用することが簡単にできる。例えば、Windows VistaとWindows XPの2つのシステムドライブを用意し、その両方で「ドキュメント」や「マイドキュメント」にデータドライブ上のフォルダを指定すれば、普段はVistaを使い、互換性などの問題でXPを利用しなくてはならないときだけXPに切り替える、というような運用もできる。

 このEZ-RACK-01W/Bの進化型とも言えるのがエバーグリーンの「EG-RM300AWH/EG-RM300ABK」だ。Serial ATAベアドライブを直接挿入できるというメリットはそのままに、さらにファンを追加し、冷却機能を強化している。

 通常のATXケースの場合、3.5インチシャドウベイが置かれることの多いフロント下部に吸気用のファンが設置され、熱を背面から排気するというエアフローになる。しかしそのレイアウトだと、5インチベイのあるフロント上部は吸排気の流れから外れ、熱だまりになることが多い。

 これはリムーバブルキットを使用するときの盲点とも言うべき問題点だ。一般的に5インチベイに搭載される機器に比べて、3.5インチHDDは発熱量が高い。その3.5インチHDDを熱がたまりやすい5インチベイの場所に移すわけだから、稼働中のHDDの温度は当然高くなってしまう。この熱はPCの動作を不安定にしたり、HDD自体の寿命を縮める要因になる。

EG-RM400ABKを搭載したところ。ファンが搭載されているため、冷却効果が高い

 そのため、5インチベイを利用するリムーバブルキットを使うときには、HDD用に冷却ファンが必要になる場合もある。実際、筆者が自宅で使っているHDDは、3.5インチシャドウベイでは45度程度だったが、リムーバブルキットに装着して5インチベイに移した結果、数時間の稼働後には熱くて触れないくらいの温度にまで上昇してしまった。

 3台以上のHDDを同時利用するユーザーには、同じくエバーグリーンの「EG-RM400ABK/EG-RM500ABK」がおすすめだ。EG-RM400ABKは5インチベイ2段に3本のHDDを、EG-RM500ABKは同じく3段に4基のHDDを搭載できる。背面にファンを搭載しており、高密度でHDDを設置しながらも実用上問題のない程度まで冷却が可能だ。筆者の場合、先ほどのリムーバブルキットからEG-RM400ABKに交換した結果、3.5インチシャドウベイを使用していたときよりも低温な40度前後にまで抑えられるようになった。

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