「Cell」応用エンジンを組み込んだQosmioに注目の東芝ブースCEATEC JAPAN 2007

» 2007年10月02日 17時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 SpursEngineは、先日東芝が発表したCellベースのストリーミングエンジンで、4つのRISC「SPE」(Synergistic Processor Element)とフルHDのMPEG-2/H.264に対応したエンコード/デコード専用回路で構成される。

Cellを応用して開発された「SpursEngine」は4つのSPEとエンコード/デコード回路を組み込んだダイと2つのXDR DRAMで構成される。外部インタフェースはPCI Expressだ
SpursEngineのデモは、基板に変更を加えたQosmio G40で行われた。説明スタッフによると、SpursEngineを組み込んだ製品は2008年の春もしくは夏モデルに登場する予定で開発が進められているという

 展示では、Qosmio G40に、SpursEngineを組み込んだ特別バージョン(システム基板にSpursEngineを接続するPCI Expressスロットを追加)で各種デモンストレーションが行われていた。その多くが、SpursEngineの画像処理能力をアピールするもので、カメラから取り込んだユーザーの顔をCGのキャラクターに貼り付けてリアルタイムで動かすデモでは、SpursEngineを有効無効にしたときのCPU負荷率の違い(SpursEngineを有効にするとCPU負荷率は劇的に軽減される)を示したり、PCのHDDに蓄積された動画コンテンツから「顔」のシーンを抽出してチャプターを生成する「顔deナビ」とった新しいユーザーインタフェースの提案、東芝独自のアルゴリズムでSD映像をHD相当の映像に鮮鋭化処理を施す「超解像技術」の参考展示が行われていた。

SpursEngineのデモの1つ「FACEMATION」では、カメラで取り込んだユーザーの顔からポイントを抽出し、その動きとCGのキャラクターの動きを同期させる処理を行っていた。その仕組みは「Libretto ff」に導入されていた「Smartface」に近い
SpursEngineの無効、有効でCPU負荷率の違いを見る。CPU METERには、SpursEngineを有効にした後でCPU負荷率が劇的に下がった状況が示されている

FACEMATIONは、SpursEngineの画像処理能力を分かりやすく示すデモであったが、その性能をユーザーインタフェースに応用したのが、「顔deナビ」になる。顔deナビは、SpursEngineの画像処理性能を生かして保存されている動画データを解析し、「顔」のあるシーンを抽出してチャプターを生成する
SpursEngineの画像処理能力を高画質化機能に生かしたのが、「超解像機能」だ。SD品質の映像(画面の左側)を解析して、HD品質相当の映像に補正する


 HDDでも、先日発表されたDTR(Discrete Track Recording)技術を採用したサンプルが参考展示されていた。DTRは垂直磁気記録方式を利用するHDDだが、トラックの間に溝を設けて相互干渉を低減することで、従来の方式と比べて1.5倍の記録密度を実現した技術だ。すでにリリースでは1プラッタ容量120Gバイトを実現したと報じられているが、展示ブースのスタッフは、従来の1.8インチサイズのHDDなら、プラッタを2枚搭載した240Gバイトドライブが実現可能と説明している。ただし、出荷開始にはあと1〜2年はかかる見通しとのことだ。

参考展示されていたDTR技術を採用した1.8インチHDD。東芝では2.5インチHDDへの導入も検討しているという
HDMIで接続したREGZAとQosmio G40による「REGZAリンク」のデモも行われていた。現在、REGZAのコントロール検証ができているのはQosmio G40/97Dのみとされている

東芝ブースでは分解されたdynabook SS RXが展示されていた
同じく、Qosmio G40の分解展示

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