CEATEC 2007で展示されていた自作キーボードは、福井県で木工製品や漆器製品を生産する「山口工芸」が企画する「Hacoa」ブランドの製品だ。
重厚な雰囲気を漂わせるキートップパーツ。見て分かるように「一枚板」から切り出すという、何気に豪勢な仕様になっている。キートップの刻印は“文字通り”彫りこまれているが、彫刻刀で一文字一文字自分で彫ってみるのも一興かももともと、Hacoaブランドでは木製のキーボード「木ーボード」をWebサイトなどで販売していたが、1品1品手作りで作っているため、「1日1個作るのが精一杯」という大量出荷が難しいという事情もあって、価格が「5万円前後」という、なかなか豪快な価格設定がなされていた。
そこで、キーボードユニットとキートップ、そしてキートップに組み込む接続部材などをユーザー自ら組み立てる「木ーボード DIY kit」として販売することで、もう少し購入しやすい価格と出荷数を実現しようと自作キットが企画された。丸紅インフォテック取り扱いで10月末から出荷される予定だ。
CEATEC 2007で展示されていたDIY kitを見ると、メンブレン式のキーボードユニットに、「分割」前のキーボードトップを構成する1枚の「板」、キーボードトップに組み込むスタンドユニット、そして、木工用のこぎりに紙やすり、木製のカット台といった工具がセットになっている。
ユーザーは付属するのこぎりを使ってキートップを1つ1つ切り出し、紙やすりで角を整え、切り出したキートップにスタンドユニットを「ぷちぷち」と組み込み、出来上がったキートップをキーボードユニットに「パコパコ」とはめ込んでいく。素材には薄い色調の「メープル」と濃い茶色の「ウォールナット」が用意され、キートップのフォントは一文字一文字彫りこまれているなど、その外観は、単なる消費財としてのキーボードではなく、手の込んだ工芸品という雰囲気を漂わせている。
予定されている3万4800円前後という価格は、やや高めに思うかもしれない。しかし、キートップを自分の手で切り出し、自分の手でヤスリをかけて整形することで「オンリーワン」が出現する、というユニークな性格に価値を見出せるPCユーザーにとって、物欲をほどよく刺激し、所有欲を十分満たしてくれる“まさに逸品”のキーボードとなるのではないだろうか。

丸紅インフォテックのブースには、HocoaブランドのUSBメモリ(写真=左)や、poderaブランドのデザインUSBハブ、カードリーダなどが展示されていた(写真=右)。HocoaのUSBメモリはキャップの内寸をUSBコネクタより0.1ミリ狭くすることで「ゆるくない、きつくない」という絶妙な感触を実現している
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