これまでのバックナンバー
第1回 線をなくした“最上”マウス――エレコム「M-P3DUR」シリーズ
第2回 Media Center 命”のVista向けキーボード――MS「Wireless Entertainment Desktop 7000」
第3回 Mac印のミニキーボード――PFU「HHKB Lite 2 for Mac」
第4回 “ごろ寝マウス”が地球のキキを救う!?――シグマA・P・O「ごろ寝 リターンズ」
第5回 “小学生だからって甘く見るなよ”な右手/左手切り替えマウス――エレコム「M-EKUR」シリーズ
第6回 見ためが“イカス”快適マウス――MS「Natural Wireless Laser Mouse 6000」
第7回 カ・イ・カ・ン……なホイールがお手ごろ価格で――ロジクール「MX620 Cordless Laser Mouse」
第8回 “ちょい上”キーボードをタッチしてみた――エレコム「TK-P05F」シリーズ
第9回 解き放たれた超軽量・薄型キーボード――シグマA・P・O「Bluetooth Elysium」
ダイヤテックが販売しているFLICOブランドの「Majestouch」(マジェスタッチ)シリーズは、メカニカルスイッチを採用してキーボードのタッチにこだわったモデルで、多彩なラインアップを取りそろえている。今回紹介する「Majestouch Wireless」は、同シリーズ初となるワイヤレスモデルだ。同社のオンラインショップで予約が始まっているほか、7月21日からは一部のモデルがソフマップおよびビックカメラで先行販売される。
インタフェースを従来のUSB(PS/2兼用)から、前回取り上げたシグマA・P・Oシステム販売の「Bluetooth Elysium」(ELBT106シリーズ)と同様にBluetooth 2.0+EDRに変更することで、何かと煩わしいケーブルから解放されたのが最大のポイントだ。出力レベルはClass 2で、約10メートルの範囲でキーボードを利用できる。
USB接続のBluetoothレシーバーは、サイズが19.5(幅)×51(奥行き)×10(高さ)ミリ、重量が約7.4グラムと小型で、対応するプロファイルは下記の表にまとめた。未使用時にカバーをスライドさせることで、USB端子を保護するギミックが施されているのも心憎い。ただ、使用時はBluetoothレシーバー内蔵の青色LEDランプが常時点滅するので、接続する場所によっては目に付く可能性がある。
パッケージには2本の単3アルカリ乾電池が付属し、1日5時間の使用で約3カ月利用可能だ。ちなみに、アルカリ乾電池だけでなくニッケル水素充電池でも問題なく動作した。キーボードの前面部分に電源ボタンがあるのでユーザー自身で節電できるが、5分間キー操作がないと自動的にスリープモードに移行するため、普段はそれほど気にせず扱えるだろう。
対応するBluetoothプロファイル | |
---|---|
DUN | Dial Up Networking |
GAP | Generic Access |
GOEP | Generic Object Exchange |
HCRP | Hardcopy Cable Replacement |
HID | Human Interface Device |
OPP | Object Push |
PAN | Personal Area Network |
SDAP | Service Discovery Application |
SPP | Serial Port |
SYNC | Synchronization |
一方、肝心のキーボードは従来のMajestouchシリーズと同様、ドイツのチェリー製メカニカルキースイッチを採用する。ラインアップは「MXシリーズ」のtactile feel ergonomicタイプ(茶軸)とlinear actuation(黒軸)の2種類があり、それぞれ日本語配列でカナ刻印あり/なし、英語配列(カナ刻印なし)の合計6モデルが用意されている。とくにカナ刻印なしモデルは、キートップの「半角/全角」が「E/J」、「カタカナ/ひらがな」が「Kana 」になり、「無変換」「変換」キーにも独自表記が採用される。
キーストロークは約4ミリと比較的深いものの、接点がキーを約2ミリ押し下げたところにあるため、ノートPC向けのキーボードに慣れているユーザーでも思ったほど違和感なく移行できるだろう。キータッチについては大きく好みが分かれるところだが、右下の表にもあるように茶軸はキーを押下する途中にクリック感があり、黒軸は文字通りリニアに入力感がある。メカニカルスイッチゆえタイプ音はそれなりに発生するものの、キーを強く押し込んでもユニットがしなることもなく、安心して入力できるのは心強い。
キー配列はいたってスタンダードで、不規則な配列は見られない。オーディオ用などのワンタッチボタンもなく、LEDランプもペアリング確認用とバッテリー切れ警告用の2つのみといたってシンプルだ。日本語配列ながらスペースバーは85ミリとゆとりがあるのもうれしい。ただ、電池込みで1166グラム(実測値)とズッシリとくる重量感は、ワイヤレスになって軽快さを求めるユーザーは意外に感じるかもしれない(逆に重厚感は申し分ない)。なお、サイズは434(幅)×138(奥行き)×35〜47.5(高さ)ミリだ。
本製品は、対応OSをWindows VistaとXP(SP2以降)に絞り、OS付属のドライバを利用するため導入はスムーズに行える(Bluetooth用のドライバやユーティリティはパッケージに付属しない)。試しにサポート対象外の初代MacBook“KURO”やプレイステーション 3に接続したところ、問題なく利用できた。
メカニカルキーながら軽快な入力を行えるのが本シリーズの真骨頂だ。安価なキーボードとは一線を画したキータッチは一度体験する価値がある。Bluetoothの採用で取り回しがよくなったほか、ワンタッチボタンを持たないシンプルなBluetoothキーボードとして、数少ない選択肢なのは間違いない。
先行して店頭販売されるソフマップやビックカメラでは日本語配列の4モデルのみ扱われ、実売価格は1万4800円となっている。ダイヤテック オンラインショップでは8月1日発売予定で英語配列モデルが1万4800円、USBアダプタを省いたキーボード単体の英語配列モデルが1万2800円で購入可能だ。好みに応じて決めればいいだろう。
ワイヤレスのFILCOが欲しかったという人には待望の製品だ。Bluetoothの搭載以外に大きく変わったところは見られないが、独チェリー製による“黒軸”と“茶軸”のメカニカルスイッチは、キーボード好きなら一度は触れてみる価値がある。とくに黒軸は、クリック感なしに指がすっと入っていく感覚が実に心地よく、いつもの入力作業が少しだけ上質な時間に早変わりするほど。個人的には、軽いクリック感がある茶軸のほうが取っつきやすく、長文を入力しやすいと感じたが、茶軸は黒軸よりタイプ音がやや大きい点に注意したい(キー入力時にカタカタと鳴る)。
いずれにしても、シンプルで飽きの来ないデザイン、マット調の上品なブラック塗装、定番化しつつあるカナ刻印なしの日本語配列(カナ刻印付き日本語配列モデル/英語配列モデルも用意)、そしてBluetooth 2.0+EDRによるワイヤレス接続と、キータッチからボディまで満足度が高い。この作りならこの価格も十分アリだろう。
まず、つや消しブラックの落ち着いた外観が好ましい。1万円を超える“高価”なキーボードだが、低価格モデルとはまったく異なるキータッチを提供してくれる。茶軸と黒軸の違いはまさに絶妙で、両モデルとも思わずキーを押したくなるが、個人的には確かな“底付き感”がある黒軸が好みだ。ただ、両モデルともメカニカルキースイッチ特有の“カチャン”という音はしないものの、メンブレンタイプなどに比べて入力時の音がそうじて大きめなのは覚えておきたい。
また、もともと35ミリと厚めなうえにスタンドが2段階しかなく、スタンドを立てると高さが47.5ミリにもなる(傾斜がきつくなる)。よりゆるやかな傾斜を保てる多段階のスタンドがほしいところだ。Caps LockやNum LockのLEDランプがない点も、慣れが必要と言える。
主なスペックは下記の通りだ。
製品名 | Majestouch Wireless |
型番 | FKBT104シリーズ |
メーカー | ダイヤテック |
インタフェース | Bluetooth 2.0+EDR(USB) |
キー数 | 108キー |
キーピッチ | 19ミリ |
キーストローク | 4±0.5ミリ |
ワンタッチキー | − |
到達距離 | 約10メートル |
動作時間 | 約3カ月(1日約5時間操作時) |
外形寸法 | 434(幅)×138(奥行き)×35〜47.5(高さ)ミリ |
重量(実測値) | 約1122/1167グラム(電池含まず/含む) |
対応OS | Windows Vista/XP(SP2以上) |
付属品 | Bluetooth USBアダプタ、単3乾電池2本、簡易マニュアル |
カラーバリエーション | ブラック |
実売価格 | 1万4800円前後 |
保証期間 | 1年間 |
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