大画面化した白くて薄い“板PC”を試す――NEC「VALUESTAR N VN750/KG」21世紀版Simplemの進化形(1/2 ページ)

» 2007年10月12日 17時00分 公開
[兼子忍,ITmedia]

17インチワイド液晶モデルを追加してラインアップを拡充

17インチワイド液晶を搭載した「VALUESTAR N VN750/KG」

 ボディの厚さが約40ミリというコンパクトPC「VALUESTAR N」は、2007年度のグッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュなボディと優秀な省スペース性から、NECのデスクトップPCの中で高い人気を誇る製品だ。秋冬モデルでは、待望の17インチワイド液晶ディスプレイ搭載機を投入したほか、従来と同じ15.4インチワイド液晶ディスプレイ搭載機に地上デジタルTV対応製品を用意するなど、全3モデルながら内容の濃いラインアップを展開している。

 もちろん、同社直販のNEC Directでは細かな仕様変更が行える「VALUESTAR G タイプN」が用意されている。

 今回ピックアップするのは、17インチワイド液晶ディスプレイを採用した、秋冬モデルの目玉機種「VALUESTAR N VN750/KG」だ。VALUESTAR Nは本体を薄型化するためにノートPC用のアーキテクチャを採用している。従来と同様に全モデルでAMD製CPUを備えているが、デュアルコアのTurion 64 X2 TL-52(1.6GHz)を搭載するのは本機のみで、残る2モデルには廉価版のMobile Sempron 3400+(1.8GHz)となる。OSは全モデルともWindows Vista Home Premiumだ。

 本機の標準メモリは1Gバイト(512Mバイト×2/PC2-5300対応)をデュアルチャネルで装備し、最大4Gバイトまで実装可能だ。HDD容量は120Gバイト(2.5インチSerial ATA)、光学ドライブはスロットイン式のDVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブと、家庭用PCとしては標準的なストレージ構成になる。グラフィックス機能はAMD M690Vチップセット内蔵のRadeon X1200で、ゲーム用途では物足りないが、Windows Aeroやフリップ3Dを利用するには十分な性能と言えるだろう。

右側面にスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブを内蔵する(写真=左)。ガジェットポケットと呼ばれる収納ボックスを液晶背面に設置できるのが特徴だ(写真=右)

ノートPCよりコンパクトに設置できる優れた省スペース性

 メインカラーにホワイト、アクセントとして両サイドにシルバーを取り入れたカラーリングはシリーズ共通だ。両サイドの支柱と背面の可動式スタンドの3点で本体を支える仕組みにも変更はなく、本体を前後に傾けることで、液晶ディスプレイの角度を無段階に調整できる。

 液晶ディスプレイの大型化に伴い、ボディサイズは最小傾斜時で15.4インチモデルの440(幅)×162.9(奥行き)×316.1(高さ)ミリから440(幅)×180.1(奥行き)×319.2(高さ)ミリへわずかに大型化した。もっとも設置面積自体はさほど変わらず、一般的なA4ノートPCに比べてもコンパクトで済む優れた省スペース性は維持されている。また、本体の重量が約4.2キロとデスクトップPCとしては軽量なので、上部にある大型のフレックスバーを持って簡単に設置場所を移せるのもポイントだ。

 無線接続のキーボードとマウスを採用し、IEEE802.11a/g/b準拠の無線LAN機能を標準で内蔵することから、初回のセットアップは電源ケーブルをコンセントに差し込むだけと非常に簡単で済む。本体を移動する際も電源ケーブルを抜くだけで移動の準備を完了できる(ただしバッテリーは非搭載なため、移動の際には休止状態にするか、電源を落とす必要がある)。使用後に本機を片付けたり、リビングルームとプライベートルームの間を移動して利用するといった使い方も現実的だ。

 付属のワイヤレスキーボードは、実測で約19ミリのキーピッチを確保し、10キーを搭載しながら、奥行きを従来より22ミリ短い150ミリに小型化した。また、Caps LockやNum Lockといったステータスや、マウスとキーボードの電池残量を示すモノクロ液晶が追加され、電池の交換時期を一目で把握可能となったほか、キートップにプリントされた文字を従来より見やすいフォントに変更するなどの改良が加えられている。不規則なキー配列もほとんどなく素直な使い心地が得られるが、唯一DeleteキーがNum Lockの真上に置かれる点には違和感を覚えた。

 なお、キーボード上部に音量調整ボタンと消音ボタン、そして2つのワンタッチボタンと電源ボタンを搭載する。ワンタッチボタンはPC本体の右側にも用意され、本体下の空間にキーボードを収納したままでも、Webブラウザとメールソフトを起動することができる(割り当ての変更は可能)。キーボードとマウスとも、単三乾電池2本を利用するが、いずれも電源スイッチがあるので電池の消耗を最小限に抑えられるのもうれしい。

フォトスタンドのような形状が印象的だ(写真=左と中央)。本体の厚さは約40ミリとスリム。上部に大型ハンドルのフレックスバーを備え、持ち運びも容易に行える(写真=右)。背面上部に排気口を備える。ACアダプタはサイズが50(幅)×128(奥行き)×30(高さ)ミリ、重量が約440グラムある

NECデザインの手による新フォントを刻印した、奥行きを22ミリ狭めた新型ワイヤレスキーボード(写真=左)。Deleteキーの位置を除けば、おおむね不規則なキー配列は見られない。スペースバーの長さは約52ミリで、キーボードの重量は約885グラムある。右上に状態表示用のディスプレイが設置された(写真=中央)。ステップ・スカルプチャー構造を採用し、スタンドを使って2段階に角度調整も行なえる(写真=右)

見ためはそのままに液晶ディスプレイのサイズと解像度をアップ

17インチワイドのスーパーシャインビューEX2液晶を採用する

 液晶ディスプレイはパネルサイズの拡大と同時に、解像度をこれまでの1280×800ドットから1440×900ドット表示に広げたことで、売れ筋の普及型ノートPCよりワンランク上のデスクトップ領域を利用可能になった。NTSC比で約72%の色再現域と高輝度表示が行えるスーパーシャインビューEX2液晶を採用し、DVD-Videoや動画、デジカメの画像などの映像コンテンツを鮮明な画質で楽しめる。専用ユーティリティーの「輝度設定ツール」を使えば、WinDVDやWindows Media Center、Windows Media Player利用時の輝度設定を8段階から指定可能だ。

 半面、光沢液晶ゆえ画面への映り込みが多少気になるほか、Webサイトの巡回やメール作成といった作業には明るすぎるほどで、長時間使用すると目の疲労を誘いそうだが、本体右側の輝度調整ダイヤルで簡単に明るさを調整でき、作業に応じて見やすい表示に設定するのも容易だ。また、このダイヤルをまっすぐに押し込めば、ワンタッチでバックライトをオフにできるのも気が利いている。

 次のページでは、ベンチマークプログラムを使ってPCの性能や騒音をチェックしよう。

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