10月26日18時(日本時間)、「Mac OS X 10.5 Leopard」が世界同時に発売された。2001年3月に登場したMac OS X 10.0から、“Jaguar”“Panther”“Tiger”と来て、そこから数えて約2年半ぶりのリリースになるのだけど、インテルCPUへの移行などもあって、ちょっと間が空いてしまった。その間にアップルコンピュータはアップルへ社名変更まで行っているから、なおさら昔のことのような気がする。
Tigerが発売された2005年4月29日は、気温28度という夏日だった。でも、それ以上に“熱い”人たちがアップルストア銀座の前に集まっていた。そして販売解禁の瞬間には、後から聞いた話では、1000人以上の人が並んだらしい(人が多すぎて自分で数えるのなんてとても無理だった)。
一方、Leopardが発売された先週末は、朝からずっと雨模様。広がる星空をイメージしたLeopardのデスクトップを考えるとちょっと皮肉な感じだ。気温もなかなか上がらず、Tigerのときとはうって変わって肌寒い日だった。でも、アップルストア銀座には恒例の「異様な熱気」が広がっていた。次のOSが発売されるときには、きっとこの光景を思い出すに違いない。
10月26日、筆者がアップルストア銀座に到着したのは午後4時半。アップルストアの入り口は一度閉められ、Leopard発売の準備が始められていた。
その前には、やはり行列だ。そして先頭にいたのは、やはりいつもの彼である。今回は名前出しOKということなので紹介すると、彼は寺本豊季(てらもととよき)さんである。こんにちは、またお会いしましたね、のあいさつをしてからちょっと聞いてみた。
――何時頃いらっしゃったんですか?
「昨日(10月25日)です。会社は半休をとって、15時ごろ来ました」
――えっと、念のために聞くけど、2番めの方がいらっしゃったのは?
「今朝(10月26日)の5時過ぎです」
――それまで、ひとりで。
「ひとりで。オレ、何やってるんだろって考えながら」
――いやいや、それはそれは防衛おめでとうございました。
「ほんとに、はは」
2番めに並んでいたのは、学生服姿の男子。これも話を聞いてみた。
――(今朝5時に着いて)2番めだったっていうのは、どんなかんじです?
「くやしいですよ。でも学校があるから昨日から並ぶというわけにはいかないし」
そうなのだ。彼は中学3年生だったのだ。今朝自分で並んだあと、昼間学校にいっている間は、おばあさまに交替していてもらうという二人三脚でこの位置を守ったのである。
そのおばあさまにうかがったところ、彼の部屋は機械だらけで、なんでこんなにたくさんあるんでしょうっていうくらいキーボードが並んでいるんだそうである。
筆者には想像のつきやすい部屋だが、中学生でそれはかなりうらやましい。ちなみに、古くなったマシンは小学4年生の弟に「お下がり」しているらしい。また、こないだ買った薄いの(どうやらiPod touchのことようだ)で、いろんなところにつないで楽しんでいるんだけど、これで電話のついたのがなんで日本ではまだ出ないんだって怒っています、だそうだ。
そんな彼の将来の夢は、アップルでハードウェアの開発をすること。夢がかなうことを祈る。この歳のころは、好きなことは好きなだけ成長するから、きっとうまくいくだろう。うまくいくといいな。
その後は、始発で着いた組が続く。半日「濃い話」で盛り上がっていたのだろう。そういえば、先頭の寺本さんは、昔“普通に”並んでいた頃、列の先頭のほうの濃い話に参加したいと思って、早くに並ぶようになったのだそうだ。行列の“先頭コミュニティ”ってのが存在するわけだ。
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