液晶一体型デスクトップPCで気になるのは、やはり液晶ディスプレイの表示品質だ。本機の液晶ディスプレイには1680×1050ドット表示の22インチワイドと、1440×900ドット表示の19インチワイド(いずれも光沢タイプ)が用意されている。前者のディスプレイを搭載した評価機は、上下方向の視野角が若干狭く感じたものの、パネル方向を上下に調整するチルト機能で補えることから、視認性に大きな不満を持つことはなかった。
また22インチワイドタイプは、高輝度で色再現性に優れたスーパーシャインビューEX2液晶(19インチワイドはスーパーシャインビューEX液晶)を採用しており、最大輝度でWindowsを操作すると目が痛くなるほどだった。本体前部のカバー内には輝度調整ボタンが用意されているので、映像鑑賞時は最大輝度、Windows操作中はやや輝度を落とした目に優しい明るさと、状況に応じて使い分けられる。また、本体前面の画面消灯ボタンを押せば、ワンタッチで液晶のバックライトをオフにできる。深夜番組を予約録画する場合でも、液晶の光りで睡眠を妨げられる心配は無用だ。
キーボードとマウスは2.4GHz帯の電波を使ったワイヤレス方式で、本体から3メートル離れた位置でも、遮へい物を気にすることなく操作を行える。加えて、キーボードは本体下部に収納できるので、未使用時にもPC周りをすっきりと片付けておける。
アクセスしやすい本体前面のカバー内には、SDメモリーカード/メモリースティックPro/xDピクチャーカード対応のメモリカードスロットと、USB 2.0や4ピンのIEEE1394端子、ヘッドフォン端子も用意されている。さらに地上デジタルTVチューナーを追加すれば、赤外線リモコンも付属するので使い勝手は良好だ。
ここからは、BTOで選択できるパーツを詳しく見ていこう。この時に注意したいのが、TV機能の有無によって選択可能なパーツの種類に違いがあるという点だ。
本機のスペックをカスタマイズする場合、まず最初にベースとなるモデルを「地デジモデル」と「TVなしモデル」から選ぶが、前者はCPUのCeleronなど一部の低価格パーツがBTOメニューから除外される。これは、どんな構成を選んでも地上デジタルTV放送の視聴/録画に必要なパフォーマンスを満たすための措置である。
一方、本機をシンプルな機能の低価格構成で購入したいなら、後者のTVなしモデルを選択することになるが、TVなしモデルでは逆にBlu-ray Discドライブや容量750GバイトのHDDといった高性能パーツが選択不可能になることを覚えておこう。
なお、OSはベースモデルを問わず32ビット版Windows Vista Home Premiumか同Ultimateから選択できる。
まずCPUは、Core 2 Duo E4400(2.0GHz/2次キャッシュは2Mバイト)のほか、廉価版デュアルコアCPUのPentium Dual-Core E2160(1.8GHz/2次キャッシュは1Mバイト)と、シングルコアのCeleron 420(1.6GHz/2次キャッシュは512Mバイト)の3種類から選択できる。
インターネットのブラウズ程度のライトユースであればCeleron 420でもストレスを感じないレスポンスを得られるが、動画編集やデジタル一眼レフカメラで撮影したRAWデータの現像など、CPUに大きな負担がかかるアプリケーションを利用する予定があるなら、Core 2 Duoを選んでおくのがベストだ。Pentium Dual-Coreは低価格でデュアルコアCPUを搭載できる点で魅力的だが、2次キャッシュ容量が1Mバイトと少なく、Core 2 Duoほどのパフォーマンスは見込めないが、ビジネスアプリケーションを快適に使いたい場合など、CPUに極端な負荷のかからないアプリケーションを利用する際の作業性を向上することは可能だ。
メモリは、店頭販売モデルが最上位モデルでも1Gバイトが上限となるのに対し、NEC Directでは4G/2G/1Gバイトの3段階から容量を選択できる。そのうち、2G/1Gバイトでは、搭載するメモリモジュールの数を選択することも可能(2Gバイトなら2Gバイト×1または1Gバイト×2を選べる)で、必要な容量を満たしつつメモリ増設の余地を残しておけるのがうれしい。ただし、メモリスロットに空きを残しておく場合、メモリはシングルチャネルで動作することになるため、デュアルチャネルに比べて若干ながらパフォーマンスが下がることに注意しよう。
HDDは250Gバイト、320Gバイト、500Gバイトのほか、地デジモデルでは店頭モデルを上回る750Gバイトの大容量ドライブを加えた4種類から選択できる。HDD容量は予算が許す範囲で最大の容量を選ぶのが基本だが、特に地上デジタルTV機能を搭載する場合は、ハイビジョン放送の録画領域を確保するためにも、500Gバイト以上のドライブを選んでおくのがベストだ。
ちなみに、本機のHDDベイは水冷システムの一部に組み込まれており、ユーザー自身によるドライブ交換は困難だ。このため、TV録画を重視しない人も、初期状態で可能な限り大容量のドライブを選んでおくことをお勧めしたい。
光学ドライブは、TV機能なしの場合はDVD±R DL対応スーパーマルチドライブのみとなるが、地上デジタルTV機能ありの基本構成では、さらにHD DVDの再生をサポートしたBlu-ray Discドライブを選択することが可能になる。DVDスーパーマルチドライブからの差額が5万6595円と高く、CPUもCore 2 Duo E4400を選ぶ必要があるのでハードルは高いが、2つの次世代規格に対応したハイブリッドドライブの搭載は他社製品にはない大きな魅力である。
グラフィックス機能は、ATI Radeon Xpress 1250チップセット内蔵のグラフィックスコアと、外付けGPUのNVIDIA GeForce 8400M GTから選択できる。インターネットやメールの利用をメインとする場合や、ビジネス用アプリケーションの使用が中心なら、チップセット内蔵のグラフィックス機能でも差し支えはないが、今後ゲームを楽しむつもりなら、GeForce 8400M GTを選んでおくのが正解だ。さらに、HD DVD再生対応のBlu-ray Discドライブを内蔵して市販のHD DVD/Blu-rayタイトルを鑑賞したいならば、HDビデオの再生支援機能「PureVideo HD」に対応したGeForce 8400M GTの搭載は必須となる。
液晶ディスプレイは、1440×900ドット表示の19インチワイドタイプと、1680×1050ドット表示の22インチワイドタイプのいずれかとなる。1920×1080ドット以上の、いわゆるフルHD表示に対応したパネルを選べないのは残念だが、地上デジタルTV放送やHD DVD/Blu-rayタイトルをより高画質で楽しみたいなら、ぜひ後者を選んでほしい。差額は6930円で済み、22インチワイド液晶のパネルには、NTSC比で約72%の色再現域を備えたスーパーシャインビューEX2液晶が採用されるので、解像度だけでなく発色の鮮やかさでも有利となる。もちろん、広いデスクトップを使って効率よく作業を行いたい場合も、22インチのワイド液晶がお勧めだ。さらに、どちらの液晶を選んでも本体の奥行きは253ミリと変わりはない。
無線LAN機能には、IEEE802.11a/g/b準拠に加え、有線LANに並ぶ高速通信を利用できるIEEE802.11n/a/g/b準拠(ドラフト2.0およびJ52/W52/W53/W56対応)のモジュールを選ぶこともできる。手元の無線LANアクセスポイントがIEEE802.11nに対応していない場合でも、将来性を考えれば後者を搭載しておくのが理想だ。差額も3045円と少ない。
さらに、NEC Direct専用モデルならではの特典として、充実した拡張保証を有償で追加できるのも見逃せない。特に基本修理期間を3年間に延長する「PC3年間メーカー保証サービスパック」と、火災や落雷、液体こぼしなど、通常の保証では対応できない破損も修理対象となる「PC3年間安心保証サービスパック」は、安心して本機を使い続けるためにも導入を検討する価値は大いにある。
直販モデルでは、定期的に開催されるキャンペーンも見逃せないところだ。原稿執筆時は、容量500GバイトのHDDから750GバイトへのHDDに+8400円でアップグレードできたり、25GバイトのBD-Rメディアや5枚組DVD-RAMメディアが各105円で購入できたりするウインターセールが開催されていた。本機を購入する時は、キャンペーン情報のチェックを怠らないように心がけたいところだ。
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