今回発表されたGPUの新製品はミドルレンジ(想定される実売価格は79ドルから99ドル)の「Radeon HD 3650」ファミリーと、バリュークラス(想定される実売価格は49ドルから65ドル)の「Radeon HD 3400」ファミリーの2シリーズとなる。いずれも、出力インタフェースにコンシューマー向けグラフィックスカードとしては初めてDisplay Portをサポートするのが特徴だ。
Radeon HD 3650は、従来のミドルレンジラインアップ「Radeon HD 2600」ファミリーの後継で、チップのプロセスルールはRadeon HD 2600の65ナノメートルから、先日発表されたRadeon HD 3800ファミリーと同じ、55ナノメートルに移行した。内蔵される統合型シェーダユニットは120個とRadeon HD 2600ファミリーと同じだが、PCI Express 2.0への対応、DirectX 10.1、シェーダモデル 4.1のサポート、省電力機能「ATI PowerPlay」の実装など、Radeon HD 3800と合わせた新しい機能も導入されている(ただし、構成トランジスタ数は3億7800万個とRadeon HD 2600ファミリーの3億9000万個から減っている)。
コアクロックは725MHz。Radeon HD 3650ファミリーは搭載するグラフィックスメモリとして「GDDR3」と「DDR2」をサポートするが、メモリクロックがGDDR3を搭載した場合で800MHz(DDRの転送レートで1.6Gbps相当)、DDR2を搭載した場合で500MHz(同じく1.0Gbps相当)と異なる。
| Radeon HD 3650 | Radeon HD 2600 XT | Radeon HD 2600 Pro | |
|---|---|---|---|
| 構成トランジスタ数 | 3億7800万個 | 3億9000万個 | 3億9000万個 |
| プロセスルール | 55ナノメートル | 65ナノメートル | 65ナノメートル |
| 統合型シェーダユニット | 120 | 120 | 120 |
| コアクロック | 725MHz | 800MHz | 600MHz |
| メモリクロック | 800MHz(GDDR3)、500MHz(DDR2) | 800MHz | 500MHz |
| 対応バス規格 | PCI Express 2.0 | PCI Express 1.1 | PCI Express 1.1 |
| DirectX | 10.1 | 10 | 10 |
| UVD | ○ | ○ | ○ |
| ATI PowerPlay | ○ | − | − |

AMDが資料の中で示したRadeon HD 3650ファミリーの3DMark06によるベンチマーク結果。グラフ要素は下からGeForce 8600 GT(DDR2)、GeForce 8600 GT、Radeon HD 3650(DDR2)、Radeon HD 3650(GDDR3)。画像左は1280×1024ドットの標準設定で、画像右は1600×1200ドット、4×AA、8×Aniso設定で測定されている
DirectX 10を利用する設定で測定したゲームベンチマークの結果。グラフ要素は3DMark06と同じ。解像度はどちらも1280×1024ドット(BioShockのみ1024×768ドット)、画像左はアンチエイリアスも異方性フィルタリングも無効にした設定、画像右は2×AAの設定(Bioshockは解像度を1280×1024ドットにしてAAは無効、World In Conflictは16×AFにしてある)した条件で測定してる
こちらは、DirectX 9世代のゲームタイトルで測定したベンチマークテストの結果。グラフ要素は上のデータと同様。画像左は1280×1024ドットの設定で、画像右は1600×1200ドット、16×Anisoの設定で行っている
Radeon HD 3650の単体構成(グラフ要素のオレンジ)とCrossFire構成(グラフ要素の赤)でゲームベンチマークテストを行ったときの結果。CrossFire構成において、おおよそ1.4から1.8倍の性能向上が確認されているRadeon HD 3400ファミリーは、上位モデルの「Radeon HD 3470」(想定される実売価格は59ドルから65ドル)と下位モデルの「Radeon HD 3450」(想定される実売価格は49ドルから55ドル)が用意される。対応するグラフィックスメモリがRadeon HD 3470でGDDR3、Radeon HD 3450でDDR2であるほか、コアクロック、メモリクロックがRadeon HD 3470で速く設定されている。それ以外の仕様はほぼ同じで、内蔵する統合型シェーダユニットは40個、PCI Express 2.0、DirectX 10.1、ATI PowerPlayに対応する。
| Radeon HD 3470 | Radeon HD 3450 | Radeon HD 2400XT | Radeon HD 2400 PRO | |
|---|---|---|---|---|
| 構成トランジスタ数 | 1億8100万個 | 1億8100万個 | 1億8000万個 | 1億8000万個 |
| プロセスルール | 55ナノメートル | 55ナノメートル | 65ナノメートル | 65ナノメートル |
| 統合型シェーダユニット | 40 | 40 | 40 | 40 |
| コアクロック | 800MHz | 600MHz | 700MHz | 450MHz |
| メモリクロック | 950MHz(GDDR3)、500MHz(DDR2) | 500MHz | 800MHz | 500MHz |
| 対応バス規格 | PCI Express 2.0 | PCI Express 2.0 | PCI Express 1.1 | PCI Express 1.1 |
| DirectX | 10.1 | 10.1 | 10 | 10 |
| UVD | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ATI PowerPlay | ○ | ○ | − | − |
そのほか、Radeon HD 3400シリーズでは、同日AMDから発表された新しいマルチGPU技術「Hybrid Graphics」にも対応する。この動作の詳細について、1月23日時点で明らかにされていないが、これからAMDから登場する予定のグラフィックスコアを統合したチップセットと、PCI Expressに組み込まれた外付けグラフィックスカードのGPUが連動することで、システムの処理負荷に合わせて利用するGPUを切り替えたり(軽負荷時にはチップセット統合のグラフィックスコアを利用して消費する電力を抑え、重負荷時にはグラフィックスカードのGPUを利用してゲームを快適に動かす)するとされている。

Hybrid Graphicsの構成概念と、AMDが市販ゲームのベンチマークテストで測定したHybrid Graphicsの性能向上データ。システム構成は未発表の「RS780G」とRadeon HD 3450の組み合わせて測定が行われている
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