9時42分に、未来が呼んでいる――「WWDC 2008」直前リポート:WWDC'08いよいよ開幕(2/3 ページ)

» 2008年06月09日 23時36分 公開
[林信行,ITmedia]

70カ国で発売予定の新「iPhone」、米国では即日発売か?

Moscone Westの目と鼻の先にあるApple Store

 新しいiPhoneについてもう1つ気になるのは、明日の基調講演後に即日発売になるか否かだ。1年前の初代iPhoneの発売が世界中のニュースメディアで大々的にとりあげられたこともあり、ニューヨークのApple Storeでは、早くもiPhoneの発売を期待して行列を作る人もでき始めているようだ。

 数日前に、アップル宛とされる大きなコンテナが荷揚げされたといった目撃談もあり、iPhoneかどうかは分からないまでも、明日何らかの新製品が即日発売になる可能性は十分にある。

 ただし、iPhoneの日本での発売はソフトバンクモバイルからも発表があったとおり、まだ先になる。アップルとソフトバンクは、このWWDC期間中、あるいはその後から本格的な交渉を行い、iPhoneの日本での利用に必要な認可の取得についても、そこからスタートすると見られている。これらの認可を得られるのは、早くても今年の秋以降になるだろう。

 iPhoneの発表に関して、もう1つ無視できないポイントがある。それはアップルが、日本のソフトバンクなどを含む合計70カ国での契約を発表する可能性があるということだ。今までiPhoneが正式に発売されていたのが、米国、英国、アイルランド、ドイツ、フランス、オーストリアなど10カ国未満だったことを考えると、これは大きな飛躍である。

 アップルのスティーブ・ジョブズCEOは、5年以上前、iTunes Music Storeのオープンに先駆けて、世界中のアーティストや音楽レーベルに足しげく通って、参加協力を申し込んだように、今回も会社から与えられたジェット機(ガルフストリーム号)を使って、世界のさまざまな国を訪問しては、その国のキャリアとの交渉に積極的にのぞんだと言われている。

 そのかいあっての一気に70カ国との契約締結の発表は、かなりのインパクトをもたらすことだろう。これはiPhone用につくられたアプリケーションが、即座にワールドクラスのアプリケーションになる、という意味であり、またiPhoneで楽しめる音楽/映像コンテンツが即座にワールドクラスのコンテンツになる、ということも指している。

 米国から世界へ、そして日本から世界へ、開発者たちに大きな躍進のチャンスを与えるiPhoneは、まさに開発者にとって理想の開発プラットフォームの1つになったと言える。

 蛇足だが、70カ国のうちのほとんどは、第3世代携帯電話網が敷設されておらず、現行、iPhoneと同じGSMを使うことになる。今回、追加される国には発展途上国も多く、そうした国々にオーバースペックで高価な3G版iPhoneを提供することは考えにくい。そう考えると、冒頭で述べた「高価な3G版iPhoneと安価なGSM版iPhoneの2本立て」という戦略は、正しいように思えてくる。また、今までのiPhoneはPCと連携しないと使えなかったが、発展途上国に市場を広げるとなれば、“次のiPhone”はPCへの依存度が低くなるかもしれない。

 これまではデジタルハブとして、iPodやiPhoneとPCとの連携を重視していたアップルだが、今年の初めに発表したApple TV 2.0からは単体での動作を重視する傾向が見える。実際、スティーブ・ジョブズ氏も、これからの技術革新では、post-PCデバイスと呼ばれるこれらの製品が中心的役割を果たすと語っていた。


 さて、イベント開催前日から、受け付け業務のためにオープンしたWWDCの会場「Moscone West」には、「OS X iPhone」と書かれた横断幕が堂々と飾られていた。

 このiPhoneのソフトウエア基盤である「OS X iPhone」とその開発キットは、すでに世界中のメーカーを魅了し、これまでアップルと縁遠かった開発者たちをMacに移行させるきっかけを与えた(そして多くの開発者がMacでの開発の簡単さに驚きの意を述べている)。今回はそうした勢いもあって、WWDCの参加チケットは、同イベント始まって以来の売り切れとなった。


 ちなみに、WWDCでiPhoneが扱われるのはこれが2回目。ただし、昨年はiPhone用にアプリケーションを開発する手段が用意されておらず、iPhoneが搭載するSafari用のWebアプリケーションを作る、という話が中心だった(このモバイル版のSafariのWebブラウジング環境は、今年後半登場予定のGoogleのオープンソース規格「Android」などでも、ほぼ同等のものが使われる。現在、モバイル端末市場における利用者のシェアが70%を超えており、世界的スタンダードと言っていい)。

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