16:9液晶×ダブル地デジ×BDドライブの美しき調和――「VAIO type F(FW)」を楽しみ尽くす1600×900表示で画面も広大(1/4 ページ)

» 2008年08月01日 11時00分 公開
[富永ジュン,ITmedia]

ハイビジョンとの親和性向上を図りフルモデルチェンジ

「VAIO type F(FW)」

 Blu-ray Discドライブ、HDMI出力、Core 2 Duoの搭載をウリとする“プレミアムホームノート”の「VAIO type F(FZ)」がフルモデルチェンジし、“ハイビジョンAVノート”を製品コンセプトに掲げた「VAIO type F(FW)」が装いも新たに登場した。

 type F(FW)では、ハイビジョンのコンテンツをより深く味わえるように、液晶ディスプレイやAV機能を強化したのはもちろん、ボディのデザイン、キーボード、CPUやチップセットといったプラットフォームに至るまで、大幅に手を加えている。今回は店頭販売向けの最上位モデル「VGN-FW70DB」を入手したので、その実力を探ってみた。

 まずは、デザインから見ていこう。マットな質感の天板中央に大きく「VAIO」ロゴが箔(はく)押しされ、天板のカラーがシルバーからホワイトに変わったという違いこそあれ、液晶ディスプレイを閉じた状態では、type F(FZ)とtype F(FW)の間に大きな差は見られない。

 しかし横から見ると、2008年7月16日に発表された新型VAIOノートの全モデルにわたって採用された「シリンダーフォルム」が、大胆かつ滑らかな曲線を描くとともに、底板はシルバーからブラックに変更されて、ぐっとスタイリッシュで引き締まったイメージとなった。

 液晶ディスプレイを開くと、さらにデザインの変化が感じられる。type F(FZ)ではブラックかホワイトの2色展開だったパームレストとキーボードが、type F(FW)では少し暗めの落ち着いたシルバーのパームレストと、ホワイトで統一された「アイソレーションキーボード」の組み合わせのみに一新されているのだ。

 パームレスト、キーボード上部、液晶ベゼルのカラーがシルバーで統一されたことで一体感が増したうえ、キーボード上部のAV操作ボタンが横長のボタンとなって一列に配置されたことによって目立たなくなり、液晶ディスプレイのラッチレスデザインと相まって、よりすっきりとした、それでいて凝ったデザインに進化したように感じられた。

天板はマットな質感のホワイトでシンプルな作りだが、「シリンダーデザイン」を採用したヒンジ部周辺の曲線的なフォルムは個性的だ(写真=左)。約19ミリピッチ、約2ミリストロークのキーボードは、キーとキーの間隔を離した「アイソレーションキーボード」となっており、隣接するキーをミスタイプしにくくしている(写真=中央)。女性の長いツメでも引っかかりにくい、たわみが少ない、ゴミやほこりがたまりにくいなどのメリットがある。キーボードの上部には、1つのプログラマブルボタンとAV操作ボタンを用意している(写真=右)

サイズ、アスペクト比、色域を改めた新型液晶ディスプレイ

VAIO初採用となる1600×900ドット表示の16.4型ワイド液晶ディスプレイ

 そして、外見で一番目を引くのは、何といっても1600×900ドット表示で16.4型という一風変わったサイズのワイド液晶ディスプレイに違いない。画面サイズがtype F(FZ)の1280×800ドット表示に対応した15.4型から大きくなり、解像度も飛躍的に向上したことで、映像視聴時の迫力と精細さが増している。

 しかも、変わっているのはサイズだけではない。type F(FZ)が搭載していたアスペクト比16:10のワイド液晶パネルを、テレビと同じアスペクト比16:9のワイド液晶パネルに変更しているのだ。これにより、DVD-VideoやBD-Videoの映画タイトルを鑑賞する際、上下の黒帯が少ない状態で全画面表示できるようになった。また、詳しくは後述するが、VGN-FW70DBの場合は地上デジタル放送を上下の黒帯なしで全画面表示できるのもポイントだ。

 横長で高解像度の液晶ディスプレイは、映像の視聴に限らず、一般的な用途であっても、Windowsサイドバーにさまざまなガジェットを表示したり、ブラウザのウィンドウを2つ重ねることなく横に並べて表示したり、と利便性が高い。

ノートPC用の液晶パネルとしては非常に広い色域を確保した

 液晶パネルの表示品質がアップグレードされたのも見逃せない。液晶パネルの表面処理は光沢タイプの「クリアブラック液晶」を継承しているが、これまでの「ピュアカラー90」(xy色度図上でNTSC比90%)のものから、新たに「リッチカラー」(u'v'色度図上でNTSC比100%)のものに変更され、色域が広がっている。ソニーが公表している色度図が、今回からu'v'色度図に変わったため、単純にNTSC比で10%色域が拡張されたとはいえないが、より深みのある「青」の表現が可能となった。

 実際に表示品質をチェックしてみると、暗部の階調が視認しやすくなったことで、少しだけ白っぽい表示に感じられる場合もあるが、高輝度かつ色乗りがよく、全体的には見栄えのする鮮やかな表示だ。1920×1080ドットのフルHDとまではいかないが、1600×900ドットの高解像度もあって、HD映像の緻密(ちみつ)さも十分にある。

 マルチメディア用途に大胆にフォーカスしたこの液晶ディスプレイは、地デジやDVD-Video、BD-Videoを視聴できるPCが欲しいと考える層にとって、これだけで購買の決め手になるほど大きな魅力を持っている。HD対応ビデオカメラで撮影した動画や、高画素のデジタルカメラなどで撮影した静止画を美しい画面で堪能したいといったニーズにも、おあつらえ向きだ。

大型化しつつもコンパクトさに配慮したボディ

標準のリチウムイオンバッテリーは容量11.1ボルト4400mAh、ACアダプタはさすがに大きめだ。2基のメモリスロットとHDDは、ドライバーでネジを回し、底面のカバーを外すだけでアクセスできる

 液晶ディスプレイを大型化しつつ、アスペクト比を16:9の横長にしたことで、画面の横幅は17型(16:10)より約3センチ短く、画面の高さは15.4型(16:10)と同程度に抑えている。

 type F(FZ)は本体サイズが355.8(幅)×254.4(奥行き)×24.9〜34.5(高さ)ミリで、重量が約2.7キロだったのに対し、type F(FW)は本体サイズが384(幅)×261(奥行き)×29〜42(高さ)ミリ、重量が約3.1キロと一回り大きくなったが、画面サイズの割にボディは大型化していない印象だ(テレビチューナー非搭載の場合、最厚部は37ミリ、重量は約3キロとなる)。底面の縁を斜めにカットしたり、ブラックに塗り分けるなどデザインの工夫により、ボディの厚みはさほど気にならない。

 さすがにモバイル用途は難しいが、17型ワイド液晶ディスプレイ一体型デスクトップPCのような感覚で扱える大画面を持ちながら、家庭内で小脇に抱えて手軽に持ち運べるサイズを実現しているのは高く評価できる。

 JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver.1.0)によるバッテリー駆動時間は、標準タイプで約3時間、別売の大容量タイプで約4.5時間と短めだが、ACアダプタのある自室からリビングに持ち運んで、くつろぎながらWebブラウズやメールチェックを行う程度の利用であれば問題ないだろう。

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