またしても先行したモバイルノート――「FMV-BIBLO LOOX R/B70」に迫るSFF版Centrino 2を初採用(1/3 ページ)

» 2008年09月24日 16時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

小型パッケージのCPUとチップセットを世代交代

「FMV-BIBLO LOOX R/B70」

 12.1型ワイド液晶ディスプレイと1.2キロ前後の軽量ボディを備えた富士通のモバイルノートPC「FMV-BIBLO LOOX R」の秋冬モデルが登場した。システムが一新され、インテルのCentrino 2に対応しているのが特徴だ。ここでは2種類用意されている店頭モデルのうち、OSにWindows Vista Business(SP1)を採用する上位モデルの「FMV-BIBLO LOOX R/B70」を取り上げる。

 このLOOX Rは、通常よりもサイズの小さいSFF(スモールフォームファクタ)パッケージのCPU/チップセットを採用しているが、本機ではこれをリニューアルし、他者に先駆けて「Montevina SFF」の開発コード名で呼ばれていた45ナノプロセスルール世代のSFFプラットフォームを採用している。なお、SFFパッケージを用いたインテルのCore 2 Duoは、プロセッサ・ナンバの先頭に「S」が付くことで区別される。

 LOOX R/B70が搭載するCPUは、超低電圧版のCore 2 Duo SU9300(1.2GHz)だ。従来機の低電圧版Core 2 Duo SL7100と比較して、1.2GHzの動作クロックと800MHzのシステムバスは同じだが、2次キャッシュ容量は4Mバイトから3Mバイトへと1Mバイト減っている。だが、45ナノ世代のPenryn(開発コード名)コアにリニューアルされたことで、除算器の追加による浮動小数点演算性能の改善やSSE系命令の演算性能の一部強化などが図られており、特定の動画エンコードなどに有効な新命令のSSE4.1もサポートした。

 また、Core 2 Duo SU9300(1.2GHz)は省電力状態を保存したSRAMを除く、すべての回路をオフラインにすることで消費電力をカットするC6ステート(Deep Power Down Technology)にも対応している。なお、従来のCore 2 Duo SL7100のTDP(熱設計消費電力)は非公表だった(12ワット程度と推測されている)が、Core 2 Duo SU9300では超低電圧版となったことで10ワットに抑えられた。

CPU-Z 1.47の情報表示画面。45ナノのプロセスルール、3Mバイトの2次キャッシュ容量、「Instructions」にSSE4.1が加わっていることなどが確認できる

Intel GS45 Expressには2つの種類がある

 チップセットもSFFパッケージのIntel GS45 Express/ICH9Mを採用する。GS45はIntel GM45 ExpressのSFF版で、インテルが公開しているデータシートによれば、「High performance configuration」とモバイルPC向けの「Low-power configuration」の2種類が用意されており、対応メモリや内蔵グラフィックスのコアクロックなどが異なっているが、当然ながら本機では後者のLow-power仕様で実装されている。前者のほうは主に小型デスクトップ向けなどに使われると思われる。

 チップセットに内蔵されたグラフィックスコアの「Intel GMA 4500MHD」は、DirectX 10に対応し、MPEG-2/H.264/VC-1のハードウェアデコードを含む動画再生支援機能を搭載し、対応ソフトと組み合わせることでHDコンテンツを少ないCPU負荷で再生することができる。本機の光学ドライブはBlu-ray Discドライブではなく、標準的な2層対応DVDスーパーマルチドライブのため、すぐに恩恵を得られるシーンはあまりないかもしれないが、コンテンツのHD化が進む中、熱設計の制限から高クロックのCPUが搭載できないモバイルノートPCにはありがたい機能だ。

 なお、GS45に内蔵されたGMA 4500MHD(Low-Power)の動作クロックは333MHzと、GM45が内蔵するGMA 4500MHDの550MHzより低いこともあり、3D描画性能はあまり期待できない。

PC3-6400(DDR3-800) SO-DIMM対応メモリスロットには底面のカバーからすぐアクセスできる。DDR3 SDRAMモジュールは高速転送に対応するため、配線に特徴がある

 チップセットの変更にともない、メインメモリがDDR2-667(PC2-5300)からDDR3-800(PC3-6400)に変更された点も見逃せない。DDR3はDDR2の高速改良版であり、信号電圧が2.5ボルトから1.8ボルトに変更されたことで、低消費電力にもなっている。

 メモリスロットは底面のネジを2本外してカバーを開くことで、すぐにアクセスできるが、市販されているサードパーティ製のメモリモジュールはDDR2よりもまだ多少割高である点に注意したい。なお、本機が搭載しているメモリモジュールはDDR3-1066(PC3-8500)に対応しているが、チップセットのGS45(Low-Power)がDDR3-800までの対応のため、DDR3-800相当(800MHz)で動作している。

 HDDは2.5インチタイプで、Serial ATA対応の5400rpmモデルを採用しており、店頭モデルのHDD容量は夏モデルの120Gバイトから250Gバイトへと増えている。Office Personal 2007 with PowerPoint 2007(SP1)をはじめ、モバイルノートPCとしてはプリインストールソフトが多いため、購入時の空き容量は約202Gバイトだ。HDDは3D加速度センサによる耐衝撃保護機能も備えている。

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