「いよいよか……」「いやまだ大丈夫」――ツクモ営業中断で周辺ショップの反応は?古田雄介のアキバPickUp!(1/4 ページ)

» 2008年11月25日 12時00分 公開
[古田雄介&ITmedia アキバ取材班,ITmedia]

「今回は寝耳に水だった」――電気街に10月末とは異なる感情が流れる

11月21日に撮影したTSUKUMO eX.の様子

 既報のとおり、11月21日に突然、経営再建中である九十九電機系列店の営業が中断された。融資先のNECリースが担保にしていた商品在庫の差し押さえに踏み切ったためで、当日は商品を運び出すためのトラックが各店の前に何度も駐車した。

 九十九電機が10月30日に民事再生法の適用を申請した際は、それ以前から経営の悪化が周囲でウワサされていたため、ほかのショップも冷静に受け止めていた。しかし、今回の知らせは、ほかのPCパーツショップも「今回は寝耳に水でした。徐々に復調していた矢先なのに、残念」(T-ZONE.PC DIY SHOP)などと語っており、街としても予想外の出来事だったことをうかがわせる。

 あるPCパーツショップの店員氏は「休日中は基本的に商品の仕入れが制限されるので、大型連休の前は大量に在庫を抱えます。NECリースとしては、担保となる商品在庫をできる限り多く差し押さえるために、連休直前のタイミングを狙って担保権を実行したんでしょう。“さあ売るぞ!”と気合いを入れたところに踏み込まれたんだから、九十九電機さんとしても相当やるせないと思いますよ」と内情を分析しながら同情していた。

 差し押さえまで事態が発展したことで、街全体に良くない予想が流れ出したのは確かだ。あるPCパーツショップの店長は「担保権の実行中止を早めに実現できなければ、いよいよ九十九電機は厳しい状態になります。今は経営再建の手足を縛られた状態ですからね。とはいえ、債権者の立場からすれば、今回の措置も正当といえるでしょう。小売業だけなら黒字だったと聞いているので、とにかく残念です」と語る。

 また、別の店員氏は「現状では、別の企業に買い取ってもらうという手も取れない。電気街としては大ダメージですが、もう九十九電機なしの状態を想定して盛り上げることを真剣に考えないといけないかも。今回の事態はPCパーツが売れないから起こったというより、純粋な経営の問題。電気街全体に影を落とすことがないようにしていきたい」と、アキバの将来への危機感を募らせていた。

 その一方で、九十九電機の復活を信じる声もある。PCパーツショップ密集地に建つある店舗では「九十九電機は全国展開しているので、大幅に不採算店舗をカットして売却する手もありますし、ブランド名をほしがる企業も少なくないはず。今までどおりでの復活は難しいかもしれませんが、切れるカードはまだいくつかありますからね。TSUKUMO eX.のビルがPCパーツと関係ない店舗にならないように、何からの手を打って欲しいです。まだチャンスはありますよ」と応援していた。

 なお、NECリースも11月21日のうちに九十九電機に関する公式文書を発表。それによると、担保対象である店舗の商品をNECリース側の許可なく販売し続け、同社が提示した返済計画案も応諾できないとの返答しか届かないため、やむを得ず仮処分の申し立てを行ったという。

 九十九電機は11月25日まで、対外業務を臨時休業する。

11月21日のツクモ DOS/V パソコン館。夜になって明かりがついたが、シャッターは閉じたままだった(写真=左)。同じくツクモパソコン本店(写真=中央)。九十九電機の公式サイトでは、今回の経緯を説明した文書が公開されている(写真=右)

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