「描いた瞬間、“違うな”って思った」――漫画家の卵がワコム「Intuos4」を試す(1/3 ページ)

» 2009年03月26日 10時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo Intuos4

 2007年の秋、“漫画家の卵”を自称するきゅうり氏に“初めてのバーチャルお絵かき”を体験させた。これがきっかけとなって彼は「Intuos3」を購入、通常業務の合間に“乙女ちゃん”なるキャラクターを細々と描いているようだ。そこで今回は、4月2日に発売が決まった「Intuos4」をきゅうり氏に使用してもらい、使い心地やIntuos3との違いを試してもらった。


「描いた瞬間、“違うな”って思った」

 まずIntuos4の主な特徴をまとめることにしよう。

  • 筆圧レベルがIntuos3の1024から2048に向上
  • 筆圧の感知を開始する「ON荷重」が最小1グラムに
  • マットタイプオーバーレイシートの標準採用
  • ユニバーサルデザインに基づく新ボディ&キーレイアウト
  • 有機ELディスプレイやLEDの搭載による操作性・機能性の向上

 ペンタブレットでイラストや漫画を描く人にとって、鉛筆に当たるペン、紙に当たるオーバーレイシートの変化は大いに気になる部分だろう。特に“2倍になった筆圧レベル”はユーザーの興味を引きそうなポイントだが、きゅうり氏が製品に触れてまず感じたのは、「マットタイプオーバーレイシートの標準採用がもたらす描き心地の変化」だという。

 Intuos3の標準オーバーレイシートは紙に比べて摩擦係数が低く、ペンが滑りやすかった。きゅうり氏によれば、「思い通りの線を引くために、紙以上に集中力がいる」状態だったらしい。実際、オーバーレイシートに紙を敷き、その上でペンを使って滑りを抑えるユーザーもいたと聞いている。そうした人にとっては、オプションだったマットタイプの標準採用はうれしいポイントだ。

 「描いた瞬間、“違うな”って思いました。今までなら拡大して描いていたような部分も、線がブレないからわりとそのままで描けてしまうし、紙と鉛筆に近いフィーリングで使いやすい」(きゅうり氏)

photophotophoto 今回レビューに使用したのは223.5×139.7ミリの読み取り可能範囲を持つMサイズモデル「PTK-640/KO」(写真=左)。厚さ12ミリのスリムボディは、机の上に置いたときの収まりもいい(写真=中央)。ファンクションキーの機能を表示する有機EL。ラインアップ中で最もコンパクトな「PTK-440/KO」には搭載されていない。ホイール形状のトラックパッドには、LEDのステータスランプが付いている(写真=右)
photophotophoto すこし短めになった標準グリップペン(写真=左)。ペン置きは替え芯の収納もでき、「替えたいときに“どこやったっけ?”がなくなるから非常にうれしい」と、きゅうり氏もニンマリ(写真=中央/右)

“進化した筆圧機能”を語る前に、大事なこと

 筆圧機能の進化を体感する前にまず注意したいのが、「2048段階の筆圧レベルに対応しているソフトウェアがまだ少ない」という点。もちろん非対応ソフトでもIntuos4を使うことはできるが、従来の筆圧レベル1024での作業となる。説明書を見ると、対応ソフトとしてPhotoshop CS4などを含むCreative Suite 4シリーズ(ワコムの検証ではCS2以降で対応を確認しているが、「PCのスペックによって必ずしも保証できない」として、CS4を推奨している)、Painter IX以降、Photoshop Elements 7(Mac版は同 6)やPainter Essentials 4などが確認できた。

 「Elementsとかはペンタブに付属するんでしょ?」と思うかもしれないが、今回は標準モデルにアプリケーションソフトが付属しない。ソフトが付属するモデルは「Intuos4 Special Edition」という上位モデルとして登場する。

 さらにもうひとつ重要なポイントが、「Windowsで使用する場合はタブレットの設定を変更しないと筆圧レベル2048が発揮されない」ということだ。Macではソフトに適した筆圧レベルが自動で選択されるが、Windowsでは手動で変更する必要がある。そして、まだまだ対応ソフトが少ないためか、デフォルトでは従来の“1024対応”になっている。

photophoto Windowsで筆圧レベル2048対応に設定するには、まず「ワコム タブレットのプロパティ」を開き、下にある「オプション」をクリック、「筆圧レベルの互換性」のチェックを外す必要がある
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