PC冷却台は「どのくらい冷えるか」はもちろんだが、PCを台に置いて変化する「角度」や「高さ」が許容できるかもポイントになる。
12.1型液晶サイズのThinkPad X60を例にすると、ディスプレイ面が約45ミリ、パームレストが約15ミリ高くなり、キーボード面に約6度の角度が付く。個人的には、このくらいなら机のフットスペースが余分に必要になった以外の違和感はなかった。約6度というと、適当に周辺にあったもので例えると……閉じたニンテンドーDS LiteをPCの下に差し入れて角度を付けたくらいだ。なお、本機は接地面が波打つ形状であることを利用し、PCの位置を前後にずらす、あるいは付属フットラバー(設置する位置に応じて、1ミリ〜10ミリほど高さを調整可能)を併用することで、若干の調整も可能だ。
ファンの風切り音は、暗騒音33〜35デシベルほどに下がる“ど深夜の静かな部屋”だと少し気になるかもしれない。ただ、43〜48デシベル(適当な話し声がどこかで聞こえる目安)ほどと少し騒々しい昼間のオフィスで使うなら、風切り音はほぼ気にならなくなる。このほか、“ゴム足”が取れてなくなった老体PCで使うと、ファンの振動を若干感じる。そういったユーザーは付属のフットラバーを効果的に配置して使用するとよいだろう。
騒音レベル | 冷却台なし | 冷却台あり | 差 |
---|---|---|---|
深夜の静かな部屋(暗騒音:33デシベル) | 33.6デシベル | 36.3デシベル | +2.7デシベル |
PC USER編集部(暗騒音:43デシベル) | 43.5デシベル | 45.1デシベル | +1.6デシベル |
ファンから1センチ | 45.1デシベル(電源オフ時) | 47.9デシベル(電源オン時) | +2.8デシベル |
では、どれくらい冷えるか。ベンチマークテストソフトのPCMark05を2回連続でフルテストした後に計測した各所の温度で比較した。
25スリット ノートパソコン用冷却台 | Thinkpad X60 | VersaPro Ultralite タイプVC | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
─ | 冷却台なし | 冷却台あり | 差 | 冷却台なし | 冷却台あり | 差 |
パームレスト | 42.1度 | 38.8度 | -3.3度 | 30.4度 | 29.2度 | -1.2度 |
裏面 | 48.6度 | 38.4度 | -10.2度 | 34.2度 | 31.6度 | -2.6度 |
キーボード面 | 38.2度 | 35.2度 | -3度 | 33.2度 | 32.6度 | -0.6度 |
排熱口 | 48.8度 | 48.9度 | 0.1度 | 34.8度 | 33.6度 | -1.2度 |
テーブル(パームレスト手前) | 27.7度 | 27.8度 | 0.1度 | 27.1度 | 26.8度 | -0.3度 |
テーブル(PC/冷却台の直下) | 37.2度 | 29.8度 | -7.4度 | 31.8度 | 27.6度 | -4.2度 |
数値は確かに下がったが、こんなものかという程度かもしれない。特に、そもそもそれほど熱くならないVersaPro Ultralite タイプVCは、あってもなくても“まぁどちらでもよい”値だ。ただ、ボディの波打つ形状と縦25本のフィンで導かれた“冷風”が手のひらに当たる。これが体感値として大きな効果をもたらすのだ。設置スペースと送風口が余る小型のPCで使用するときの大きなメリットであり、実は本機最大のメリットだと言っても過言ではない。実際に、“手汗”をかいて不快に思うシーンはかなり減った。
PCへの愛着はないのか? それよりなにより「不快」解消が先だ。そう思っていると、ナントカの法則のようにHDDが急にお亡くなりになったりもしそうだが、「パームレストが熱くて、手汗かくので、イヤだ」とつねづね思っているなら一考の価値はあるだろう。
F1レースで、ラジエータ(のエアインテーク)前にドライアイス+ドライヤーのお化けみたいな送風機を置いて冷やしているのを見たことはないだろうか。冷凍庫を探ると、ドライアイスはなかったが「たべられません」の保冷剤があった。
──いつもより冷たい風が吹き出しているような気はします。この場合、導風手段にむだが多いので、強制送風型の何かを自作しようとも思いましたが、おかげさまでさらにむだな作業であることに気がつきました。それ以前に、“たべられません”を直接触った方が冷たくて気持ちがいいです。
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