チップセットでSATA 6Gbpsをついにサポート! AMDの「AMD 890GX」をぐりぐり試すイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2010年03月02日 14時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

統合グラフィックスコアもRadeon HD 4200ベースに進化!

 AMD 790GXの後継となる新しいグラフィックス統合型チップセット「AMD 890GX」が登場した。この製品の登場でAMDのチップセットは、700番台から800番台へと上がることになる。その世代交代に見合う機能強化が図られているのだろうか。まずはAMD 890GXのスペックを確認しておこう。

チップセット AMD 890GX AMD 790GX AMD 785G
PCI Express x16レーン数 16 16 16
CrossFireX x8+x8 x8+x8
それ以外のPCI Express x1(2.0)×6 x1(2.0)×6 x1(2.0)×6
統合型グラフィックスカード Radeon HD 4290 Radeon HD 3300 Radeon HD 4200
コードネーム RV620 RV610 RV620
DirectXバージョン 10.1 10 10.1
統合型シェーダユニット数 40 40 40
GPUコアクロック 700MHz 700MHz 500MHz
サイドポートメモリ
UVD UVD2 UVD UVD2
N-Sチップ間接続バス Alink Express III 2Gバイト/秒 Alink Express II(PCI Express x4)  
サウスブリッジ SB850 SB750 SB750
USB 2.0×14 2.0×12 2.0×12
Serial ATA 6Gbps×6 3Gbps×6 3Gbps×6

 AMD 890GXに統合されたグラフィックスコアはRadeon HD 4290だ。開発コード名でいうところのRV620で、AMD 785GのRadeon HD 4200と同等であり、DirectXのサポートは10.1までとなる。ただし、コアクロックは700MHzに設定されており、AMD 785Gの上位版である体面を保っている。また、AMD 890GXは「UVD2」を統合する点で、AMD 790GXからHDコンテンツ再生能力を向上させている。グラフィックス用のPCI Expressは、16レーン×1、または8レーン×2の切り替えをサポートしている。

CPU-ZのGraphicsタブから見たRadeon HD 4290(写真=左は3D負荷時で、写真=右は2D時)。グラフィックスコアは3D描画時が700MHzで、2D描画では500MHzにダウンする

 このようにノースブリッジ側で目立ったアップデートはない。AMD 890GXの特徴となる機能強化は、サウスブリッジ側の大幅なアップデートにある。AMD 890GXに組み合わされるサウスブリッジチップは、こちらも800番台の「SB850」だ。SB850と従来のSB750を比較すると、いくつか強化された機能があるが、最も注目したいものにSerial ATA 6Gbps(Serial ATA 3.0)のサポートがあげられる。次世代のインタフェースであるSerial ATA 6Gbpsは、現在主流のSerial ATA 3Gbpsと比べ帯域を2倍に高めている。Serial ATA 6Gbpsに関しては拡張カードのほか、専用のコントローラチップを実装したマザーボードも登場している。ただし、新しい規格が本格的に普及するにはチップセットによるサポートが重要だ。

 一方で、Serial ATA 6Gbpsとともに注目されている次世代インタフェースのUSB 3.0のコントロール機能は統合されない。Serial ATA 6Gbpsと比べ、市場に投入された対応機器も多く、メリットを享受するユーザーも多いとみられるUSB 3.0を見送ったのは残念だ。ただし、USB 3.0専用コントローラチップを実装する場合、インテルプラットフォームではPCI Express 1.1 x1接続であるのに対し、AMD 890GXは、PCI Express 2.0 x1(AMD 890GXが6本、SB850が2本)に接続できるので帯域に不安はないとAMDは説明している。なお、SB850はUSB 2.0も従来の12ポートから14ポートへと数を増やしている。

 もう1つ、従来のAMD 790GXから異なるのがノースブリッジとサウスブリッジをつなぐバスの仕様だ。従来はAlink Express II(PCI Express x4×2)だったのが、AMD 890GXでは「Alink Express III」を採用する。ただし、現時点で、このAlink Express IIIの仕様に関しては「帯域が2Gバイト/秒」としかAMDは説明していない。これが片方向の速度とすれば従来のAlink Express IIから2倍に引き上げられたことになるが、双方向でのスペックとなると従来と同じということになる。

次世代インタフェースをサポートするのが最大のメリット

 実際のAMD 890GX搭載マザーボードを見てみよう。今回評価機として試用したのは、ASUSの「M4A89GTD PRO/USB3」だ。大きめのヒートシンクを搭載し、USB 3.0対応のハイエンドモデルだ。

AMD 890GX搭載マザーボードの「M4A89GTD PRO/USB3」(写真=左)。2本のPCI Express x16スロットのうち上段のスロットには「VGA Switch Card」が装着されていた(写真=右)

IGP側チップの横にはサイドポートメモリも実装する(写真=左)。使われていたのはHynixの「H5TQ1G63BFR」で、容量128MバイトのDDR3-1600メモリだ。サウスブリッジチップにはSB850の刻印が確認できる(写真=右)

バックパネルのディスプレイ出力はDVI-D、HDMI、アナログRGB出力の3種類(写真=左)。製品名からも予想されるように、USB 3.0をサポートしており、バックパネルには青いUSB 3.0ポート×2が確認できる(写真=右)

 AMD 890GXマザーであることを示すのがグレーに着色されたSerial ATAポートだ。この付近には、“SATA 6Gb/s”という刻印もある。基板でもう1つ注目したいのが、ASUS独自機能である「MemOK」、「Turbo Key II」とともに搭載されている「CORE UNLOCKER」のスイッチだ。マニュアルによれば、複数コアのうちのいくつかをDisableにされたCPUに対し、そのDisableなコアを利用可能にするスイッチとされている。

グレーに塗られた6つのSerial ATA 6Gbpsポート(写真=左)。その上にはJMicronの「JMB361」が搭載されている。ただ、Parallel ATAの制御はSB850に依存するため、JMB361はバックパネルのeSATAを制御しているとみられる。“その手のユーザー”にはSerial ATA 6Gbps以上に注目したい、コア復活が可能な「CORE UNLOCKER」スイッチも搭載されている(写真=右)

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