388グラムのキーボード搭載ミニPC――「Viliv N5」徹底検証これならポケットに入る!?(2/4 ページ)

» 2010年06月28日 17時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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タッチパネル付きの4.8型ワイド液晶を搭載

 OSには32ビット版のWindows 7 Starterを採用している。低価格PC向けの機能制限版なので、個人向けPCで主流のWindows 7 Home Premiumと比べて、Windows Aeroが使えないほか、Windows Media Centerなどのマルチメディア系機能がなく、壁紙/デスクトップテーマの変更ができない。また、「Windows Journal」などのTablet PC向けアプリケーションや、手書き認識に対応した文字入力ツール「Tablet PC入力パネル」といった機能も省かれている。

タッチパネル付きの4.8型ワイド液晶ディスプレイは、1024×600ドット表示だ

 液晶ディスプレイのサイズは4.8型ワイド、画面の表示解像度は1024×600ドットに対応する。Windows 7を標準状態で利用するにはギリギリの解像度だが、ドットピッチ、つまりは表示の細かさを考えると、4.8型ワイド液晶ではこの解像度で限界という印象だ。ボディサイズが小さいだけに仕方がないところだろう。液晶フレームの右上には、130万画素のWebカメラを内蔵している。

 液晶ディスプレイにはタッチパネル機能を搭載しているため、指などで画面に直接触れて操作できる。ドットピッチが狭いため、アイコンやボタンなどが小さく、指ですべてを操作するのは現実的ではないが、製品版ではスタイラス付きストラップが付属するので、小さく表示されているボタンなどを押す操作はスタイラスを使ったほうがよいだろう。Webブラウザのスクロールやデスクトップ上のアイコンをダブルクリックしてアプリケーションを起動するくらいの操作ならば、スタイラスを使わず指でも手軽に行なえる。

 前述したように、Windows 7 StarterではTablet PC関連機能が省かれているため、標準では手書き認識に対応した入力機能が使えない点は少し残念だ。画面の回転を行うためのボタンなども特に用意されておらず、タッチ操作をメインにするには少し機能不足といえるが、後述するポインティングデバイスやキーボードの操作性がよいため、補助的に利用するなら問題ない。

 液晶ディスプレイの表面には、フレーム部分も含めて光沢パネルが張られているため、照明などの映り込みは少し気になるが、明るくクリアな表示で視野角も特に狭いという印象はなく、視認性は悪くない。手に持った状態では、ヒンジの角度が最大で140度程度まで開くので、見やすい角度で問題なく利用できる。

 ただし、机の上などに置いて使う場合にはちょっと問題がある。机上ではヒンジが135度程度まで開くが、液晶ディスプレイ側の重みでボディの前方が浮いてしまうのだ。ボディが浮かないようにするには115度程度までしかヒンジを開けず、画面が見づらくなる。製品版ではヒンジを開いた状態でも安定して設置できるように、シール付きのゴム足が付属するので、机上で使う機会が多いユーザーはこれを利用したほうがいいだろう。

液晶はタッチパネル対応だが、ドットピッチが狭いため、指でアイコンや文字を選択するのは難しい。細かいボタンを押すときなどは、付属のスタイラス付きストラップを使ったほうがいいだろう
机上では液晶ディスプレイが最大で135度程度まで開く。ただし、115度くらいまで開くと、液晶ディスプレイの重さでボディ前方が浮き上がってしまう(写真では、前方を設置面に接着して撮影している)

個性的なキーボードとポインティングデバイス

キーボードはかな表記なしの5段配列を採用。左上に左右クリックボタンを埋め込んでいる。Delキーの上にオプティカルジョイスティックを備える

 ポインティングデバイスはボディの右奥に「オプティカルジョイスティック」を装備している。文字通り光学式のセンサーで、面積は狭いがわずかな指の動きに反応してカーソルを操作できる。また、マウスの左右クリックボタンに相当するボタンをキーボードの最上段左端に用意しているのもユニークだ。オプティカルジョイスティックの操作感は上々で、ボディを両手で持ちながらでも両手の親指でジョイスティックとボタンを操作でき、少し慣れれば思い通りに操作できるようになった。

 キーボードは、かな刻印のない日本語仕様を採用する。ボディサイズが小さいことから、キーボードは通常より1段少ない5段配列となっており、配置もかなり変則的だ。最上段左端の2つのキーがマウスの左右ボタンで使われているため、ほかのキーが右に寄せられているほか、アルファベットキーが大きめなので、全体に本来右端付近にあるはずのキーが軒並み変則的な配置となっている。半角/全角キーも最下段のスペースバーの右隣にある。また、ホームポジションもかなりボディの右寄りにあるため、机上でタイプする場合は慣れるまでにかなり違和感がある。

 アルファベットキーのピッチは「K」と「L」のみ横10.5×縦11.5ミリと少し小さいが、ほかのキーは横14×縦11.5ミリを確保している(いずれも実測値)。ただ、全63キーと数が少ないため、Fnキーとの組み合わせで入力する共有キーが多い。多くのノートPCで共有キーとされる最上段や最下段だけでなく、2段目や3段目にも多くの共有キーがあるため、慣れないうちは共有されている場所を探すのも少々大変だ。輝度調整やボリューム調整などの機能もFnキーとの同時押しで使えるが、これらについても最初はどこにあるのか少し分かりにくい。

 もっとも、配置に関してはユーザーが慣れることで解決できる問題だろう。ボディを両手でグリップしたまま、親指で押して使うスタイルでは、むしろこのサイズと配置が使いやすい。アルファベットキーはどれも両手の親指が届きやすい位置にあり、サイズも大きめに確保されているので、タイプミスもしにくい。スイッチの反発は強めだが、クリック感がしっかりあって、感触は悪くない。オプティカルジョイスティックと合わせて、この両手でグリップするスタイルでの操作性はよくできている。

オプティカルジョイスティックと左右クリックボタンの配置により、本体を抱えた状態でマウスポインターが操作しやすい
両手で本体を抱えながら、左右の親指で文字を入力するスタイルは使い勝手がいい

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