富士フイルムから2つの光学系と2つの撮像素子を備えた“3Dネイティブ”デジカメの第2弾として登場したのが「FinePix Real 3D W3」。複眼構造や裸眼で3Dを楽しめる背面液晶などおもな特徴は昨年登場した「FinePix Real 3D W1」を引き継ぎ、新たに3Dハイビジョン映像の撮影を可能としたのが最大の特徴だ。
基本的な機能は前モデル「Fine Pix Real 3D W1」(レビュー:3D撮影を手軽に楽しもう――富士フイルム「FinePix REAL 3D W1」)の多くを踏襲しているので、いきなり本題である3Dハイビジョン録画機能について触れていくことにする。
背面のモードダイヤルを「オート」へ合わせ、十字キー右下の「3D」ボタンを押して3Dモードに。そして右上の「動画」ボタンを押せば準備は完了。シャッターボタンを押せば3Dハイビジョンの撮影が開始される。「MENU」ボタンを押せばサブメニューを表示するが、画像サイズの変更(1280×720/640×480/320×240ピクセル)、自動視差調整のオン/オフの2つしか項目はない。本体左上のレバーで視差のマニュアル調整も行えるが、ほぼフルオートと思っていい。
3D撮影時に光学ズームも利用できるが、撮影中のズームイン/アウトはできないので、必要ならば事前にズームを動かして焦点距離を動かしておく必要がある。動画撮影中にピントは開始時の値で固定されるが、露出とホワイトバランスはカメラ任せのオートで自動的に変化する。また、視差も録画を開始した時点の値で固定される。
撮影した動画ファイルは1ファイルに2本の1280×720ピクセル(最大)/24fpsの映像ストリームを保存する「3D-AVI」という独自形式にて保存される(拡張子は.AVI)。このあたりの仕様も既存モデルと変わりない。
本体の背面液晶は表面に凸レンズを設けて左右の目に入る光をそれぞれ制御し立体感を得る「レンチキュラー方式」と呼ばれる方式が採用されており、撮影した3D映像を裸眼で立体視できる。前モデルも裸眼立体視が可能であったが、本製品では立体的に見える範囲(角度)を狭めたかわり、より強い立体感を得られるという。両モデルを並べて比較することはできなかったが、正面から見るとかなり強い立体感を得ることできた。
立体感といっても飛び出すというより奥行きを感じさせるもので、3Dテレビで得られる感覚に近い。歩いている人が画面の奥から手前へ移動する、あるいは、奥に壁がありその手前に動く人がいるといった、「ある程度限定された奥行き」と「手前側に動くオブジェクト」という条件を満たす映像の方がより強く立体感を得られる。
屋外や屋内などいくつかのシーンで3Dハイビジョン撮影を試してみたが、上手に立体感を得られる映像を撮るためのポイントは被写体との距離のようだ。カメラから1.5〜2メートル程度の距離に主被写体を置き、その被写体を画面中央にフレーミングするとうまくいく。並木道のように人間の目が遠近感を得やすい構図でも、意図的に手前の街路樹との距離を前述の距離にした構図とした方が立体感を得やすい。
基本的にフルオート撮影なので撮影設定に気を使う必要はないのだが、注意点を2つばかり。1つめはAF/AEロック。被写体を画面中央に配置しない際には、シャッター半押しでAF/AEロックをしてから撮影しよう。3D撮影という特性上、主被写体にピントがあっていないと、見るときに立体感を得ることができない。なお、3D動画撮影時のAF追尾はないので、「ホームを通過する電車」のような動きのある被写体を撮影しても、電車へAFを合わせ続けることができず、3D映像としてはいまひとつなものになってしまう。
2つめは持ち方。一般的なコンパクトデジカメの感覚で握るように本体を構えるとレンズの指でふさぎがちだ(特に背面液晶側から見て左レンズはボディのフチぎりぎりに配置されているので)。撮影時には“握る”のではなく、側面を“指でつまむ”ようにホールドしよう。
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