24型VA液晶ディスプレイで日本市場に食い込む――ベンキュー新製品展示会

» 2010年09月08日 20時03分 公開
[ITmedia]

主力は24型ワイドのフルHD液晶、“VA LED”でシェア拡大を目指す

会場には「nReader K60」が展示されていた。BenQは中国、台湾で先行して電子書籍端末にも参入しているが、ベンキュージャパンも2011年初頭に次モデルの「K61」を投入する予定だ

 ベンキュージャパンは9月8日、先日台湾で行われたBenQのグローバル事業戦略説明会「GLOBAL DISTRIBUTORS' MEETING 2010」(以下、GDM2010)を受けて、日本でも新製品展示会を実施した(関連記事:タブレット端末やプロジェクター内蔵ビデオカメラも登場――BenQが「GLOBAL DISTRIBUTORS' MEETING 2010」を開催)。

 ワールドワイドで事業を急速に拡大しているBenQに対して、日本では「まだまだ挑戦者」(ベンキュージャパン代表取締役社長のマーティン・モーレ氏)という立場にあるベンキュージャパンは、国内市場に投入する製品も大幅に絞り、主に液晶ディスプレイとDLPプロジェクターに注力している。ここで紹介するのはすでにGDM2010の会場に並んでいたものだが、ベンキュージャパンが日本で販売する新製品を改めて紹介していこう。

 今後同社の液晶ディスプレイで主力となるのがVA方式のパネルとLEDバックライトを採用したモデルだ。この新しいラインアップは、TNよりも高いコントラストと広い視野角を持ちながらIPSとTNの価格差を埋める、薄型かつ省電力な製品として期待されている。24型ワイドのフルHD液晶「VW2420H」は9月3日より販売が始まっているが、これ以外にも10月以降に投入予定の新モデルが参考展示されていた。

9月3日に発売されたVA LEDを採用する24型ワイド液晶「VW2420H」(写真=左)。デザインコンセプトはスリムボディの「V2420HP」を引き継いでいるが、台座のフチやロゴの色をゴールドに変えてプレミアム感を出している(写真=中央)。手前がVAの「VW2420H」、奥がTNの「V2420HP」(写真=右)

 その1つが24型ワイドのフルHD(1920×1080ドット)液晶ディスプレイ「EW2420」だ。「E2420HD」の後継に位置付けられる製品で、先日登場したVW2420Hと同等のVAパネルを搭載しつつ、HDMI入力を2系統備えるなど、よりマルチメディア機器との連携を意識したモデルになっている。TNパネルを採用するE2420HDと比較して、コントラスト比は1000:1から3000:1に向上、視野角も上下170度/左右160度から、上下左右178度と広くなっている。正式な発表は2010年9月末、発売は10月上旬を予定しており、実売価格は3万円台後半になる見込みだ。

HDMI(1.3)入力を2系統備えた「EW2420」。TNパネルとCCFLバックライトを採用していた前モデルの「E2420HD」と比較して消費電力が低くなり、視野角も広がっているのが分かる

 このほか、昇降/回転機構を備えた24型ワイド液晶「BL2400PT」も参考展示されていた。BLシリーズは法人ユースとして用意された新シリーズで、VA方式のパネルを採用し、主にWebデザイナーなどの表示品質を重視する層に向けて販売される。回転機構などもその一環だ。また、パネル自体の性能は上記2製品とほぼ同等ながら、入力はアナログRGB、DVI-Dのほか、HDMIではなくDisplayPortとなっている点が異なる。さらに本体前面下部に人感センサーを備えており、使用者がいないときは電源を自動的にオフにする機能を持つなど省電力設計となっている。価格は3万円台後半で、10月初旬に発売される予定。

178度の視野角を持つVA方式のパネルを採用。TNよりも色表現に優れ、Webデザインなどのビジネス用途を想定しているという。本体はスイベルや高さ調節、回転にも対応する。Ecoセンサーと呼ばれる人感センサーを前面下部に内蔵しており、席を立つと自動的に電源がオフになる。センサーの感度は3段階で設定可能だった

 なお、今後同社が発売するVA方式のLEDバックライト液晶を採用したモデルは、24型ワイドクラスの製品ばかりだ。当初は21.5型ワイドでも投入計画はあったようだが(実際、ワールドワイドではラインアップされている)、21.5型ワイドクラスは価格競争が厳しいという判断で日本市場への投入は見送られている。そもそもベンキューは、24型ワイドでいち早くHDMIを搭載し、LEDバックライトを採用した薄型モデルを投入するなど、同クラスでの影響力が強く、今回の“VA LED”でも継続して同様の展開に注力していく方針という。

プロジェクターは短焦点モデルを拡充

MS612ST。オプションの3Dメガネを使うことで立体視にも対応する

 DLPプロジェクターでは、投射可能距離の短いモデルを拡充している。展示会と同じ9月8日に発表された「MS612ST」と「MW811ST」、「MX812ST」も展示されていた。SVGAモデルのMS612STは「MP515ST」の後継機で、投射距離(1メートルで55型サイズ、27型〜300型)や2500ルーメンの明るさを踏襲しつつ、コントラスト比を2600:1から5000:1に向上し、ランプ寿命を最大3000時間から最大6000時間へ延ばした(エコノミーモード使用時)ほか、オプションの3D専用メガネ(3DGS-01)を利用することにより、立体視に正式対応している。また、設置面積は312(幅)×244(奥行き)ミリと広がったものの、高さは30ミリほど低くなった。インタフェースも拡充され、アナログRGB、S-Video、コンポジット、HDMIに加えて、USBメモリ内の画像をPCレスで再生できるUSB TypeAや、USBディスプレイに対応するUSB mini-Bポートも搭載する。実売予想価格は6万9800円前後で、10月上旬に発売される。

 一方、MW811STはBenQ初となるWXGA(1280×800ドット)の解像度に対応したモデル、MX812STはMW811STと同じボディを採用したXGA(1024×768ドット)対応モデルで、前者が1メートルで95型、後者が1メートルで81型の投射が行える超短焦点プロジェクターとなっている。また、3D立体視表示のサポートやUSBメモリからのコンテンツ再生に加え、LAN経由で複数のPCから最大4画面の同時表示が行えるLANディスプレイにも対応している。実売予想価格は、MX812STが19万8000円前後、MW811STが9万8800円前後。いずれも10月上旬に発売される予定だ。

MS612STの上面と背面。設置面積は広がったがやや薄くなった。背面にUSBポートが用意されている(写真=中央/右)。XGA対応のMX812ST(写真=右)

このほか価格や発売時期は未定ながら、同社初のミラー型を採用し、31センチの距離で60型の投射を実現した「MX880UST」(写真=左)や、独自ソフト「PointDraw」と専用ペンを使って投射映像に文字を書ける教育市場向けモデル「MP780ST」も参考展示されていた(写真=中央/右)

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