インタビュー
» 2010年09月30日 08時00分 公開

「ガンダム事典」はこうして作られた「3倍スゴい」データ整理術(2/3 ページ)

[広田稔,ITmedia]

スクリプトでフィルムコミックを作る

 長期間にわたるデータベースの更新に加えて、皆河さんがスゴいのはその活用方法だ。先に紹介したガンダム関連の著作を手掛ける際、必要に応じてFileMakerの機能を生かしている。

 例えば、2001年という早い段階でインターネットを通じたグループワーキングも試した。FileMakerには「インスタントWeb公開」という機能が備わっている。ソフト自体をウェブサーバ化するもので、自宅のマシンをインターネットに公開すれば、外部からウェブブラウザでアクセスし、データベースを使えるようになる。

「ガンダム本を執筆するライター仲間にIDとパスワードを教えて、身内だけで執筆の資料として使っていたんです。でも、当時は回線がISDNで遅かったため、事実上うまくいかなかったんですけどね(笑)」

 スクリプトによる作業の効率化も見逃せない。データベースから必要なものだけ抜き出して、何かの処理をさせるときには、なるべくならコンピューターにまかせたいもの。

 「ガンダムSEEDのフィルムコミックを作る際には、セリフや画像だけでなく、吹き出し、集中線、書き文字までそれぞれデータベースを作りました。そしてプロの漫画家にラフを切ってもらい、どのページに何の要素を入れるかということが決まったら、スクリプトを走らせて各データベースから必要なものを集めて、Illustratorに書き出しています」

 FileMakerには別のデータベースを参照する「ポータル」という機能が備わっている。ページ割り用のデータベースを作り、ポータル機能でセリフや画像といった各データベースを参照するようにして、スクリプトを実行したわけだ。

 必要な要素がIllustratorのファイル上に集まっていれば、あとはそれをコマの形にあわせて変形させていくだけだ。スクリプトによって作業時間を大幅に短縮したという好例だろう。

ネームを切るための資料を作りに、最初はアニメから各シーンのキャプチャを切り出す。そのキャプチャを時系列で並べて、画像の下に台本からスキャンして切り出した台詞を付加していく。これもFileMakerで作成したという(写真=左)。先ほどの資料を元に、プロの漫画家にネームを切ってもらい、使うキャプチャを決める。集中線や書き文字も別途、画像データとしてもらい、データベース化する(写真=右) (C)創通・サンライズ

集版用のデータベースを作り、別途作った画像、セリフ、集中線、吹き出し、集中線のデータベースをポータル機能で埋め込む。あとはスクリプトを走らせてIllustratorに書き出し、整形すれば完成だ(写真=左)。そしてこれができあがったフィルムコミック。失礼を承知のうえだが、最小限の手間でフィルムコミックを作り上げるこのシステムを小説家の方が構築したというのには驚かされた(写真=右) (C)創通・サンライズ

 高機能なデータベースソフトは、レコードを自由に設定できる汎用性の高さが魅力だ。ガンダムとは少し違うが、皆河さんは住所録や出納帳もFileMakerで管理してるという。今の時代、データベースというと住所録や出納帳など、用途を特化したソフトウェアがいくつも出ているにも関わらず、なぜFileMakerなのか。

「専門のソフトを使うと、いつかのタイミングで『これができない』という壁にぶちあたるんです。例えば、フィールドが足りないとか、タグが打てないとか、自動化処理に弱い、といったように。じゃあ、それなら初めから汎用性の高いもので作っておいたほうがいいっていう」

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