データロボティクスの「Drobo(ディー・ロボ)」シリーズは、"ストレージ・ロボット"を意味する名称が付けられたストレージ機器だ。ロボットは一般的に作業を手伝う機械のこと。このDroboによってストレージ管理はどのくらい楽になるのか。今回はDroboシリーズのうち、USB 2.0/eSATA/IEEE1394対応の「Drobo S」とギガビットLAN対応のNAS「Drobo FS」を導入し、その使い勝手を検証する。
Droboシリーズは、データ保護機能を備えつつ、複数のHDD(3.5インチのSerial ATAドライブ)を装着して運用するHDDストレージアレイだ。3.5インチベイを4〜8基備え、装着した複数のHDDを1つの大容量ボリュームとして利用できることに加え、内蔵したドライブのうち1台(設定によっては2台まで)が故障したとしてもパリティデータによってデータの復旧を試みる機能を備えている。
これと同等の機能を備える製品群にはいわゆるRAIDアレイがあるが、Droboはこれらとは少し異なる──RAIDシステムをベースに、そのデメリットを解消した「BeyondRAID」と呼ぶ独自技術を採用する。一般的なRAIDにおける最大の縛りが「同一のドライブで構成しなければならない」ことだが、BeyondRAIDはこれに縛られないのがポイントの1つ。ストレージメーカーも容量も、回転数も、キャッシュ容量も、3.5インチのSerial ATAドライブであればバラバラで構わない。これら仕様が異なるHDDを組み合わせても、きちんとデータ保護とドライブの統合が行われるのだ。
容量の拡張にも柔軟に対応できる。HDD×2の構成を最小に、備えるストレージベイの数いっぱいまで容量を拡張できるのはもちろん、さらに足りなくなったら小容量のHDDから大容量のHDDに差し替えることも手軽にできる。RAIDアレイでは一般的に、同じHDDを複数台用意しつつ最初から全てのベイにHDDを搭載すべきであることが多く、容量を増やしたいならHDDを丸ごと交換する必要があったことに比べると、導入も、運用も「適当なUSB外付けHDDを使う」場合と同程度の簡単さで利用できることが分かる。
なお、HDDをそろえる(必ず同じHDDを用意する)必要がない点は、他方のHDDの故障リスクに対してもメリットとなるだろう。同じHDD複数台を同時購入・導入するとなると(特にRAIDアレイのように同様に負荷がかかる使い方ならなおさら)故障するタイミングが重なる可能性は高くなる。バラバラでもOKということは、余っているHDDを活用したり、後に買い足して拡張できる以外に、このような故障リスクを軽減する効果ももたらすと言える。
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