海外渡航客のみならず、居住者の多くがプリペイドスタイルで携帯電話・モバイル通信を利用するタイ。このほど3Gサービスも始まり、2011年1月現在はデータ通信環境も少しずつだが整いつつあるようだ。今回はタイの首都、バンコクでプリペイドSIMカードやUSBモデムを購入し、モバイルアクセス環境を整える手段を紹介しよう。
タイでは長らく2GのGSMサービスのみが提供されていたが、最近になり同国の通信事業者各社がW-CDMA/HSDPAサービスを開始し、3G利用エリアを広めつつある。CDMA2000方式を採用する事業者もあり、合計5社が携帯電話サービスを展開している。
さて、タイでは一般的にプリペイドサービスが利用されており、その購入には身分証明書も不要だ。そのため、海外からの渡航客も簡単にプリペイドSIMカードを購入できる。例えば、空港の事業者カウンターや街のコンビニエンスストア、PCショップなどで売っている。
バンコク市内の名所の1つ「MBKセンター」という巨大ショッピングモールでもよりどりのSIMカードやスマートフォン、携帯電話、USBモデムなどを購入できる。携帯電話の専門販売店がずらりと並ぶフロアがあるほか、デパートや映画館施設、スーパー、ファッション・ブランドストアなどもあるので、観光・その他物品購入目当てで訪れても楽しめる場所だ。
タイの各通信事業者 | GSM | W-CDMA | 備考 |
---|---|---|---|
AIS | 900M/1800MHz | 900MHz | ─ |
DTAC | 1800MHz | 850MHz | ─ |
TRUE | 1800MHz | 850MHz | ─ |
TOT | 1900MHz | 2100MHz | MVNO多数あり |
Hutchi | ─ | ─ | CDMA2000採用 |
バンコク・スワンナプーム国際空港の到着ロビーにはAIS、DTAC、Trueの通信事業者カウンターがあり、プリペイドSIMカードを販売している。このうちAISとDTACのものは音声通話とデータ通信を利用できるが、(取材当時に)空港で販売されていたものは2Gサービス専用のため、データ通信速度は最大で128kbps(EDGE方式)となる。
両社のうちデータ通信をメインに考えるならばDTACがお勧めだ。データ通信料金は1分あたり1バーツ(日本円換算で約2.7円 2011年1月現在、以下同)、1日上限49バーツ(約133円)で定額利用できる。DTACのプリペイドSIMカードは99バーツ(約269円)。今後の利用のため、SIMカード購入時に100バーツ(約271円)単位であらかじめ追加しておくとよいだろう。ちなみにチャージ(残高追加)はコンビニエンスストアなどで売っているリチャージカードを使い、後からでも簡単に行える。プリペイド残高は、端末から「*101*9#」に発信するとセンターから現在の残高が返信される。
今回はSIMロックフリーのAndroidスマートフォンであるHuawei「IDEOS U8150」(海外販売品)で活用しよう。IDEOSはOSにAndroid OS 2.2を搭載し、テザリング機能を活用してポータブル無線LANルータとしても利用できる。
ちなみにIDEOSは、日本でもイー・モバイル(Pocket Wi-Fi S)や日本通信よりほぼ同等の機能のものを購入でき、同様にSIMロックはかけられていないので、今回のように現地のSIMカードとともにタイでも使える。
DTACプリペイドSIMカード用APN | |
---|---|
APN | www.dtac.co.th |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
利用も簡単だ。IDEOSにDTACのプリペイドSIMカードを入れ、どこかへ発信することで回線が開通し利用可能になる。データ通信は、IDEOSのネットワーク設定よりAPN(Access Point Name)を設定して行う。
なお、DTACを含めたタイの通信事業者の2Gサービスはパケット量ではなく通信時間単位でデータ課金を行う仕組みだ。そのため、課金を止めたい場合(つまり使わない時)は通信・接続そのものをIDEOSの設定で都度オフにしなければならない──ことは念のため覚えておいてほしい。とはいえ、今回選んだDTACは1日上限額の設定があり、つなぎっぱなしでも1日49バーツ分以上残高は減らないのでそれほど心配することはない。
IDEOSのAndroid設定からテザリング機能をオンにすれば、他のノートPCやスマートフォンなどでも通信を共有できるようになる。IDEOSは最大5台(PCへのUSB接続でプラス1台)で同時利用が可能だ。IDEOS単体で通話やメールチェック、WebアクセスなどAndroidスマートフォンとしての機能を利用でき、さらにノートPCなどでも通信を共用できるので、海外でモバイル通信を利用するなら、このようなSIMロックフリーのテザリング機能付きスマートフォンを1つ所持しておくと今後も便利に使えることだろう。
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