第11回 UQコミュニケーションズ野坂社長インタビュー後編「新世代通信のインフラ設備は“むしろWiMAXの方が有利” その理由と2011年度以降の計画」本田雅一のハイスピード・ワイヤレス・チャンネル

» 2011年03月11日 10時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
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WiMAX搭載スマートフォン 「従来の3Gスマートフォンとは考え方がまったく変わる、魅力的な製品になる」

聞き手:本田雅一(以下、本田): WiMAXとKDDIの3Gネットワークをシームレスに連携させてほしい、と考える人はかなり多いと以前より思っていました。そして2月28日、KDDIよりWiMAX内蔵スマートフォン「htc EVO WiMAX ISW11HT」が発表されましたね。

(撮影:平沼久奈) UQコミュニケーションズの野坂章雄社長

UQコミュニケーションズ 野坂章雄社長(以下、野坂氏): WiMAX対応スマートフォンは、従来の3Gスマートフォンとは考え方がまったく変わる新しく魅力的な製品になると思います。

 3Gサービスの場合は、限りある帯域幅の問題から、テザリングなどの(帯域を圧迫する)機能や、最大通信量などを制限せざるを得ません。その点WiMAXは帯域制限を行っておりませんので、いつでも快適にご利用いただけます。

 WiMAX対応スマートフォンは「無線LANスポットを持ち歩くようなもの」です。WiMAXであれば、3Gサービスでは利用できなかったWebサイトやアプリなども最大限に活用することができるようになるでしょう。

 また、膨大な携帯電話の顧客に訴求するようになることで、WiMAX自身の認知が広がる効果も大きいと思います。


photophoto KDDIより発売するWiMAX内蔵スマートフォン「htc EVO WiMAX ISW11HT」。月額525円の追加負担でWiMAXの高速通信が使い放題になる「+WiMAX」のサービスに対応し、WiMAX/3Gどちらのネットワークでもテザリング機能を利用できる

新世代通信サービスのインフラ設備 「同じ基地局が使えるのなら調達コストに差は出ない。むしろLTEよりWiMAXの方が有利」

(撮影:平沼久奈) 聞き手の本田雅一

本田: 今後はLTEに投資が集まっていくであろうから、基地局を含む全体的な調達コストが下がり、先行しているWiMAXよりもLTEの方がエリアは広くなるだろう──という意見がある反面、回線交換は当面3Gベースでカバーして、WiMAX、WiMAX2と強化していくならIPネットワークだけでもいいじゃないか、という声もあります。この点、UQコミュニケーションズはどう考えているのでしょう?

野坂氏: ワールドワイドで見ると、確かにLTEで投資を行っていくと発表した事業者はたくさんあります。北米では最大手のVerizon(ベライゾン)がLTEへの投資を行っていくと発表しました。Vodafone(ボーダフォン)、China Mobile(チャイナモバイル)、ソフトバンクモバイルなどはTD-LTEですね。しかし現実にどうかというと、基地局の主要部分は共通化される方向です。どの通信機器事業者も、勢いのあるところは全対応が当たり前になりつつあります。

 例えば海外のある通信事業者は、LTE(FDD)とTD-LTE、それにWiMAXのトリプル対応基地局の実験を行っています。日本は人口減が問題にはなっていますが、人口が増えているエリアを考えると、スマートフォンの普及と高性能化でどこまでトラフィックが増えるか予想できません。複数の方式を同じ基地局でカバーするのは、複数方式に対応し、それにより周波数帯を分け、トータルの帯域を広げる──ことで、モバイルデバイスのデータトラフィックをハンドリングしようという意図があります。

 世の中にあるものは全部やります──と、ある海外ベンダーは言っています。LTEもWiMAX(あるいはWiMAX2)も、信号処理の世代としては同じです。多重化の方法には時分割と周波数帯分割がありますが、これは電波の使い方の問題です。すべての機能を1チップにまとめるのであれば、全対応はそんなに難しくないのではという議論があり、実際にその方向に向かっていると思います。

 このため、同じ基地局が使えるのなら調達コストに差は出ませんし、回線交換機能がない分、設備的には軽くなるので、むしろLTEよりWiMAXの方が設置コストが安く全体的にリーズナブルとも言えます。



本田: 最後にWiMAX2について、開始時期やサービス内容、展開方法などについて話を聞かせて頂けますか?

野坂氏: 2010年のCEATEC JAPAN 2010で実際に動いているところをお見せしましたが、2011年は都内で市街走行での通信実証実験を行いたいと考えています。

 技術的な詳細に関してはIEEEの議論も最終段階に来ているので、近く正式な仕様が完成するでしょう。そうすれば日本での技術審議を進めることが可能になりますので、準備ができ次第、対応していきます。きちんと前へと進んでいますから、ぜひ、期待して続報をお待ちください。

(撮影:平沼久奈)  

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提供:UQコミュニケーションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月17日

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