エレコムは5月11日、デザインオフィス「nendo」とコラボレーションしたデジタル周辺機器を発表した。マウスやUSBメモリなど9製品が2011年5月下旬より順次出荷される。
同日の製品発表会に登壇したエレコム取締役社長の葉田順治氏は、1986年の会社設立当初からこれまでを振り返り、フロッグデザインのエスリンガー氏が手がけたルナリスシリーズなどに触れて、「これまでずっとPC周辺機器の分野でデザインと格闘してきた。失敗も多かったが、“ジャパンクール”をコンセプトにやろうと模索してきた中で、今回佐藤さん(nendo代表)と出会い、nendoとコラボすることができた。日本人の感性をベースにしたデザインで、世界に向けて勝負をしていきたい」とあいさつした。
続いて登壇したエレコム新規ビジネス開発室の福良卓二氏は、「これまでのデジタルガジェットは、製品の機能性をどうやって伝えるかがデザインの基本になっていたが、PCが一家に一台あるのが当たり前になり、シャープで“カッコイイ”デザインよりも、いかに自然に溶け込むか、機能ではなく形からくるデザインが重視されてきている」と指摘。PC周辺機器のコモディティ化とともに、ユーザーのデザインに対する意識も変化しており、「価格でも、スペックでもなく、デザインの魅力を伝える製品を投入していくことが重要だ」と述べ、コラボレーションの背景を説明した。
一方、5月下旬から順次発売する各製品の紹介は、nendo代表の佐藤オオキ氏が担当した。同氏が考える“デザイン”とは「一撃で何かを劇的に変えてしまうのではなく、ちょっとした気づきや、些細な感覚の集積によって、少しずつ良い方向へ変えていくもの」なのだという。このためnendoは、建築から家具やインテリア、コンシューマープロダクトなど、「柔軟な発想で粘土をこねるように」(同氏)さまざまな分野でデザインを手がけている。エレコムとのコラボレーションもその一環だ。各製品を写真とともに見ていこう。
まずはじめに紹介されたのは「otokurage」と名付けられたイヤフォン。一見するとシンプルなカナル型イヤフォンだが、イヤーピース部分が先端部だけでなく全体を覆い、その名の通り「クラゲ」を連想させるデザインとなっている。また、水中を漂うクラゲをイメージを踏襲して、パッケージがペットボトルの形をしているのもユニークだ。
マウスは4製品が披露された。1つはUSB接続の光学式マウス「rinkaku」。有線式マウスではじゃまな存在として認識されがちなケーブルを、あえてデザインの中心に置き、マウス本体はケーブルの延長として扱っている。伸びたUSBケーブルがマウスの輪郭を形作るイメージだ。マウスのエッジやホイールの太さは、ケーブルと同じ約2.5ミリになっており、異なる素材でもきちんと色を合わせてあるなど、シンプルながら随所にこだわりが見られる。
2つめは「oppopet」と呼ばれるワイヤレスモバイルマウスで、マウス本体後方に格納されているUSBレシーバーが、さまざまな動物のしっぽをモチーフにデザインされているのが特徴だ。レシーバー(しっぽ)をPCに装着すると、小さな動物がPC内部にもぐりこんでいるように見える。「(マウスを携帯するときに)ペットを連れて歩くときのような親しみやすさ」がコンセプトだという。
3つめは多機能マウスの「KASANE」。このモデルは、各機能を構成するパーツが上から降ってきて重なり合ってできたイメージだ。そして、マウス本体にユーザーが手をのせることでデザインが完結するというストーリー性もあわせもつ。そして最後は「ORIME」で、ポリゴンのような外観が特徴。マウスのデザインは曲線や曲面を多用した有機的なものが多いが、ORIMEではあえて直線で構成し、紙を折って作ったようなデザインになっている。
USBメモリや、スマートフォン/タブレット向けのスタンドでも、ユニークな製品が披露された。USBメモリは「DATA Clip」と「DATA hook」の2種類で、DATA Clipはゼムクリップのように書類や名刺を挟んで利用できる。一方のDATA hookは、カラビナのような形をしており、こちらも何かに留めて気軽に持ち歩けるのが特徴だ。佐藤氏は「カタチのないデジタルデータと形のあるものをどう融合するか、形のないデータをどう身につけるのかをコンセプトにデザインした」と語っている。
スマートフォン向けアクセサリでは、「megane」と「JAGUCHI」がラインアップされている。ともに製品名通りのデザインで、meganeはツルの部分がスタンドになり、レンズの部分に端末を吸着させる仕組み。JAGUCHIは流れ出た水の波紋が溝になって、製品を立てかけられる。この種の製品は、実際に使用しているときはほとんど見えないため、端末を立てかけていないときの見え方にこだわった遊び心のあるデザインにしたという。
なお、このほかにもすでにさまざまな製品を平行してデザインしているとのことで、今後も順次nendoデザインの製品がリリースされる予定だ。
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