ビジネスプリンタの選び方――“安いのに多機能”がうれしい複合機編オフィス機器購入ガイド(1/3 ページ)

» 2011年07月26日 17時30分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
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←・ビジネスプリンタの選び方――“意外にお手ごろ”なカラープリンタ編

省スペースに機能を集中できる複合機はSOHO/SMBと相性がいい

 プリント、スキャン、コピー、FAXといった複数の機能を1台で利用でき、それでいて価格が抑えめのA4複合機は、まさにSOHO/SMB環境向けのオフィスIT機器といえる。各機器を個別に用意するより1つに集約したほうが、機器導入のイニシャルコストを軽減でき、かつ設置スペースの節約にもなるからだ。

 今回はこうした低予算で購入できるA4複合機の注目機種をまとめてチェックしていこう。前回のカラー(単機能)プリンタ編と同様、機種選出のための条件は、以下の3点だ。

1. SOHO/SMB向けの製品であること

2. 実売価格が10万円を切ること

3. 2010年以降に発表されていること



 ピックアップしたのは、モノクロ/カラーを合わせて全14機種だ(インクジェット方式は対象外)。ここでの実売価格とは、オンラインショップや大手量販店など複数店舗での販売価格なので、標準価格は10万円を超えている製品も含めている。

 ここで紹介するような低価格帯のA4複合機は、コピーをしている最中にPCからデータを印刷したり、スキャナを使うといったパワフルな同時利用ができないものの、ユーザー数や利用頻度が大企業ほど多くないSOHO/SMB環境では、業務効率の点で問題になりにくく、複合機であることのメリットが生かしやすい。

低予算でも選択肢が多いA4モノクロ複合機

 A4モノクロの複合機で低価格市場を創出し、市場を盛り上げているメーカーといえば、キヤノンとブラザーの2社だ。両社とも機能が違う複数のモデルをラインアップしている。キヤノンは多くのラインアップを一気に更新することが多いのに対して、ブラザーは旧機種をいくつか残した状態でラインアップを追加していくのが定例だ。

 今回はこの2社に加えて、前述の条件に合致したリコーの機種も1台取り上げている。合計11機種にのぼるが、印刷速度や搭載する機能、あとは予算で選べばよいので、選択に迷うことは少ないだろう。

・豊富なラインアップからどれを選ぶ?――キヤノン「Satera MF4410/MF4420n/MF4430/MF4450/MF4550d/MF4570dn/MF4580dn」

「Satera MF4580dn」

 キヤノンのレーザー複合機は、同社のレーザープリンタブランド「Satera(サテラ)」シリーズの一員だ。Sateraの冠の次にマルチファンクション(複数の機能=複合機)を示す「MF」の型番が付けられており、製品名からすぐに複合機と判別できる。

 また製品名の最後にネットワーク対応ならば「n」、自動両面印刷ユニット標準搭載ならば「d」が付加される。例えば、「dn」が付く場合は自動両面印刷とネットワークに対応するというわけだ。

 注目は2010年に投入された計7モデルだ。そのうちプリントエンジンは速度の違う2種類に分かれ、具体的には最下位から上位に向けて4モデル、製品名でいうとSatera MF44XXの「Satera MF4410」「Satera MF4420n」「Satera MF4430」「Satera MF4450」が23枚/分の印刷速度、ミドルレンジから上、製品名でいうとSatera MF45XXの「Satera MF4550d」「Satera MF4570dn」「Satera MF4580dn」が25枚/分の印刷速度だ。また、最下位から3モデル目まではFAX機能が省略されている。

 Satera MFシリーズのデザインは全体的にスクエアだが、オフィス機器然とした雰囲気はなく、スタイリッシュさを追求した“魅せる”外観であるのも特徴だ。本体のカラーは下位のMF44XXがブラックで統一され、MF55XXでは本体上部とサイド側にホワイトが加わったツートーンカラーの構成となる。このように、外観を洗練させつつ、オフィス空間に違和感なくフィットさせることをかなり意識したデザインやカラーになっている点は、ライバルメーカーも見習ってほしいところだ。

 キヤノンの製品だけに同社製レーザープリンタの特徴であるオンデマンド定着方式も採用している。印刷時だけ瞬時に定着器を立ち上げるので、スリープ時に平均約3ワット以下と省エネ性に優れる点はやはり見逃せないメリットだ。ただし、Satera MFシリーズはコピー機で使われる間接静電転写方式をベースにしており、ほかのSateraのレーザープリンタ(半導体レーザー+乾式電子写真方式)のようにスリープからの復帰が0秒というわけにはいかない。

 また、MF44XXの全モデルではファンレス構造を実現しており、印刷時以外はほぼ無音という高い静粛性を実現しているのもポイントだ。泣きどころは用紙カセットの最大給紙枚数で、約250枚とそれほど余裕がないのに加えて、増設トレイがオプションで用意されていない点は惜しい。

 MF4430以上のモデルはADF(自動紙送り)を搭載しており、最上位のMF4580dnだけはADFが自動両面読み取りもサポートしている。両面コピーの機会が多く、これを高速に行いたい場合は、MF4580dnが有力候補になるだろう。

 最下位モデルは、ショップによっては2万円切りと激安で、最上位モデルでも5万円を切る価格で購入できるのはうれしい。低価格モデルゆえに割り切った仕様も一部に見られるが、必要な機能でモデルを絞り込んでいけば、自身の環境に最も適したコストパフォーマンスの高い1台が見つかるはずだ。

「Satera MF4410」(写真=左)、「Satera MF4550d」(写真=右)

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