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» 2011年09月02日 17時00分 公開

「5GHz帯無線LANルータ」導入のススメ:第2回 「5GHz帯」の速度チェック+「テレビを無線LAN対応」にする方法 (2/3)

[坪山博貴(撮影:矢野渉),ITmedia]

モデルごとに特性を確認

photo 5GHz帯/2.4GHzそれぞれの通信速度を比較。5GHz帯においては、距離が離れ、間に障害物が増えた地点でも速度がどれだけ維持できているかをポイントに見てほしい
photo NECアクセステクニカ「AtermWR8600N」

 モデルごとに見ると、AtermWR8600Nは内蔵アンテナ型ながらも地点C/Dの5GHz帯で最速の値を示し、特に「離れた場所でも、5GHz帯で安定して通信できる」と思える優秀さが光った。一方、近距離でのピーク速度は有線LANが100Mbpsである点も影響したためか他モデルとほぼ同等の値だった。

 本機は「ハイパーロングレンジ」と呼ぶ技術を採用しており、内蔵アンテナの高性能化と回路の最適化で特に遠距離通信も速度が落ちにくい点を特徴としている。他モデルでは差が大きくなりがちな遠距離の5GHz帯も値が良好だったのは、この技術がうまく機能したことが伺える。


photo ロジテック「LAN-WH450N/GR」

 LAN-WH450N/GRは、初期状態でリンク速度に対して通信速度が思うように伸びなかったため、2011年7月13日公開のファームウェア Ver 1.17を適用して計測した。その結果、2.4GHz帯に対して5GHz帯でなかなか優秀な値となり、地点CでもAtermWR8600Nに次ぐ50Mbpsを超える値を示した。

 なお本機の最大450Mbpsの通信は、3x3 MIMOをサポートするIntel Centrino Ultimate-N 6300といった内蔵モジュール、あるいは450Mbps通信対応の無線LANアダプタと組み合わせて得られるスペックとなる。今回のテストは機材の都合でPC側は最大300Mbpsにとどまる環境であり、また、計測地点ごとに外付けアンテナの方向をじっくり最適化したわけではない。対応無線LANモジュールを用いつつ、調整次第ではさらに伸びると思われる(ただ、アンテナはどう調整するのが最適なのか分からない)。


photo コレガ「WLR300NNH」

 WLR300NNHは、5GHz帯の地点A/Bと2.4GHz帯の地点B/Dで最速で、かなり優秀な値を示した。一方、地点Cの結果が振るわなかったが、本体の向きなども影響したのかもしれない。

 こちらは、AtermWR8600N同様に設置性のよい内蔵アンテナ型である点を考慮すると、バランスのよい結果だったと評価できる。


photo アイ・オー・データ機器「WN-AG300EA」

 WN-AG300EAのみアクセスポイントのモデルだが、ほかのモデルより小型であることが通信速度という点で少し不利だったかもしれない。試作機という点が影響した可能性も無視できないが、2.4GHz帯の不安定さが少し気になるところだ。

 ただ、本来の目的である5GHz帯での結果はそこそこ優秀な値を示した。本体が小型であることもテレビの近くへ設置するとなると喜ばしいと言えるため、ルータはそのままにテレビ用に5GHz帯無線LANだけ導入したい人に悪くない選択だと思う。


photo バッファロー「WZR-HP-AG300H」

 WZR-HP-AG300Hは最速こそ地点Bの5GHz帯のみだったが、5GHz帯は離れた地点でも安定して良好な値を示した。

 一方、地点C・2.4GHz帯の落ち込みが気になるが、こちらは外部アンテナの感度のよさが逆に災いし、ほかの2.4GHz帯無線アクセスポイントの電波干渉があり、デュアルチャネルが有効にならなかったのかもしれない。


 全体的に、どのモデルも5GHz帯の安定したパフォーマンスを改めて確認できた。もちろん、さらに遠距離になり、障害物、遮へい物が多い家庭での環境であればもう少し違う結果が出るかもしれないが、反射波も積極的に活用するIEEE802.11nで使用するならば、かつ一般家庭内で使う範囲ならば、距離が離れると不利という思い込みはしないでいいかもしれない。

 ちなみに今回の検証環境では、親機の位置でチェックする限りほかの無線LANアクセスポイントにおける2.4GHz帯への大きな干渉はチャネル11のみだったため、デュアルチャネルが有効になるよう親機はすべてチャネル1に固定したが、繁華街やユーザーが多くいそうな大型マンションに居住する人など、使用場所によっては無数の2.4GHz帯無線LAN電波が届いてしまうシーンは珍しくない。やはり「5GHz帯」の方が安定して高速に通信できる可能性が高いといえる。

5GHz帯の安定性=家庭用AV機器の無線LAN化に最適

 通信の安定性はどうだろう。前述計測当時の2.4GHz帯無線LAN状況は、住宅街の深夜という時間帯にて、微弱だが隣家と思われる無線LANアクセスポイントを検出し、一部で使用チャネルが重なっていた。

 この状況でファイルコピー中の速度の推移をチェックすると、ピーク速度はそれなりだが、2.4GHz帯は速度の変動がかなり大きく、速度が落ち込む期間も長めだった。対して5GHz帯は、かなり安定して通信していることを示した。

 この比較的2.4GHz帯でも電波干渉が少ないと思われるシーンでも波形がかなり乱れた(一時的に速度が落ち込んだ)ということは、多くの人がPCやテレビ(でのネットワーク機能)を活発に使う時間帯ではより影響があると予想され、電波干渉が少なく安定して通信できる可能性が高い点で、5GHz帯の利用が望ましいのは明らかだと思う。

photophoto 今回の検証環境における、2.4GHz帯無線LANの利用状況(画像=左)。今時の2.4GHz帯の利用状況としてはかなりクリーンな方である。一方、こちらは都内23区内の駅前商店街に住む、ある知人宅における日中2.4GHz帯無線LANの利用状況(画像=右)。非常に多くの無線LAN電波が入り交じっていることが分かる。住宅地などではここまで酷い状況であることはないと思うが、場所や時間帯によって2.4GHz帯の無線LANがどんな状況になっているかはそれぞれということだ
photophoto 5GHz帯(画像=左)と2.4GHz帯(画像=右)での通信速度の推移。5GHz帯でももちろん若干の通信速度は変動するが、明らかに2.4GHz帯より安定している。検証環境のように明らかに影響を及ぼすような無線LANアクセスポイントが存在しない場合でもこれなので、利用者が密集する大型マンションなどではさらに不安定になる可能性が高いといえるだろう


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