「ZENBOOKは革新の象徴」――ASUS、ジョニー・シー会長が語る:会長自身が開発を指揮(1/2 ページ)

» 2011年10月31日 16時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

開発コンセプトは「禅の精神」

ASUS台湾本社のジョニー・シー(Jonney Shih)会長と「ZENBOOK」

 「ZENBOOK」は、ASUSTeK Computerが2011年11月3日に発売する同社初の“Ultrabook”だ。その発表会は10月26日、都内で大々的に開催された。集まった記者、業界関係者も含めて200人はいただろうか。事前にWebサイトで展開していたティーザー活動、会場の規模、凝った演出、タッチ&トライセッション用に潤沢に用意された展示機などから、ASUSのこの製品に賭ける並々ならぬ思いが伝わってきた。

 ZENBOOKというブランド名の由来は、仏教の「禅の精神」である。「あわただしい日々の生活の中で“内なる平穏”とのバランスをいかにしてとるのか、あるいは簡素さの中にある美しさ、デザイン的な調和、あるいは美しさと性能のバランス、そういった部分が禅の精神に通じるものがあるのではないか」とシー氏は語る。

 発表会とインタビューを通じてシー氏が何度も強調していたのが「新しいデジタル時代」というキーワードだ。それはパーソナルコンピューティングが真の意味でユビキタス/クラウドになる(いつでもどこでもネットに接続して快適なコンピューティングができる)時代であり、今現在はまさにその入口にさしかかっていると述べた。

 すでにスマートフォン、タブレットとノートPCの境界があいまいになりつつあるが、近い将来はそれがより進み、これらのデバイス、CPU、OSも含めて大きな再編の波が押し寄せるであろうという考えも示した。

イノベーションの象徴としてのZENBOOK

ノートPCのイノベーションを象徴する新製品というZENBOOK

 その新しいデジタル時代へ向け、ASUSが重視するのは「いかに多様化するライフスタイルに最適な製品を開発するか」ということであり、そのために「ユーザーのシナリオ」を常に意識し、さまざまな方向から対応を進めていくという。すでにタブレット、ノートPC、それぞれの側からイノベーション(革新)へとアプローチを進めており、そのノートPC側からのイノベーションの形として提示するのがZENBOOKである。

 シー氏は2010年の来日時にデザインの重要性について触れ、「エンジニアリングチームは左脳(論理的思考)ばかりで考えてはならない。デザイナーから学び、右脳(芸術的思考)も使って考えなければならない」という設計思考の方法論を述べていたが、今回も改めて強調していた。

 そして、この方法論の徹底が、薄型軽量のデザインと高性能、バッテリー駆動時間、高品質なサウンドシステム……相反する要素をバランスよく調和するという極めて難しい課題を高いレベルでクリアできたことにつながった、と考えているそうだ。

 今回の開発の過程では、シー氏自身も企画、開発に加わり、指示を与えていたことも明らかにした。ZENBOOKのような薄型軽量ノートPCでは、それぞれの設計要素(ビジュアル、放熱、音響、電波など)の衝突は避けられないところだ。可能な限り両立するという前提でも究極的な部分でのトレードオフの判断は避けられないため、必要に応じてその決断を行い、道筋を示してきたという。

 製品化への過程ではいくつものプロトタイプを作成し、可能性を試行錯誤しながら開発を進めてきたが、最初のプロトタイプから製品版までに、その数は20回以上にも上ったとのことである。このような過程を経て「当初は不可能だといわれていたことを実現することができたプロジェクトチームを誇りに思う」と満足感をにじませた。

新しいデジタル時代の主役は?

製品発表会で行われた「Instant On」機能のデモ。スリープ状態のZENBOOKを並べ、液晶を開くと、次々と素早く(公称では2秒)復帰した

 製品のコンセプトや開発のバックグラウンドを明快に語るシー氏だけに、より先の将来にどのようなビジョンを持っているのか、といったことも気になるところだ。グループインタビューではそういった部分についても質問が出た。

 まず、ZENBOOKはノートPCの進化形としては究極に近いところまできているのではないのか、という問いに対しては、まだまだ進化の余地はあると考えているようだ。薄さ、軽さといった部分だけではなく、起動やスリープからの復帰といったレスポンス、エンターテインメント機能、ユーザーインタフェースの部分なども含めたユーザー体験全体に対して、さらなる追求への意欲を見せた。

 それと同時に、あくまでもユーザー体験の向上が重要であること、ユーザーシナリオに思いをはせることが必要であると強調し、ノートPC側だけでなく、タブレット側からもイノベーションを進めていくこと、双方向からのアプローチを推し進めていく方針を改めて示した。

 では、ノートPC、タブレット、スマートフォンといったモバイルデバイスのうち、シー氏の考える新しいデジタル時代において、主役となるデバイスは何だと考えているのだろうか。

 これについては「最終的にはユーザーが選ぶこと」と前置きしたうえで、「これだというものを決めるのは、時期尚早ではないだろうか」という見方を示した。カジュアルなスタイルに向くタブレット、場所を選ばずに利用できるスマートフォン、机に座って業務を行うのに適したノートPC、それぞれに適した用途、場面があり、当面は使い分けの状況が続き、デバイスそれぞれも進化する余地があると考えているようだ。

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