シー氏はクラウドサービスについても言及し、AppleやAmazonが行なっているハードウェアとクラウドの連携について、大きな成功を収めていると評価する一方、クローズドなサービスであることを指摘。ASUSとしては、GoogleやMicrosoftが行なっているようなオープンなサービスを推進していきたいという考え方を示した。
また、サービスの形としてはクラウドのみに依存するのではなく、ローカルで動作するアプリケーションを介して、ローカルの処理能力をより活用していくことがカギになるのではないかという見解を示すとともに、「クラウド」ではなく「ユビキタスパーソナルクラウド」という言葉を使いたいと、あえて言及した。「パーソナル」という部分をより大事にしたいというこだわりの表れだ。
そして、近い将来にこの「ユビキタスパーソナルクラウド」についての新しいサービスを展開することを考えているとし、2012年1月に米国で開催される2012 International CESでは、より具体的な情報を提供できるのではないかと予告した。
発表会場には、ZENBOOKの展示機が潤沢に用意されており、実機に触れる機会に恵まれた。ZENBOOKの仕様については既報の通り。詳細な言及は省くが、薄さや軽さ、画面解像度といった部分もさることながら、スリープからの高速復帰や、その高速復帰が可能な待機状態でのバッテリー駆動時間など、細かい使い勝手の部分を詰めていることも印象的だった。また、サウンド面へのこだわりを強調していたことは、個人的にはいい意味で少し意外に感じられた。
このことからは、薄さ、軽さ、画面解像度といったスペックから判断しやすい部分だけにとどまらず、ユーザー体験全体を高いレベルへと引き上げようという強い意欲がうかがえる。実際にどこまでの完成度に達しているのかは検証してみないと分からないものの、ただのUltrabookではない、より高いレベルの設計思想をもって生み出された製品であることが現物からは伝わってくる。これは事あるごとに「ユーザー体験」を強調していたシー氏の発言にも通じるところである。
ZENBOOKはデザイン、スペック、価格も含めて、非常に大きな魅力を備えた製品であることは疑いがない。薄型軽量ノートとしてよく似た外観、スペックを備えた「Macbook Air」がどうしても引き合いに出されるが、これと比べても十分な競争力を持つといえる。
シー氏からは、「Ultrabookのコンセプトを最も体現した製品だとエキサイティングな反応をいただいた」とIntel CEO(ポール・オッテリーニ氏)にZENBOOKのプロトタイプを見せたときのエピソードも披露されたが、まさに第1世代Ultrabookのシンボル的な製品といっても過言ではないだろう。この登場をきっかけに、さらなる市場の活性化を期待したいところだ。
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