コントローラの操作性、プリインストール状態のアプリは、使い勝手がよいとは言えない。だが、MOVERIOはAndroid 2.2を搭載している。自分でアプリケーションをインストールしてしまえばなんら問題はない。そこで、いくつかのアプリをインストールして自分なりにカスタマイズしてみることにしたので参考にしてもらいたい。
もっとも、MOVERIOはAndroid Marketはサポートしていない。アプリのapkファイルを入手し、直接インストールしなくてはならない。今回は別のAndroid端末からapkファイルをコピーしてインストールしている。
ESファイルエクスプローラーはWindowsファイル共有に対応したファイルマネージャーだ。もちろん、ESファイルエクスプローラー上で動画を選択すればそのまま再生できる。
Google提供のYouTube公式アプリ。無線LAN環境さえ整えられればネット上の動画を見ることも問題ない。
QNAP社製NASキットTurboNASに対応したメディアプレーヤー。自宅のTurboNAS上のマルチメディアコンテンツを外出先から楽しむことができる。ただし、メニューなどは縦画面になった。
動画再生さんは限られた時間で視聴、停止、再開を行う場合に便利な動画再生ソフトだ。とりあえずHOMEボタンやBACKボタンを押せばすぐに停止するうえに、再開時にも各ファイルごとにレジューム位置を記憶しているため、余計なシーク作業が必要ない。
LAN経由でPCなどからキー入力ができるようにするアプリ。Andorid端末のTCP7777ポートにWebブラウザで接続し、そこのテキストエリアに入力したものがAndroid端末に入力される。
試用しながら考えたのはAndroid採用の理由だ。MOVERIOの形状はちょうどAndroid端末のディスプレイ部分がHMDになっているような印象を受ける。しかし、Android Marketには非対応で、アプリケーションをインストールするにはapkファイルを直接インストールしなくてはならない。また、ハードウェアの仕様として一般的なAndroid端末に劣るところも多々あるなど、ユーザーが期待するAndroid端末とはやや異なる面がある。
例えば、センサー系はかなりさびしく、ジャイロ・加速度センサー・GPS・カメラは搭載されていない。シースルー型ヘッドマウントディスプレイということで冒頭のようにAR方面での利用を期待したが、カメラがなければARの前提条件となる映像入力が使えない。Bluetoothも非搭載のため入力インタフェースの追加も現時点では難しいだろう。
つまり、Androidを選択したのはユーザーに対するAndroidのメリットではなく、メーカー自身のメリット、納期短縮のために動画プレーヤーなどが調達しやすいOSを選択した部分が大きいのではないかと感じる。
とはいえ、Android端末ならではのカスタマイズのしやすさ、サードパーティによるアプリの充実ぶりは(そのすべてを享受できるわけではないとはいえ)、やはりすべてメーカーの用意した環境に甘んじるしかない他製品とは一線を画す部分でもある。初代機ということで荒削りな部分もあるが、Androidとしての完成度を高めるだけで、相当に面白い製品になるのではないかと期待させてくれる注目のガジェットだ。
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