2012年のPC業界を占う:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)

» 2012年01月01日 00時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
前のページへ 1|2       

Windows 8タブレットの開発メーカーは絞り込まれる

2011年9月に開催されたMicrosoftのソフトウェア開発者向け会議「BUILD」では、QualcommのSnapDragonとLTE対応のGobiを搭載したタブレットPCが披露された。ARMアーキテクチャへの対応はWindows 8の大きな特徴だ

 一方、“Windows 8対応PC”という視点で見ると、大きな変化が起こる可能性がある。なぜなら、Windows 8で強化されるタブレット型端末について、開発メーカーの絞り込みが行われるからだ。なお、タブレット型以外のPCに関しては、従来と同じでメーカーごとに対応の優先度を変える予定はない。

 しかし、タブレット型端末はWindows Phoneと同様、アプリケーションプロセッサベンダー、PCベンダーの双方との協業で、消費電力やパフォーマンス、機能の最適化を行う。この際、アプリケーションプロセッサベンダーから、パートナーとなる端末メーカーは2社までと希望が出されているという。

 するとARM系はQualcomm、TI、NVIDIAがそれぞれ2社ずつサポート、さらにIntelが規模の大きさを生かして4社をサポートしたと仮定しても10社にしかならない。ここにAMDが加わる可能性もあるが、Windows 8タブレットの第1陣として優先的に開発情報を得られるPCベンダーの枠は8〜12社しかない。

 2011年9月末の段階で、この中に含まれていたのは東芝のみ。技術力や開発力、商品企画力などは考慮されておらず、グローバルでの販売シェアによって決められており、筆者の知る限り、ソニーや富士通は含まれていなかった。

 なお、NECパーソナルコンピュータはLenovoとの事業統合により、Lenovoと情報共有を行う形で第1陣の開発に加わっている。また、SamsungはPC分野でのシェアは低い一方、Android端末での実績やARMアーキテクチャを用いた端末開発の実績などから、Windows 8タブレット開発の第1陣に加わるとの情報もある。

 いずれにしろ、どのOEMに対しても同じWindowsと開発情報を提供してきたマイクロソフトにとって、これは大きな方針転換だ。

Windows 8タブレットの縛りはUltrabookまで波及するか

Intelが示すUltrabookのロードマップ。2011年のSandy Bridge、2012年のIvy Bridge、そして2013年のHaswellと、3世代のプロセッサとともに進化させていく計画だ

 今回は“よりよいタブレット型端末を作るため”との大義名分があるが、この施策がUltrabookの領域にまで広がる可能性もある。

 Ultrabookは、第1世代の見た目やスペックから“MacBook Airのモノマネ”とみられることが多いが、本来はモバイル端末としての使い勝手を、スマートフォンなどのレベルにまで高めることが目的だ。

 Intelが2013年に投入する新プロセッサのHaswell(開発コード名)では、スマートフォンのように常時ネットワークに接続した状態で待機する際の消費電力を2011年の20分の1にすると発表している。同様の改善はWindows 8にも仕込みがされており、HaswellとWindows 8の機能はある程度、同期が取られていると考えられる。

 しかし、通信機能も含めた製品パッケージ全体で、道具としての使い勝手を高めるといったアプローチがタブレット型に有効なのであれば、こうしたUltrabookにも有効なはずだ。Mac OS Xが組み合わせるトラックパッドの機能進歩と二人三脚で操作性を改善したのと同じように、Windows 8+Ultrabookでも同様のやり方がいずれは必要になるだろう。また、ARMプロセッサのパフォーマンスが上がってくれば、ARMプロセッサを搭載したノートブック型のWindows 8機もいずれは登場するはずだ。

 Haswellの投入は2013年だが、2012年末の段階でこうした製品開発の枠組みがどうなっていくかは、今後のPCが進む方向を占ううえで重要なポイントになると思う。

 もし、AndroidやWindows Phoneと同様の優先順位を付けた開発手法が広がっていくと、今度はグローバル市場向けの戦略モデル(今回のケースではUltrabook)とは異なるコンセプトの製品に、面白いものが登場するかもしれない。

 例えばパナソニックはこれまでも、Intelが主導してきたプラットフォームに乗った製品開発はあえてせず、どの時代にも「Let'snote」シリーズの一貫したポリシーのもとに製品を作ってきた。

 “Ultrabookを作るための材料”が与えられたとき、Ivy Bridgeの世代、Haswellの世代において、それぞれどのような製品が生まれるのか。規模を追わず、独自性を追うメーカーの動き、決断にも注目したい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月26日 更新
  1. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  2. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  3. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  4. なぜ競技用ゲーミングPCは光らない? HPSC久木留所長とマウス軣社長が語るアスリート支援の未来 (2026年09月24日)
  5. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  6. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
  7. ロジクールGの新型マウス「PRO X3 SUPERSTRIKE」や8K対応キーボード「PRO X2 RAPID」を見てきた (2026年09月24日)
  8. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  9. 天空がCore Ultra 5を搭載した10.51型2in1ノート「TENKU Note Pro AI」を発売 (2026年09月24日)
  10. “AIスマホ”としての個性がより鮮明に 望遠カメラ刷新&AI処理が飛躍した「Pixel 11 Pro」 の実力とベンチマーク結果を検証 (2026年09月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー