ソニー・エリクソンがソニーになって変わってほしいこと:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/2 ページ)

» 2011年11月16日 09時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 少しばかり本連載の間が空いてしまった。その間、NTTドコモの製品発表があり、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの決算発表を経て、今後のデータトラフィックに関する移行シナリオが出そろった。ということで、再開時には、そのあたりの話題を整理しようと考えていた。

 なにしろスマートフォンの普及によるデータ通信の爆発的増加により、どのようにデータトラフィックを分散(複数の方式に分散、あるいは複数の周波数帯に分散)させるのかは、今後のスマートフォンの使い勝手に大きく影響すると考えられるからだ。

 しかし、さらにもう1つ大きなニュースもその間にはあった。ソニーがソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(以下、ソニー・エリクソン)のエリクソン持ち分株を買い取るという話である。名前がややこしいが、要はソニーがエリクソンと作った携帯電話端末ハードウェアのジョイントベンチャーを解消し、ソニーの中に取り込むということだ。

 今回はこのニュースに関しての分析をしてみることにしよう。

違和感を覚えざるをえなかったスマートフォン、タブレット戦略

 “ソニー・エリクソン”という名前だけを見ると、いかにもソニーの自由になる会社という印象を持つかもしれない。もちろん、ソニーのウォークマン部隊が作った機能を共有したり、Cyber-shotブランドを冠したカメラ機能などでコラボレーションする程度には近しい。しかし、従来はソニーの支配力は限定的だった。

 ソニーとエリクソンの出資比率は半々で、本社機能はロンドン。ソニーグループと言いつつも、ソニー本体とは一線を引いた立ち位置にあった。現在のトップはエリクソン出身のバート・ノードバーグ氏であり、ソニーが展示会に出展する際に展示する場合も、ソニー本社とは別にソニー・エリクソンの広報がソニーブース内の携帯電話・スマートフォンを案内する。

 製品発表のやり方にしても、ソニー本社の幹部が新製品を初公開といったことは控えてきた。そんな様子が変化し始めたのは、今年、ベルリンで行われたIFA2011だった。このとき、ソニー・エリクソンの新製品をアナウンスしたのは、ソニー本社の平井一夫副社長だった。

 現地に出張していた広報に尋ねてみると「今回はソニー製品をサービスで結びつける全体像を見せたかったため。ソニー・エリクソン側も、平井が新製品を世界で初めて紹介することは快く了承してくれた」そんな話が聞こえてきた。

 これらのことからも、両社が基本的に別の会社だということが理解できるだろう。

 このことは製品の生まれてくる背景、機能的な連動にも影響を与えている。この話題に関連し、筆者は気になっていたことを、IFAに展示されていたSony TabletやAndroid搭載ウォークマン、ソニー・エリクソンのXperia、それぞれの商品において、企画や開発に携わる人たちに尋ねて回ってみた。

 例えばSony TabletとAndroid搭載ウォークマンは、ユーザーインタフェースの作りがよく似ており、ソニー独自拡張の部分に関しても共通性を見つけることができた。しかし、これはXperiaには当てはまらない。よく似た側面はある上、音楽データの分析機能など、ソニーならではの機能も盛り込まれているが、Xperiaはやっぱり似て非なるものだ。

 部分的には技術の相互乗り入れがあり、サービスのプラットフォームも基本的には共有する。ところが、相容れない部分もある。例えば、Android搭載ウォークマンは「どうせスマートフォンレベルだろう」と高をくくっていると音の良さに驚く。もちろん、音楽プレーヤーなのだから音声出力回路にコストがかかっているのは当然。しかし、音は高価な部品を組み込むだけでは良くならない。

 ではどうしたら音が良くなるのか。ノウハウをきちんと共有できれば、Xperiaのヘッドフォン出力は音楽を聴くに資する出来映えになってくれるだろう。しかし、実際にはそうはなっておらず、音楽を心から楽しめる質には達していない。

 各製品の企画や開発の方々に話を聞いていても、ソフトウェア技術の部分的な相互乗り入れはあっても、相互のノウハウを交換して、各製品ごとに大きな成果を出そうという話になっていないことは、すぐに分かった。

 今年、ソニー最大の戦略製品と位置付けられたはずのSony Tabletがあり、そこにAndroid搭載ウォークマン、Xperiaと折り重なっていれば、それらは連動して、ひとつの塊と見えるような、融合された価値を提供できていいはずだ。ところが、実際にはまるで別々の会社が作った製品(ソニー・エリクソンは別の会社なので当然とも言えるが)を、最低限のソフトウェア技術交流でまとめたように見え、違和感を禁じ得なかった。

 消費者の視線に目を落としてみたとき、同じソニーのブランド名が付けられている(ロゴデザインは異なるが)製品なのに、体験レベルが統一されていないことは想像に難くない。なぜ、もっと深く連動できないのか? という質問に対して、各製品を担当する方々は、誰もがやりたいことはあるけれど、何も喋ることはできない。そう訴えるように、肝心のコラボレーションレベル向上については、ほとんど口をつぐんでしまっていた。

PhotoPhoto ソニー・エリクソンの「Xperia arc」など、主要なスマートフォンと、「ウォークマン」などの他のデバイスの連携は今後どうなっていくのか
PhotoPhoto ソニー・エリクソンがソニーに取り込まれれば、「Sony Tablet」のようなAndroidタブレットの位置づけとXperiaシリーズの立ち位置なども変わるかもしれない

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