見た目はAndroidタブレットや電子書籍リーダーのようだが、そのどちらでもない。ASUSTeK Computer(ASUS)の「Eee Note EA800」は、“デジタルノート”を標ぼうするユニークな製品だ。
紙のノートからの置き換えを想定しており、8.0型モノクロ液晶ディスプレイに筆圧検知対応のタッチスクリーンを搭載することで、付属のペンで手書きしたメモをそのままデジタルデータとして記録できる。つまり、紙に書いたメモを後から選別して、必要なものをドキュメントスキャナで読み込んでデジタルデータに変換する、といった紙文書の電子化にかかる手間は一切ない。
さらに、静止画の撮影やボイスレコーダー、PCあるいはクラウドサービスとの連携など、メモをデジタルデータとして作成・管理するのに便利な機能がいろいろと盛り込まれているのが特徴だ。
OSにはLinuxを採用しており、AndroidやWindowsを搭載したタブレットデバイスとは毛色が違う、メモ用途に特化したデジタルガジェットとなっている。
外観は最近のよくあるタブレットデバイスとほとんど変わらない。縦位置での本体サイズは158(横)×230(縦)×13.5(厚さ)ミリと、ちょうどB5サイズを1回り小さくした縦横サイズだ。本体の重量は約520グラムで、付属の専用ブックカバーを装着したところ、実測で約700グラムだった。専用のブックカバーは2つ折りで、画面とボディをしっかり保護してくれるほか、装着したまま利用できる。
もっとも、少しでも軽くして携帯利用したい場合は、本体のみで使うという選択肢はある。さすがに紙のノートよりずっしりと重いが、この画面サイズのタブレットとしてはまずまずの軽さで、ちょっとしたメモを取る程度ならば、机がなくても片手で持って十分使えるだろう。サイズとしては、紙のB5ノートに近い感覚で持ち運べる。
基本スペックをざっとまとめると、CPUがMarvell PXA303(624MHz)、メモリが256Mバイト(LPDDR)、ストレージが約4GバイトのSSDだ。タブレットデバイスとして見ると、エントリークラスの性能だが、メモ用デバイスとしては不足のないスペックだろう。
通信機能としてはIEEE802.11b/g準拠の無線LANを内蔵する。ボタン類やインタフェースは底面に集中しており、電源ボタン、モノラルスピーカー、microSD/SDHCカードスロット、microUSBポート、ヘッドフォン出力、再起動ボタンが並ぶ。背面には200万画素のカメラが内蔵され、専用ブックカバーを付けた状態でも撮影可能だ。バッテリーは内蔵のリチウムポリマーバッテリーで、公称の駆動時間は約11.5時間と長い。
8.0型モノクロ液晶ディスプレイは、64階調のグレースケールに対応した反射型TFT液晶パネルを採用し、解像度は1024(縦)×768(横)ドットのXGAだ。ワイド液晶パネルではなく、iPadと同じアスペクト比4:3の液晶パネルを採用しているのは、紙のノートを代用するのに使いやすい画面比率ということだろう。表示は精細で、細かな文字もきちんと表示できる。
反射型TFT液晶は、外光を液晶パネルの内部で反射させ、バックライトの代わりにする仕組みだ(やや語弊はあるが)。よって、基本的に明るい場所ほど高い視認性を得られる。EA800の液晶パネルには物理的なバックライトがないため、周囲が明るい場所のほうが見やすい。屋外での視認性は抜群で、屋内でも一般家庭の蛍光灯くらいの明るさがあれば十分だ。
逆に、薄暗い照明の飲食店、夜間の飛行機内や夜行バスといった照明がほとんどないところでは、まず使えない(画面が見えない)。欲をいえば、バックライト付きの半透過型液晶なども検討してほしかった。
この反射型モノクロ液晶にワコムのEMR(Electro Magnetic Resonance:電磁誘導)テクノロジーを採用したタッチスクリーンを組み合わせているのが、EA800における最大の特徴だ。256段階の筆圧検知に対応し、微妙な線の強弱を付けられるところが、タブレットデバイスで一般的な静電容量式タッチスクリーンと大きく異なる。
また、タッチ操作や手書き文字の入力に、付属の専用スタイラスを使うのもポイントだ。画面に触れた手にタッチスクリーンが反応することなく、紙に近い感覚でスラスラと手書き入力できる。専用スタイラスは本体上部の溝にぴたりと収まるので、移動中もじゃまにならない。
また、EA800のタッチスクリーン(液晶画面)は専用のスタイラスでのみ操作できるが、液晶下部にはタッチセンサー式のボタンも用意されており、こちらは指でのタッチ操作が可能だ。ホームボタンや戻る/進むボタン、液晶画面上のボタン表示に対応したボタンなど、合計8個のタッチボタンがある。このタッチボタンは、液晶画面のステータスバーで有効と無効を切り替えられる。
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