「HP Z1」は“作業空間を再定義”する:GPC 2012(1/2 ページ)

» 2012年02月16日 09時54分 公開
[後藤治,ITmedia]

「Z」の名を受け継いだ液晶一体型ワークステーション

イベント最終日は、5カ月前にHP社長兼CEOに就任したMEG WHITMAN氏が登壇し、会場に集まったパートナー企業に向けてスピーチを行った。同氏は「HPが持つ最も大きな資産はパートナーのみなさんとの関係だ」とあいさつし、パートナーに対する安定と信頼回復を約束するとともに、ハードとソフト、サービス、インフラを持つHPの強みを改めて強調し、「HPが帰ってきた。2012年をベストな年にしよう」と語りかけた

 米Hewlett-Packard(以下、HP)は2月13日から2月15日までの3日間(現地時間)、世界各国のパートナー企業に向けて、事業戦略説明と新製品紹介を兼ねた「Global Partner Conference and Workstation Launch Event」を米国ラスベガスで開催中だ。総勢2000人を超える参加者が一堂に会した大規模なイベントで、主なトピックはパートナー企業向けのものとなるが、シンクライアントやユニークなワークステーションの新製品が披露されている。

 既報のとおり、最大の目玉は27型ワイド液晶ディスプレイを搭載する一体型ワークステーション「HP Z1 Workstation」だ。PCメーカーとして世界トップシェアを誇るHPだが、ワークステーションの分野でも同様に、同社は市場をリードする立場にある。特に「HP Z800 Workstation」が投入された2009年を境に大きくシェアを伸ばし、Dellを抜いて首位の座を堅持している。BMWのような高級車を思わせるZ800の独特なデザインを記憶に留めている読者もいるだろう。

GPCの2日目に行われた、PSG(Personal Systems Group)を統括するTodd Bradley氏によるプレゼンの中でZ1が披露された(写真=左)。ジェネラルマネージャーのJim Zafarana氏がZ800を抱えて登場(写真=中央)。ワークステーションでシェアトップのHPだが、2009年に登場したこのZ800が大きくけん引している(写真=右)

電源ユニットを簡単に取り外せる構造などZ800の特徴を振り返るZafarana氏(写真=左)。続いて登場したもう1台のZ800の中には、省スペース筐体で支持を得た「Z210」(写真=中央)。そして今回は……「POWER WITHOUT THE TOWER」と書かれた箱を取り去ると「Z1」が姿をあらわした(写真=右)

 今回登場した「Z1」も(型番から分かるとおり)ZシリーズのDNAを色濃く受け継いでいる。製品発表後に行われた複数のセッションやインタビューで明らかになった点を交えながら、Z1の詳細をリポートしよう。

HP Z1 Workstation。CADやグラフィックス製作現場での利用が想定されている

 Z1の主なスペックをまとめると、Intel C206チップセットベースの基本システムに、Xeon E3-1245(3.3GHz)/E3-1280(3.5GHz)、または Core i3-2120(3.3GHz)を搭載し、最大32GバイトのECC付きDDR3-1600メモリモジュールや、NVIDIA Quadroグラフィックス(Q500M/Q1000M/Q3000M/Q4000M)と、プロフェッショナル用途向けの構成になっている。

 ストレージは3.5インチドライブを1基、もしくは2.5インチドライブを2基搭載可能。SSDやRAID構成といったオプションも用意される。右側面に内蔵するスロットローディング式の光学ドライブはDVDスーパーマルチかBli-ray Discドライブを選択できる。本体と一体化したディスプレイは、10億色表示に対応した27型ワイド(2560×1440ドット)のLEDバックライト液晶で、視野角178度のIPSパネルが採用されている。

 インタフェースは、右側面に2基のUSB 3.0とIEEE1394a、4in1メディアカードリーダー、マイク、ヘッドフォンが並び、背面に4基のUSB 2.0、Display Port入出力、光デジタル音声出力、ギガビットLAN、音声入出力が搭載されている。このDisplay Portは、入力と出力が接続したデバイスによって自動的に切り替わり、Z1の液晶ディスプレイを外部ディスプレイとして活用できる。液晶上部には1080pに対応した200万画素Webカメラを内蔵。このほか、ネットワーク機能としてギガビットLANと802.11a/b/g/n対応の無線LAN、およびBluetooth(2.1/2.1+EDR/3.0/3.0+HS)を備える。キーボードとマウスはオプションで無線式も選択可能だ。本体サイズは660.4(幅)×419.1(奥行き)×584.2(高さ)ミリ。

左側面と右側面。インタフェースは右側面に集中している(写真=左/中央)。液晶上部のWebカメラは、上のダイヤルを回すとレンズが下を向き“プライベートモード”になる(写真=右)

ツールフリーで内部パーツにアクセスできるユニークな機構

ヘアラインの背面。持ち運びようのグリップやアルミの質感などZ800のデザインを受け継いでいる

 HP Z1 Workstationは、分厚いアルミニウムにヘアライン加工を施した背面など、Z800のデザインを受け継いでいるが、最大の特徴はそのユニークな機構だ。先に紹介した動画を見てもらえれば分かるように、Z1の液晶ディスプレイはフットスタンドに対して平行に倒すことができ、そのまま車のボンネットを開けてエンジンルームをのぞき込むように内部へアクセスできる。液晶ディスプレイを閉じるときは(手を離しても)ゆっくりと閉まるようになっている点もポイントだ。

 これを実現するうえで最も重要なのがスタンドだったと、同社プロダクトマネージャーのMike Dieh氏は語っている。液晶ディスプレイは100ミリの範囲で昇降でき、後ろに30度、前に5度傾けられるが、内部メンテナンス用(同氏はリクライニングモードと呼んでいた)としてディスプレイを水平に倒す必要がある。また、液晶ディスプレイを支えるヒンジ部分も1つのボタンで3つの可動部分をロックする仕組みになっており、テンションをどの程度にするのかなど完成までには試行錯誤があったという。「ほとんどの人はこのヒンジを見ないだろう。複雑性を隠すデザイン、“気づかせないこと”が目標だった」(同氏)。

すぐに内部へアクセスできるユニークなギミックを採用。パーツの着脱が簡単に行える(写真=左)。この機構にはさまざまな案があった。スタンドを外して背面からアクセスするタイプや液晶ディスプレイが前方へ倒れる構造も検討した(写真=中央/右)。

 Z1の内部コンポーネントはほぼすべてツールフリーで着脱ができる設計だ。ケースの中には各パーツが整然と並べられており、排気ファンに至るまできちんとデザインされている。ワークステーション用のシステムを搭載するため、排熱や騒音が気になるところだが、Z1では区分けされたクーリングゾーンの各所に内蔵する9つのサーモセンサーが排気ファンを最適に制御し、HDDのマウンタに振動を抑えるゴムを装着するなど、静音性に対する配慮が随所にみられる(ただし、具体的な騒音レベルの数字は「作業内容による」とのことで明かされなかった)。なお、Z1に搭載されるグラフィックスカードは一見通常サイズのカードに見えるが、冷却性能を高めるために、モバイル向けにカスタマイズされたMXM基板(接続はPCI Express x16)にファンとヒートシンクを組み合わせたユニークな形状になっている。

 もう1点、SRS Premium Soundに対応するステレオスピーカーを内蔵しているのも目を引く。同氏によれば、液晶一体型のフォームファクターにスピーカーを内蔵する場合、設置スペースの関係から通常は下向きに配置されるとのことだが、Z1は音質にこだわって“前向き”に内蔵したという。

スチル製の台座に樹脂製のカバーはめており、27型ディスプレイをしっかりと支えている(写真=左)。ディスプレイのヒンジ部分にもこだわった(写真=中央)。静音性について解説するR&DマネージャーのRon Rogers氏。同氏に24型モデルをラインアップに加える可能性があるかたずねたところ、「そもそも24、27、30型が検討され、結果として27型を選んだ。ニーズがあれば可能性はあるが、あえて27型が選ばれたということだ」と回答している(写真=右)

NVIDIA Q4000Mまで選択できる強力なグラフィックスパフォーマンスも特徴。GPUコンピューティング(CUDA)によって、CPU単体による処理に比べ最高で11倍性能が向上する。マルチプルビデオ編集も毎秒24フレームでスムーズにプレビューできる

グラフィックスカードはMMXでPCI x16に接続されている

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