ASUSが「Z77」搭載マザーを披露――ASUS Technical Seminar 201203Ivy Bridge待ち

» 2012年03月06日 18時00分 公開
[ITmedia]

「ASUS Technical Seminar 201203」を開催

 ASUSTeK Computer(以下、ASUS)は、ドイツ・ハノーバーで開催されるCeBIT 2012にあわせて、今後投入予定の最新マザーボードを紹介する「ASUS Technical Seminar 201203」を国内でも実施した。

 インテルの次期CPUである“Ivy Bridge”に対応したIntel Z77 Expressチップセット搭載マザーは、1月に行われた2012 Internarional CESの会期中にMSIGIGABYTEがすでに公開しているが、ASUS製品の概要が明らかになるのはこれが初めて。同社マザーボードビジネスユニットのヴェロニカ・チェン氏(Veronica Chen)とスタンリー・フェイ氏(Stanley Fei)氏が新製品の特徴的な機能を説明した。

ヴェロニカ・チェン氏

 はじめに紹介されたのは、スタンダードモデルの「P8Z77-V」シリーズだ。チェン氏はマザーボードに求められる要件として、性能や省電力のほか、現代のライフスタイルにあわせたエンターテイメント性や多種多様なデバイスとの接続性を挙げ、「よいマザーボードとはこの4つのコンセプトを満たすモノだ」と述べ、P8Z77-Vシリーズで利用できる新機能を解説した。

 まず性能と省電力については、CPUとCPU統合グラフィックス、DRAMのそれぞれに対して最適化を行うSMART DIGI+ Power Control(スマートデジプラスパワーコントロール)が、Intel VRD 12.5に対応し、CPUのボルテージを簡単に下げられるようになった(同社の説明では77ワットから35ワットと1/2以下になる)。また、このSMART DIGI+とオーバークロックコントローラである「TPU」(TurboV EVO Processing Unit)を組み合わせることにより、安定性を犠牲にせずに、CPUクロックを最大85%も向上できるとしている。

SMART DIGI+ Power Controlが進化し省電力性を強化したと同時に、TPUとの組み合わせによりOC性能も向上した(写真=左/中央)。上位の「P8Z77-V DELUXE」(写真=右)

左から「P8Z77-V PRO」と「P8Z77-V」、Intel H77を搭載した「P8H77-M PRO」

 一方、エンターテインメント向けには「Wi-Fi GO」と呼ばれるホームネットワーク機能をアピールしている。Wi-Fi GOでは、DLNAメディアハブとして2つのデバイス間でコンテンツを共有したり、iPhoneやiPadなどの携帯端末でPCをコントロールしたり、異なるデバイス間でのデータ共有が簡単に行えるという。例えば、リビングのソファに座りながら手元のiPhoneで書斎のPC内にある動画を呼び出し、DLNA対応テレビで再生するといったことができるようになる。

ホームネットワークソリューションの「Wi-Fi GO」。説明会ではリモートデスクトップや、携帯端末に内蔵された加速度センサーをメディアプレーヤーのコントローラーとして使うデモなども行われた

 このほか、ケース内に配置されたファンの回転数を最適化する「FAN Expert 2」や、高速なUASPをサポートした「USB 3.0 Boost」、ネットワークの帯域をアプリケーションごとに最適化する「Network iControl」なども紹介した。

「FAN Expert 2」のデモ。ソフトウェア上でケースファンの位置を設定すると、回転数などをモニタできる。安全境界の範囲内(70度を超えると自動的にファンが回転する)で、ファンの回転数を制御したり、回転数を固定/停止できる(写真=左)。高速UASPをサポートしているのも特徴の1つ。「Windows 8まで待つ必要はない」と同社(写真=中央)。ゲームなど遅延が許されない状況で、アプリケーションごとに帯域を調整する「Network iControl」。21時から22時まではWebブラウザを優先する、といったようにスケジュール機能も持っている(写真=右)

高耐久性をうたう「TUF」と、ゲーマー向けの「R.O.G.」

SABERTOOTH Z77。防塵カバーに覆われている

 安定性と耐久性を追求したTUFシリーズに属するSABERTOOTHは、冷却や防塵の面でさらなる改良が行われた。

 SABERTOOTH Z77では同社が“新世代のサーマルアーマー”と呼ぶ構造を採用し、I/Oファンから取り込んだ外部の空気をヒートシンク(ピン状のフィン)に送り込み、マザーボード上に配置された補助ファンによって熱源となる部分を効率的に冷却する。チェン氏によれば、この新しいサーマルアーマーによって、従来よりも14%冷却効率が上がったという。また、マザーボードの背面側とケースの狭いすき間にたまる熱を考慮して基板上に6カ所の穴を設け、うまく熱を逃がすようにしたほか、基板上の熱を12個のセンサーによってリアルタイムで監視し、ファンの回転数を最適化する「TUF Thumal Rader」も備えた。

 防塵に対しては、PCI Expressスロットやメモリスロット、スロット、USBポートを覆うカバーを用意。性能面でも内蔵グラフィックスとディスクリートGPUを組み合わせて利用する「Lucid Virtu MVP」をサポートした(ストリートファイター4のベンチマークで25%ほどの性能向上がみられたという)。

IO側から取り込んだ空気を熱源に回し、基板上の補助ファンによって効率的なエアフローを作りだす新世代サーマルアーマーを搭載した。従来の冷却システムと比べて14%ほど冷却性能が向上したという


R.O.G.で最初に登場する「MAXIMUS V GENE」

 一方、オーバークロッカーやゲーマー向けの「R.O.G.」に属する「MAXIMUS V」シリーズは、「MAXIMUS V GENE」「MAXIMUS V FORMULA」「MAXIMUS V EXTREME」の順に投入される。これまでハイエンドのEXTREMEから投入されるのが通例だったが、スタンリー氏は「より多くのクレイジーなアイデアがあってそれを検討中のため(EXTREMEが最後)」とのことで、今回はMAXIMUS V GENEを中心に解説した。

 同氏は新モデルのキー技術として、SMART DIGI+ Power Controlを強化した「Extreme Engine Digi+ II」のほか、オンボードのサウンド機能である「SupremeFX III」をアピールした。「オーディオはゲームで重要視される部分だが、これまでオーディオチップは電波干渉が大きいため軽視されてきた」とチェン氏はオンボードでのサウンド提供の難しさを語る。そこでMAXIMUS V GENEでは、オーディオチップの領域とそれ以外で基板を区分することにより干渉を抑え、シールド技術とスチル製のカバーでチップを保護することにより、品質の高いサウンドを実現した(スライドの説明によればSN比は110デシベル)。このほか、mini-PCIeとmSATAのコンボスロットを搭載したのも目を引くポイントだ。

MAXIMUS Vのロードマップ。MAXIMUS V FORMULAにあわせてオーディオユニットのThunderFXも投入される(写真=左)。MAXIMUS V GENEの概要(写真=中央)。オンボードながら「ロスレス品質」(同社)という「SupremeFX III」(写真=右)

 もう1つ、MAXIMUS V FORMULAのみで提供されるというユニークな冷却機構も紹介された。同社が「Fusion Thermo System」と呼ぶこのシステムは、ヒートシンクを貫く2本のパイプのうち1本がヒートパイプ、もう1本が水冷用のパイプになっており、CPU周辺の熱を強力に冷却するという。同社が実施したテストでは、温度を測定したマザー状の6カ所で20度ほど温度を下げることに成功したとしている。

MAXIMUS V FORMULAのサンプル(写真=左)。新しい冷却機構「Fusion Thermo System」がCPUソケットの回りを囲う(写真=中央)。内部には2本のパイプが貫いている(写真=右)

 このほか、R.O.G.ファンに向けて、コミュニティサイト上で、オーバークロックのプロファイルをほかのユーザーと共有できる「ROG Exchange」や、メモリチューニングを簡単に行える「Mem TweakIt」を提供する予定であることを明らかにした。

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