既報の通り、日本ヒューレット・パッカード(HP)は4月9日、27型ワイド液晶ディスプレイを搭載する液晶一体型ワークステーション「HP Z1 Workstation」、ならびにミニタワー型のワークステーション「HP Z420 Workstation」「HP Z620 Workstation」「HP Z820 Workstation」を発表した。HP Z1 Workstationは2012年4月23日、その他の3製品は2012年4月26日に発売する。
HP Z1 Workstationは、2012年2月にラスベガスで行われた「Global Partner Conference」で発表したモデルで、今回の発表で日本での発売日が確定した。
同日行われた製品発表会では、日本HP取締役 副社長執行役員の岡隆史氏が登壇し、HP Z1 Workstationの開発背景について説明した。本製品は省スペースをウリにしているが、日本のオフィス向けに開発した製品なのだという。
岡氏は「日本のオフィスは、個人で大きな作業スペースが確保されていないことが多く、省スペース型のPCやオールインワン型が求められる傾向にある。日本のオフィスを見た開発チームは、欧米仕様の製品をそのままアジア、特に日本に適用することは難しいと感じ、日本のオフィス事情に合わせたワークステーションを作るきっかけになった。過去には、日本向けに開発された製品が世界中で売れた例もある。HP Z1 Workstationもそういった製品になってほしい」と語った。
また「ワークステーションはエンジニアなど特殊な人が使うマシンだと思われがちだが、海外ではエグゼクティブや作業効率を求めて導入している。日本でも作業効率が上がるマシンとして訴求し、もっと多くの人にワークステーションを導入してもらいたい」と岡氏は述べた。
製品発表に合わせて、新しいサポートサービスも発表した。日本HPは2012年5月10日から、法人向けPCを対象に土曜日や休日でもオンサイト修理に対応する「HP Care Pack 休日修理サービス」を開始する。岡氏は「今年の夏は、節電対策で休日をずらして土日に稼働する企業も出てくるはず。日本の特殊事情に合わせたサービスだ」と説明した。
製品説明は同社パーソナル・システムズ事業統括 ソリューションシステム製品本部 本部長の小島順氏が行った。
小島氏はまず、日本国内のワークステーション市場におけるシェアについて説明した。リーマンショック以降、一度は販売台数が落ち込んだものの、着実に販売台数を伸ばし、現在は40%程度と日本国内ではトップのシェアを獲得している。
HP Z1 Workstationの想定顧客については、CADなどを使う建築事務所、ハイエンド向けの映像/写真編集を行うアーティスト、デザイン関連の学校を挙げた。このほか「画面が広いため、より多くの情報から判断を行う必要がある企業のエグゼクティブなどにも向いている」(小島氏)という。
ミニタワー型のワークステーション「HP Z420 Workstation」「HP Z620 Workstation」「HP Z820 Workstation」については、大きなデザインの変更はないが(Z420のみZ210と同じデザインに変更した)、最新プロセッサの「インテルXeon E5シリーズ」を搭載し、搭載可能な最大メモリ容量を増やし、拡張性を確保したことを強調した。
ヒートポンプやラジエーターが一体となった最新の水冷ユニットを搭載したことも特徴で、「新CPUではターボブースト機能が強くなっている。冷却機能が上がるということは、クロック数の上昇、もっと言えばオーバークロックにも対応できる」と小島氏はアピールした。
質疑応答では、HP Z1 Workstationのハイエンドモデルについて質問が飛んだ。スタンダードモデルの価格は25万2000円(税込み)だが、300GバイトのSSDを2基搭載するなどリッチな構成となるハイエンドモデルの価格は58万8000円。ハイエンドモデルはどれだけ売れると見込んでいるのか、という質問に対して小島氏は「基本的にはスタンダードモデルのスペックで十分。おそらくスタンダードモデルとハイエンドモデルで8対2といったところだろう」と答えた。
HP Z1 Workstationの販売目標は明示していないが、日本国内におけるワークステーションのシェアを45%まで上げることを目標としている。
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