やっぱりあると便利です――光学ドライブ搭載Ultrabook「Inspiron 14z」を試す重さも厚さも増えるが、メリットもある(3/3 ページ)

» 2012年08月06日 15時45分 公開
[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Ultrabookとしては標準的、ゲームをするなら上位モデルを

photo Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、HDDを搭載するUltrabookとしては標準的だが、グラフィックスが5.0と低い。プライマリハードディスクのスコアはキャッシュ用SSDの効果が反映されないため、スコアは5.9にとどまっているが、プロセッサのスコアが6.9であるなど、Windows 7を快適に扱える性能は備えている。

 ベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、PCMark Vantage(x64)、3D系ベンチマークテストの3DMark06、3DMark Vantage、ストリートファイターIV ベンチマーク、モンスターハンターベンチマーク【絆】を行った。CPU、データストレージ、グラフィックスといったスペックが共通するHPの14型Ultrabook「HP ENVY4-1000」と15.6型Ultrabook「HP ENVY6-1000」(この機種はメモリが8Gバイト)のスコアを併記する。

 仕様がほぼ共通していることもあり、多少の差はあれど、スコアは全体的に似通った数値となった。下位のプレミアムモデルでも他社のHDD搭載Ultrabookと遜色ないスペックを備えていることが分かる。少し予算を増やし、Core i7搭載のプラチナモデルにすればベンチマークテストの結果はさらに向上するだろう。外付けGPUも搭載するので、負荷が高くない3Dゲームであれば快適にプレイできそうだ。

photophoto PCMark 7(写真=左)とPCMark Vantage(写真=右)のスコア
photophoto 3DMark06(写真=左)と3DMark Vantage(写真=右)のスコア
photophoto ゲームタイトルベンチマークのスコア。ストリートファイターIV ベンチマーク。低負荷は解像度1280×720ドット、アンチエイリアス:NONE、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:低、モーションブラー:低、パーティクル:中、エクストラタッチ:OFFに設定。高負荷は解像度1366×768ドット、アンチエイリアス:4x、垂直同期:OFF、モデル:高、背景:高、ソフトシャドウ:最高、モーションブラー:高、パーティクル:高、エクストラタッチ:OFFという設定だ(写真=左)。モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】のスコア(写真=右)

バッテリー動作は5時間、持ち出すときは注意

 PCMark 7を実行している最中の騒音レベルを計測したところ、38デシベル(環境騒音32デシベル、室温28度、本体手前5センチの位置で計測)と高負荷時の動作音もうるさいとは感じない。起動時やWebブラウズなどの普段使いにおいてもファンが回ることはあるが、騒音はほぼ気にならない。

 Inspiron 14zは、ベンチマークテストを実行時など、システムに高い負荷がかかると、左側面にある排気口から温かい排気が吹き出し、キーボード左側が熱を持つ。室温約28度の環境下で、PCMark 7実行中に表面温度を測ったところ、キーボード左側「S」キーの表面温度が最も高く、約39度まで上昇した。普段使いでは温度はほぼ上がらないが(室温約28度で、31度くらい)、動画エンコードや3Dゲームなど負荷がかかる動作を長時間行うときは注意したい。

 搭載するバッテリーは4セル式で、ユーザーによる着脱には対応しない。バッテリー動作時間の公称値は約7時間30分で、実動作時間の測定は、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」で、PCは無線LANに常時接続、電源プラン「バランス」(液晶の輝度は16段階中下から7レベル)でテストを行ったところ、バッテリー残量5%で休止状態へ移行するまで、4時間55分だった。

 公称値の約7時間30分よりも2時間以上短く、Ultrabookとしては少し物足りない気もするが、家の中で移動して映画や音楽などのコンテンツを楽しんだり、SNSを使う分には、バッテリー残量に注意しつつ、必要ならACアダプタに接続することでバッテリー切れは避けられそうだ。外に持ち出すとなると少々心もとないが、移動時間や空き時間に作業をする程度ならば、十分バッテリーは持つだろう。

photophoto 付属のACアダプタは、実測のサイズが約45(幅)×106(奥行き)×30(高さ)ミリと比較的コンパクトだが、電源ケーブルは3ピン仕様の太いものなので少しかさばる。ケーブルを含めた重量は422グラムだ(写真=左)。底面中央にあるカバーを外すと、2基のSO-DIMMスロットにアクセスできる。手前側には2ワット+2ワットのステレオスピーカーを備える(写真=右)

Ultrabookに内蔵光学ドライブ、その恩恵は?

photo Inspiron 14zは光学ドライブを内蔵しているのが大きな特徴だ

 さて、本機の大きな特徴である光学ドライブについて考えてみよう。いろいろな場所に持ち運んで使えるよう、薄いボディを目指すUltrabookにとって、光学ドライブを搭載すれば、当然ボディの重さや厚みが増え、持ち運びには不利になってしまう。実際、Inspiron 14zは、厚さ21ミリで重さ約1.89キロと、外に持ち出すにはちょっと厳しい。バッグに入れるにしても、相応の場所を取る。

 また、昨今は普段使いにおいて光学ドライブが必要な場面はあまりない。データの移動は大体USBメモリで事足りるし、無料のオンラインストレージなどもある。リカバリーディスクの作成や、ソフトウェアのインストールなどで、どうしても光学ドライブが必要ならば、USB接続の外付けドライブを購入すればいい。

 とはいえ、内蔵だと便利だと思う場面もある。CDの音楽をPCに取り込むときなど、外付けドライブを接続する手間がないし、家の中で移動してDVDなどの映像コンテンツを楽しむといった使い方もしやすい。内蔵の光学ドライブは“もしものため”とか“あると便利”という役割を持つわけだ。

 ビジネス用途ならば、光学ドライブが活躍する場面は増えるだろう。ビジネス関連の資料は依然としてDVD-ROMでやりとりすることが多いし、出先で急にソフトをインストールする必要ができるといったシチュエーションも考えられる。

photo Inspiron 14zは、スタンダードノートPCの発展系という色合いが強い

 Inspiron 14zは、光学ドライブを搭載したことで、ほかの14型Ultrabookに比べ“さまざまな使い方に対応できる、標準的な家庭用ノートPC”というイメージが強くなった。標準的な家庭用ノートPCに、起動の速さや軽さといったUltrabookの恩恵を付加する――Inspiron 14zはUltrabookというよりも、万人に受け入れられる、売れ筋スタンダードノートの発展系と捉えるのが正しいように思う。

 「家でちょっと使うくらいのPCがほしい」など、特定の目的はないが、とりあえずPCがほしいという人がいれば、このPCを勧めてみてはどうだろう。下位のモデルであれば6万円台中盤と手が出やすいし、性能を求めるのなら、Core i7、8Gバイトメモリ、外付けGPUを搭載するプラチナモデルもいい。必要とあらば、Office Home and Business 2010(+2万1000円)を加えても10万円。このコストパフォーマンスの高さも本機の大きな魅力だ。

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