レビュー
» 2012年08月15日 13時00分 公開

フルHD超えで“Retina”を追撃:あらゆるシーンに対応する万能マシンか?――至高のAndroidタブレット「ASUS Pad TF700T」を味わう (2/3)

[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]

輝度600カンデラ/平方メートルのSuper IPS+液晶を搭載

photo 10.1型の液晶ディスプレイは、1920×1200ドット表示に対応する。画素密度は224ppiとなり、RetinaディスプレイモデルのMacBook Pro(220ppi)とほぼ同等となる

 本製品の10.1型液晶ディスプレイは、解像度1920×1200ドット(WUXGA)に対応しており、画素密度はICONIA TAB A700と同じく224ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)となる。9.7型のRetinaディスプレイを搭載した第3世代iPadの解像度(2048×1536ドット、264ppi)には及ばないが、ドットが視認できないくらいに表示は精細だ。IPSパネルを採用しているので、視野角も上下/左右で170度と広い。また、従来よりも強度を約25%向上したゴリラガラス2を採用しているため、衝撃や傷に強くなっているというのもポイントだ。

 ディスプレイの表面には、指紋が付きにくいという「アンチフィンガープリント」を施している。もちろん指紋は付き、汚れないわけではないのだが、少なくとも使用時の視認性に影響が出るほど、汚れで曇ることはなかった。

 液晶パネルは光沢(グレア)仕上げだが、低反射処理が甘く、鏡のように自分の姿がはっきりと映りこんでしまう。輝度を上げれば、ある程度軽減されるものの、周囲の風景や照明が映り込み、気になってしまうことが多かった。また、明るい部分は少々白飛びが見られる。

 輝度については、明るい場所での視認性を向上させる「Super IPS+ mode」を有効にすることで600カンデラ/平方メートルまで輝度が上がる。屋内ではむしろまぶしいと感じるほどで、使う場面は多くはなさそうだ。屋外で利用するときに、見づらいならば使用するというくらいがちょうどいい。

photophotophoto TF300Tと解像度を比較した(写真=左)。TF300TとTF700Tそれぞれでホーム画面のアイコンを拡大した。TF300T(写真=中央)よりもTF700Tのドットが細かいと分かる(写真=右)

 動画や電子書籍といったコンテンツを精細な表示で見ることができるので、電子書籍のビュワーとして使うなり、映像コンテンツを入れて持ち歩いたり、高画質の動画ストリーミングサービスを使うのもいい。逆に低解像度のコンテンツは、引き延ばされてジャギーが出るといった現象はICONIA TAB A700と同様だ。

 AsusPad TF700Tは、電子書籍ストアアプリ「BookLive」をプリインストールしているほか、音楽/ゲーム/ニュースなどのコンテンツ配信サービス「asus@vibe」(ほとんどのコンテンツが英語なので注意が必要)、アプリケーションをパスワードでロックできる「App Locker」、容量8Gバイトのオンラインストレージやリモートデスクトップ機能が利用できる「MyCloud」、DLNAネットワーク上のファイルを再生できる「MyNet」など、独自のアプリを数多くプリインストールしている。

 また、ICONIA TAB A700と同じく、Office文書の作成、編集、閲覧ができる「Polaris Office」を標準で導入している。WordやExcel、PowerPointなどのOfficeファイルを閲覧できるほか、簡単な資料ならば作成できる。ただし、グラフのテンプレートが少なかったり、プレゼンテーションがアニメーションに対応しないなど、複雑なデータを作成するのは厳しい。

 お勧めのプリインストールアプリは「Press Reader」だ。世界中の新聞が読めるリーダーアプリだが、本機の高解像度を体感できる(月額29.95ドル、無償トライアル版でスポーツ報知や毎日新聞などが1日分だけ読める)。縦置きにすれば、新聞の1ページがしっかりと収まり、細かい字もつぶれずにくっきりと表示されるので非常に読みやすかった。

キーボードドックはノートPC並の快適さ

 キーボードドックのキーボードは、「Eee Pad TF201」と同じく6段配列で、アイソレーションタイプを採用している。キーの配置も同じで、最上段にはディスプレイ輝度やボリューム調整のほか、カメラ切り替え(イン/アウト)、無線機能のオン/オフ切り替え、戻る、スリープへ移行など、Android用のショートカットキーを配置する。ホームボタンや検索ボタンも独立したキーで用意している。

 主要キーのピッチは17.5(横)×16.5(縦)ミリと、フルサイズよりも狭いが、特に気をつけなくても、ミスタッチは少なかった。上下左右のカーソルキーなど一部のキーは、キートップのサイズが10(横)×14(縦)ミリと小さいことは気になったが、このサイズのデバイスに搭載するキーボードにすべてのキーで均等な幅を求めるのは酷だろう。

photophoto キーボードドックを装着することで、クラムシェル型のノートPCのように使えるのが大きな特徴だ(写真=左)。6段配列のアイソレーションタイプを採用したキーボード。キーピッチは多少狭いが、しっかりとしたクリック感があるため打ちやすい(写真=右)

 キーボードはしっかりとしたクリック感があり、たわみなどもほとんど気にならないので、快適にタイピングできる。タイピング練習サイト「e-typing」を利用し、普段使用するノートPC「ThinkPad T410i」とタイピング速度を比べてみた。指定された例文を10種類を打つというもので、個人差が大きいテストだが、筆者の場合、結果は約310文字(ローマ字)/分だった(ThinkPad T410iの場合は約360文字)。1分間に約150〜160文字ということで、SNSの書き込みやメモを取るのはもちろん、会議の議事録を取るなどスピードが求められる場面でも使用できそうに思える。

 だが、スピードが求められる場面では変換速度の問題がある。本機は、日本語入力ソフトとして富士ソフトの「FSKAREN for Android」を導入しており、キーボードで文字を打つと、直ちに予測変換の候補リストを画面下に表示する。スペースキーやカーソルキー、または画面へのタッチで候補を選択するが、変換精度が低く、変換に時間がかかることが多かった。とはいえ、Androidのソフトウェアキーボードを使うより快適なので、長文を打つならば使ったほうがいいだろう。

photophoto e-typingの結果。キーボードドックを使い始めて間もないときにテストを行ったが、ノートPCと同じくらいのスピードでタイピングできた(写真=左)。FSKAREN for Androidによる予測変換。文節や単語で細かく変換すると変換候補がヒットしやすいが、PC環境のように短文を丸ごと変換するような使い方は厳しい(写真=右)

 タッチパッドは左右のクリックボタンが一体になったタイプで、サイズは80(横)×45(縦)ミリだ。11.6型や13.3型サイズのノートPCが備えるタッチパッドに比べれば小さめだが、カーソル操作やマルチタッチジェスチャー(2本指での上下・左右のスクロールなど)を満足に行える。カーソルの追従性も悪くないが、ときどき指がパッドの表面をうまく滑らないことがあるのは気になった。

 キーボードドックのインタフェースは、右側面にUSB 2.0とメディアカードスロット(SDHC対応SDメモリーカード、MMCを利用可能)を、左側面には充電用のコネクタを備える。USBメモリを直接接続してデータを参照できるのは非常に便利で、例えばインターネット接続環境が用意できない場合でも、PCからUSBメモリ経由でデータを持ち出せる。メディアカードスロットもデジタルカメラで撮った写真をすぐに取り込んでアップ、といった用途に使える。

 また、キーボードドックはバッテリーを内蔵しているため、いざというときの予備バッテリーにもなる。本体のバッテリーが少ないときは、キーボードドックを接続するだけで、自動的に本体を充電してくれる。充電の状況やバッテリー残量は、ホーム画面にあるウィジェットで確認できるところもうれしい。USBケーブルで接続すれば、スマートフォンの充電も可能だ。

 キーボードドック単体の重量(実測値)は約540グラム。タブレット本体と合わせても重量は約1.145キロと、軽めの11.6型ディスプレイ搭載のUltrabookと同程度の重さで、持ち運びやすさを損なわないし、バッテリー動作時間が約14時間まで増えるのはありがたい。

 タブレット本体を装着した状態では、ヒンジが約130度まで開く。キーボードドックにバッテリーを内蔵し、ドック側に重みをつけることで、タブレット本体を装着しても自重で後ろに倒れないよう工夫している。ヒンジを開くと、キーボードドックの後部が少し浮いて、キーボードに角度が付き、キーが打ちやすくなるというのもポイントだ。

photophoto キーボードドックを接続した状態の正面(写真=左)と背面(写真=右)。タブレット本体と装着した場合の重さは1.145キロ、厚さは19.4ミリと薄くて軽いため、持ち運びも楽だ
photophoto キーボードドックの左側面には充電用のコネクタを(写真=左)、右側面にはSDメモリーカードやMMCに対応するメディアカードスロット、USB 2.0を備える(写真=右)

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