「Haswellが動いた!」──“次世代”Ultrabookも集結したIDF基調講演IDF 2012(1/2 ページ)

» 2012年09月12日 18時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Windows 8登場後も進化を続けるUltrabook

基調講演を行うダディ・パルムッター氏。右手にAtom、左手に「Xeon Phi」をもつ。これらのCPUでローエンドからハイエンドまでカバーできるのがIntelの強みだ

 スマートフォンやタブレットデバイスを中心に、ARM搭載製品が急増しており、近い将来にはPCだけでなく、サーバへの進出も見込まれている。こうした中、「Intel Developer Forum 2012」(IDF 2012)初日となる9月11日(現地時間)の基調講演で、Intel Architecture Group(IAG)ジェネラルマネージャ 兼 エグゼクティブ上級副社長のダディ・パルムッター氏は、超低消費電力のAtomからHPCで利用するハイエンドのXeon Phiまで、あらゆる領域をカバーし、つねに進化を続けるIntelの力を訴求した。

 そのIntelが最近注力する「Ultrabook」では、2011年の段階では「価格が高い」「選択肢が少ない」「製品が(機能的に)洗練されていない」といった理由でメインストリームになれなかったが、現行のIvy Bridge世代のCPUを搭載する「第2世代Ultrabook」では、Windows 8の登場も控えて多くの対応製品を予定している。そして、2013年には次のCoreプロセッサアーキテクチャとなる「Haswell」を搭載した製品を市場に投入することになる。

2011年に登場したUltrabookは、CPUとともに進化する。2013年には第4世代Coreアーキテクチャ「Haswell」を採用したモデルを展開することになる(写真=左)。現行の第2世代Ultrabookは、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーを採用する。パルムッター氏が手にするのは、LenovoのIdeaPad YOGAで、奥にはソニーのVAIO Duo 11が見える(写真=右)

 一方で、Windows 8がタッチ操作やスレートタイプのデバイス対応を訴求することもあって、第2世代のUltrabookでは、クラムシェルタイプだけでなく、ボディデザインや機構設計でも多くのバリエーションが登場する。ASUSの「Transformer」シリーズで普及したキーボード搭載ドッキングステーションを接続してクラムシェルタイプに、取り外して本体だけでスレートタイプとして利用するアイデアは、その典型的な例だ。

,,Ultrabookでは、4種類のフォームファクタを定義している。スレートタイプのタブレットにクラムシェルタイプ、その両方に変形できるコンバーチブルと、キーボード搭載ドッキングステーションを着脱する「ディタッチャブル」だ

 Intelが、これからのUltrabookで取り入れていこうとしているのが、「Natural Intuitive Computing」(自然で直感的なコンピューティング)と「NFC」(Near Field Communications)だ。前者は、いわゆるナチュラルユーザーインタフェースの一種で、キーボードやマウス以上に直感的な操作を志向する。現在は、タッチUIがその役割を果たしているが、パルムッター氏によれば、「タッチUIは終着点ではなく、むしろスタート地点だ」と、今後も新しいUIを模索することが重要としている。基調講演では、ほかにも音声入力とMicrosoftのKinectのようなモーションセンシングによる操作を紹介している。前者について、NuanceがDragon Assistantのβ版をUltrabook向けに提供することを表明しており、Ultrabookの入力手段として音声認識が一般的なものとなる可能性がある。

Intelが最近注力するNatural Intuitive Computingとは、キーボードやマウス以上に直感で操作可能なユーザーインタフェースのことだ。現在はタッチが主流だが、これは終着点ではなくむしろスタート地点だという(写真=左)。Nuance Communicationsの「Dragon Assistance」を使った音声入力でPCを操作するデモ。「サングラスをAmazon.comで検索」など、複雑な命令にも対応する。2013年第4四半期にUltrabook向けβ版を提供する予定だ(写真=右)

Creative TechnologyのモーションセンサーとSoftKineticを組み合わせたモーションセンシングでPCを操作する。サンプルとしてゲームやデモが入っており、基調講演では手の動きで太陽系をコントロールするデモを紹介し、拡大、縮小、そして回転が手の動きで自由に行った

 NFCについては、最近になってVisaやMasterCardといったクレジットカード会社との提携をIntelが発表しており、非接触ICカードを用いたオンライン決済にNFCを利用する実験を行っている。具体的には手持ちの非接触ICカード(MasterCardやPayPassなど)をUltrabookに搭載したNFCカードリーダにかざすと、カード情報から安全にオンラインショッピングを行う。シンプルだが、安全にトランザクションを通すためのセキュリティ技術が実装してていることを示している。

Intelは過去にVisaやMasterCardなどクレジットカード会社との提携を発表しているが、UltrabookにNFCを搭載することでカードによる安全なモバイルコマースが可能になるというデモが初紹介された(写真=左)。MasterCardの非接触ICカードであるPayPassを、UltrabookのNFCリーダーに載せ(写真=中央)、ショッピングサイトで支払い方式にPayPassを選択すると、カードを認証して自動的に入力フォームを入力して決済を完了する(写真=右)。Ultrabookにセキュアエレメント(SE)を内蔵し、Intel Identity Protection技術を使ってデータを保護しつつ、ICカードとサーバとのやり取りを中継する

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