パルムッター氏は、基調講演でWindows 8について繰り返し言及している。これは、次世代のUltrabookを利用するユーザーが増えるきっかけとしてIntelが期待していることを示唆している。それと同様に、基調講演でクローズアップしているのがAtomだ。フォームファクタごとにCoreプロセッサー・ファミリーとのすみ分けを明確にしている。Intelが想定するAtomの競合はARMであり、そのうえで、Coreプロセッサー・ファミリーを補完してあらゆる分野をインテルアーキテクチャでカバーするのがIntelの狙いだ。
Ultrabookでは、2013年にも第4世代Coreプロセッサー・ファミリーにあたる「Haswell」(ハスウェル)が登場する予定だ。20分の1といわれるアイドル時における消費電力の低さと、「SoC(System on Chip)への対応がHaswellで重要なポイントとなる。前者は「非アクティブ時でも、バックグラウンドでメールの送受信やSNS関連データのアップデートを行い、常に最新情報を入手しておく」というスマートフォンなら当たり前の機能をPCでも可能にする技術だ。
後者のSoC化は、消費電力低減や低コスト化において重要な要素で、これまで2チップソリューション、または、3チップソリューションの名称で「CPUとチップセット」のコンビネーションを重視していたIntelが、主力製品でもシングルチップソリューションを採用することになる。パルムッター氏は「今後もSoC化は進んでいく」と述べており、Haswell以降の世代でも、引き続きSoCを提供することになりそうだ。
IDF2012では、Haswellの動作デモを初めて公開した。主に統合した新しいグラフィックスコアのパフォーマンスと、低い消費電力を訴求するデモで、会場ではIvy Bridge世代のCPUを搭載するシステムと比較している。3Dグラフィックのデモでは、Haswellでは問題なく処理できても、同じ表示オプションを設定したIvy Bridgeではフレーム落ちが多発するなど、パフォーマンスの違いが明らかに確認できた。一方で、同じ設定オプションで両者の動作を比較した場合、Haswellの消費電力はIvy Bridgeの2分の1で済んでいる。このような、Haswellにおける余裕のあるTDPを利用して、PCの薄型化も実現する見込みで、基調講演では、Haswellを搭載したIntelのコンセプトモデルを公開して、その薄さを訴求した。
新世代のUltrabookでは、IFA 2012でも登場したソニーのVAIO Tap 20など、通常の液晶一体型PCとしてもテーブルタイプのPCとしても利用できるモデルが、今後多数登場する可能性があるという予想を示した。ナチュラルUIへの取り組みも強化しており、開発者向けに「Perceptual Computing SDK Beta」の提供を始めている。この取り組みは、ユーザーインタフェースの進化を促して、今後数年におけるUltrabookの利用方法にも影響を及ぼすだろう。
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