では、あくまで一例として、NTTドコモのXi(LTE)対応スマートフォンを用い、自宅でのXi接続時と自宅Wi-Fi接続時の通信速度を比べてみよう。自宅の固定回線はNTT東日本のBフレッツハイパーファミリータイプ(最大100Mbps)で、PCで測定した実速度は下り50Mbpsほど出る環境。SPEEDTEST.NETアプリのTokyoサーバを利用して計測した。
下り速度についてはどちらもMbps単位で出ているので、Webサイト表示や、YouTubeのストリーミング動画再生など、普段使いの範囲では双方不便なく利用できる。ただし、数値としての差は歴然だ。上り速度は(当測定場所においてはという条件ではあるが)Xiが3G時代並みの260kbpsほどにとどまり、自宅Wi-Fiの速度とは大きな差が付いた。
加えて、自分のスマートフォンで3G/LTEと自宅Wi-Fiを実際につなぎ替えて使い分けると、レスポンス──例えば、あるサイトのリンクをタップし、すぐ通信が始まり、表示されはじめるまでの時間──が意外と違うのもよく分かる。たいていは自宅Wi-Fiのほうが良好で、パッパッとアクセスできるようになると思う。実際、通信速度とともに測定した「PING」値(通信の応答速度の値。数値が小さいほどレスポンスが高速であることを示す)を確認すると、Xiの140ミリ秒前後に対し、自宅Wi-Fiは25ミリ秒ほど。値としてもケタ違いだ。
もう1つ、アプリケーションのダウンロード/アップデートも安心してできる。LTE対応の最新のスマートフォンやタブレットを購入したら、たいていの人は料金プランもLTEに対応したプランにする。携帯電話事業者のLTEデータ通信プランは、基本は定額制のパケット通信料金(あるいは2段階制で料金に上限のあるプラン)を用意するが、実はその料金内で使えるデータ通信量の“上限“も設定されている。国内通信事業者の多くは、直近3日間の3G/LTE合計データ通信量が「1Gバイトまで」、および月間の同合計データ通信量「7Gバイトまで」の制限を設けており、その量を超えると「追加料金を支払う」か「通信速度がグッと遅くなる(例えば、128kbpsに 対象月の終わりまで)」の選択を迫られる。
こちら、アプリのダウンロードやYouTube動画の再生などをすべて3G/LTEのデータ通信だけでやるとしたら……。速度が安定しないために時間がかかる可能性があるほかに、スマートフォンの利用料金が高くなる、あるいは128kbpsに制限され、今後の使い勝手が大きく悪化する可能性がある。ちなみに、一般スマートフォンユーザーが大量のデータ通信を行う機会はストリーミング動画の再生、ネットワーク型ゲームアプリの利用、アプリの大量ダウンロード/アップデートが思いつく。どちらも時間があるときに、しかも自宅で実施することが多いだろう。
ということで、自宅では固定インターネット回線+Wi-Fiの「自宅Wi-Fi」に切り替えれば、より快適かつ安定した速度で使えるようになるとともに、LTEサービスのデータ通信量上限に達してしまって不自由になる可能性もほぼ解消できるようになる。
とはいえ……導入における初期費用、そして設定が難しそうと心配する人もいるだろう。そういう人は「だれでもカンタン」に設定できるよう工夫した機能と、実売3000円前後の低価格を実現する初心者向けWi-Fiルータの導入を検討してみてほしい。
次回はそんなユーザー向けの簡単モデル「AtermWR8165N」を例に、らくらくWi-Fi設定機能の「簡単さ」をチェックする。
(後編へ続く)
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