Latitude 10はビジネス向けのWindows 8タブレットとして登場し、2013年1月から個人向け販売が始まった。プロセッサはインテルのタブレット向けSoC(System On a Chip)であるAtom Z2760(1.8GHz)を搭載し、メモリはLPDDR2で容量は2Gバイトとなっている。
このような構成なので、ハードウェアの処理能力に過度な期待をするのは禁物だ。水彩ブラシなど負荷のかかりやすいツールでブラシサイズを大きくすると、ペンに対する追従性が悪くなる。ブラシサイズが100を超えると、表示がカクカクになって素早い描写は難しい。一方で線画はサクサクと書き進められ、不満は感じなかった。色塗りをイチからやるには“イライラに耐える”覚悟がいるが、デッサンや下書き、ペン入れといった用途であれば十分に使えるというのが、筆者の感想だ。
ディスプレイは10.1型ワイド液晶で、解像度は1366×768ドット。絵描き的には、視野角が広く色度変移が少ないIPS液晶を採用している点がありがたい。画面サイズに関しては、「もう少し大きいとさらに使いやすくなるな」という感じ。10.1型だと1366×768ドットの解像度でも表示が細かすぎて、操作パネル上にある小さなボタンなどで誤操作が起きやすいのだ。

縦横自動検知機能が備わっており、同機能をオンにした状態で画面を縦にすると、自動的に縦表示に切り替わる(写真=左)。IPS方式の液晶パネルを採用しており、斜めから見てもコントラストと色の変化が少ない(写真=右)一方で、10.1型ボディの可搬性は圧倒的といえる。iPad程度の大きさなので、大抵のバッグにポイッと放り込めるし、かさばらない。持ち運べるお絵描きノートとして考えれば非常に魅力的だ。おまけに、消費電力が低いAtomを採用したことでバッテリーが長持ちするのも頼もしい。バッテリーは着脱可能で、9時間以上動作する(詳しくはレビュー記事を参照)。
こうした高いモバイル性能を持っているだけに、ボディにペンの収納機構がないのが惜しい(あくまでペンはオプションなので仕方ないところもあるが)。バッグにタブレットを入れた後、「あ、ペンはどこにしまおう」となってしまうのだ。試す時間がなかったが、大きな手帳向けのペン収納付きバンドなどを活用すると、持ち運びに便利かもしれない。
外部インタフェースが充実している点にも触れておきたい。microSDではなく標準のSDカードスロットを備えているので、デジカメで撮影した資料をササッと取り込んでイラストに生かす、なんてことが出先でも手軽にできる(その気になれば、本体搭載のカメラで資料を撮ることも可能だ)。標準サイズのUSB 2.0ポートも備えており、USBメモリを使ってイラストデータのやり取りも容易に行える。

本体上面には電源ボタン、画面回転ロックボタンのほか、SDメモリーカードスロットを搭載し、デジカメで撮った資料などもサクっと取り込める(写真=左)。下面には充電コネクタとMicro USBを搭載(写真=右)


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