というわけで、個人的に所持していたゲームを片っ端からインストールして“どれだけ動くか”を試してみることにした。レトロゲーム機風のカジュアルゲームから、じっくり腰をすえて遊びたいシミュレーション、根をつめてやりこみたい格闘ゲーム、美麗なグラフィックスがウリのアクションアドベンチャーなど、ジャンルも推奨スペックもそれぞれ異なる計13タイトルを用意。それぞれのゲームごとに「ほどほどに遊べる」セッティングを調べてみたい。
……と意気込んだものの、具体的な話に入る前にいくつかハードルが存在した。まず、ゲームには必須なサウンド再生の問題だ。BRIXもインテル製NUCと同様に、オーディオ出力用のインタフェース(アナログ出力/光デジタル出力)を備えていないので、本体に直接スピーカーを接続することができない。
解決方法としては、HDMI出力経由のオーディオを使うか、別途USBオーディオ機器を接続するかの2択になる。USBオーディオ機器を接続する場合には、ただでさえ少ないUSBポートを1つ消費してしまうか、USBハブ経由で接続するかを選ばなくてはならないのだ。
またゲームをするなら当然、ゲームコントローラ+マウス+キーボードの同時接続が必須になる(はずだ)。……やはりここでもUSBポートが足りない。せっかくのミニPCにゴテゴテとUSBハブをつなぎたくない!とは思うものの、物理的に足りないものは仕方がない。操作系はまとめてUSBハブに接続するのがベターだろう。本体をVESAマウントでディスプレイ裏側に設置し、USBハブを手が届く位置に置いておく、という運用もよさそうだ。
もう1つ、ストレージ容量の問題がある。評価機は容量120GバイトのSSDを搭載していたが、今回のテストではそれなりに大容量のゲームも取りそろえたため、あっというまに限界近くまで容量を使いきってしまった。
本体側にはシャドーベイなどは皆無なので、外部ストレージに頼るしかない。ストレスなくゲームを導入したいなら、外付けのUSB 3.0対応HDDを追加するか(またもUSBポートが足りない!)、別途ファイルサーバなどを用意できるなら、ネットワークドライブにゲームをインストールすることを考えてもいいだろう。むろんこの場合は無線LANではなく、転送速度で有利なギガビットLANでの有線接続が望ましい。
それでは、用意したゲームをプレイしながらそれぞれのセッティングを考えていきたい。基本的には、プレイ感が“もっさり”した感じにならない、60FPSを目指していくのが大前提だ。
定番のFPS表示ソフト「Fraps」のベンチマーク機能を利用して、実際のゲームプレイ中(1分間)のFPS値を測定しながら、“平均がおよそ60FPS”になる地点を目標にゲーム内の設定を変更していった。ただし、操作にシビアさが要求されないシミューレションなどは、FPSにこだわらずグラフィックのクオリティを優先した場合もある。
Super Street Fighter IV Arcade Edition
平均FPS:58.75(最小46〜最大61)
いわずと知れた2D格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズの現行最新作だ。先ほど試した旧作ベンチの「STREET FIGHTER IV ベンチマーク」の結果が良好だったので期待はしていたが、デフォルトからほとんど設定を変えることなく、ほぼ55〜60FPSでのプレイが可能だった。設定はデフォルトのまま「解像度は“1366×768”」で、唯一「VSYNCを“OFF”」とした。例外的にウルトラコンボの演出時のみ(特にフィニッシュのとき)やや重くなることがあったが、プレイには支障ないレベルだ。
Terraria
平均FPS:58.667(最小57〜60最大)
さきごろPS3にも移植されてヒットした、やりこみ系の2D探索アクション。完全に2D視点のアクションゲームなので、何も考えずにサクサク動くだろう……と思いきや、解像度を上げたぶんだけ視界が広がって描画オブジェクトが増大していくためか、高解像度になるとかなりFPSが下がってしまう。60FPS維持にこだわるなら「解像度を“1366×768”」に(Qualityは“AUTO”のまま)。もう少し視界が広いほうがいい、という場合は「解像度を“1600×900”」にしてもいいだろう。この場合は平均45FPSぐらいになった。
Mark of the Ninja
平均FPS:60.133(最小59〜最大61)
ぬるぬる動く軽快なアクションが心地いい2Dスタイルの隠密忍者アクションゲームで、演出のテンポも小気味よい秀作だ。グラフィックの描画は軽めだが、一定以上に解像度を上げるととたんに処理が重くなり、FPSがガクンと落ち込んでしまう少しクセのある動作をする。「解像度を“1280×720”」にすれば、60FPSをキープしたまま快適にプレイできた。
Torchlight
平均FPS:71.467(最小58〜最大83)
古くは「Diablo」から連なる、いわゆる「ハック&スラッシュ」系の見下ろし型アクションRPG。今回試した中では最も動作が軽快だったタイトルで、「Antialiasing(AA)を“OFF”」にすれば、他のオプションはすべてオンのまま、フルHD解像度でも楽に60FPSをクリアした。
Orc Must Die!
平均FPS:60.217(最小40〜最大84)
押し寄せるオークを数々の罠で撃退するタワーディフェンス型アクション。怒涛のようにおしよせるオークどもを、考え抜いた罠におびき寄せてハメ殺していくのが痛快だ。TPS(3人称)視点の3Dゲームながら、描画は軽めでサクサク動く。設定は「解像度を“1680×1050”」「描画クオリティを“低”」に。これでほぼ60FPSでプレイできる。オークの大群が密集してくると瞬間的にFPSが下がることがあるが、快適度にはほぼ影響がないレベルだ。
Anno 2070
平均FPS:24.567(最小15〜最大44)
都市建設型の箱庭シミュレーション「Anno」シリーズの最新作で、多くの土地が水没した未来世界が舞台だ。未来都市の描画の美しさが特徴なゲームだけに、グラフィックス設定をなるべく落とさず遊びたい。「解像度を“1366×768”」「Graphic Qualityを“MIDIUM”」をベースに、さらに「Anti-aliasingを“オフ”」とすることで平均FPSは約25程度となった。都市部が画面に入るとスクロールがカクつくが、激しい操作が要求されるゲームではないのでプレイ感はそれほど阻害されない。
Sid Meier's Civilization V
平均FPS:47.467(最小28〜最大62)
シリーズ作のことごとくが大ヒットを成し遂げているド定番の文明発展ストラテジー「Civilization」シリーズの最新タイトル。前作「4」も発表当時は描画が重いゲームとして有名だったが、本作もそれなりに描画能力が要求される。シビアな操作が要求されるゲームではないので、多少FPSを犠牲にして映像クオリティをキープしてみたい。各種設定は「初期設定」のまま「解像度を“1360×768”」「アンチエイリアシングを“オフ”」。ズーム表示を広域にすると描画がモタつくが、そこに目をつぶれば支障なく遊べる。
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