2012年末から、にわかに自作PCユーザーやガジェット好きの熱い視線を集めているのが、“NUC”準拠の超小型PCだ。だが一般的に知名度はまだまだ低く、「マニア注目の一品」の域を脱してはないようだ。規格を提唱したインテル製品以外の競合メーカーが存在せず、“独占市場”になってしまっていたのも一因かもしれない。競争相手が存在しない状態がしばらく続いていたわけだ。
そこに真っ向から挑戦状を叩きつけたのがギガバイトである。2013年の5月に対抗馬としてぶつけてきた「BRIX」は、インテル製NUCキットにほぼ相当する性能と、同じく超小型のボディを採用する、いわば“ガチンコの競合製品”となっている(ちなみに、ギガバイトでは本製品を「NUC」とはうたっておらず、独自のフォームファクターと位置づけている。バックパネル形状にも互換性はない)。こちらは製品ラインアップが充実しているのも特徴で、現時点では搭載CPUの差異により計4バリエーションを取りそろえている。
今回触れることができた評価機は、インテル製NUCのラインアップには存在しない“死角”といえる、Core i7搭載の最上位モデル「GB-XM1-3537」だ。“超ミニ筐体にCore i7乗せてみた”というこの組み合わせ、果たしてどう使い倒してやるべきか? そこのところを、ねっとり検証してみたい。
それではさっそく、編集部から届いたブツをチェックしてみよう(ごそごそ)。おっ?と小さく驚く。外箱の時点ですでにかなり小さいことが分かる。500ミリリットルのペットボトルを横に2本並べたほどの体積しかない。
「ほんとにPC入ってんの?」と開封すると、さらにミニマムな本体が顔を出した。“手乗りPC”という表現も誇張ではないコンパクトさで、本体サイズは107.9(幅)×114.6(奥行き)×29.9(高さ)ミリ。CDケースを上に置くと、完全に本体が隠れてしまうサイズだ。フットプリントはインテル製NUCキット「DC33217IYE」とほぼ同等だが、厚さは約9ミリ薄い。まずは先取点、というところだ。
パッケージには、本体に加えてVESAマウント用のキットと、ACアダプタ(出力19ボルト/3.42アンペア)が付属していた。評価機ではACアダプタに付属しているコンセント側のケーブルが海外仕様(丸型の2穴タイプ)となっており、そのままでは接続ができない。これについては汎用の国内用ACアダプタケーブル(3ピンの、いわゆる“ミッキータイプ”に接続できるもの)を代用することで、あっさり解決できた。
重量を計測してみると、本体は約390グラム(メモリ/SSD含む)、ACアダプタは約210グラム。両方あわせても、およそ600グラム程度しかない。
本体の背面には冷却用のスリットが設けられている。CPU冷却ファンの排気口となっているので、ここを塞がないよう注意したい。アイドル動作時にはファンの音はあまり感じないが、負荷がかかるとブロワー型ファンがフル回転し、やや甲高い排気音が耳に付くので設置場所は一考が必要だろう。天板は光沢感のあるピアノブラック仕上げのスマートな外観で、電源ボタンにはブルーLEDを内蔵している。
接続インタフェースは、前面にUSB 3.0×1、背面にはUSB 3.0×1とギガビットLAN、および映像出力としてHDMI×1、Mini DisplayPort×1を搭載している。ミニ筐体ゆえの物理的な宿命で、接続インタフェースが限られている点には注意が必要だ(これが後々、ボディのように効いてくるのだが……)。
四隅をネジ止めされている底面パネルを開くと、本体内部にアクセスが可能で、メモリスロット(DDR3 1333/1600MHz対応SO-DIMMスロット×2、最大16Gバイトまで対応)と、mSATAスロット×1を利用できる。またMini PCI Express接続型の無線LANカードも標準で内蔵している。シャドーベイなどは備えていないので、必然的にmSATAスロットにOS導入用のSSDを装着する、という使い方になるだろう。外付けHDDを用いたくないなら、あらかじめ大容量のSSDをチョイスしておきたい。装着可能なSSDのサイズ(長さ)に制限がある点もインテル製NUCと同様だ。
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