Ivy Bridge-Eの最上位「Core i7-4960X Extreme Edition」を徹底検証22ナノ初の6コアCPU(1/3 ページ)

» 2013年09月03日 16時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

32ナノの「Sandy Bridge-E」から22ナノの「Ivy Bridge-E」へ

Core i7-4960X

 インテルのメインストリーム向けプラットフォームはLGA 1150へと移行しているが、ハイエンド向けにはLGA 2011が存在する。ここに「Ivy Bridge-E」(開発コード名)コアの製品が登場した。最上位のExtreme Editionとして投入された「Core i7-4960X」を取り上げ、ハイエンドプラットフォームにおけるIvy Bridge化の効果を検証していこう。

 まず、LGA 2011に対応した従来の最上位CPUである「Core i7-3960X」について説明しておこう。Core i7-3960Xのコアは、Sandy Bridge-E(開発コード名)と呼ばれ、LGA 1155プラットフォームのSandy Bridgeコアをベースとした6コア/12スレッド対応の派生CPUである。そして今回のCore i7-4960Xは、Ivy Bridge-E。これも同様に、LGA 1155プラットフォームのIvy Bridgeをベースに6コア/12スレッド対応とした派生CPUだ。

 なお、メインストリーム向けプラットフォームは、すでにLGA 1150に対応するHaswell(開発コード名)が登場している。つまり、ハイエンドプラットフォームは、まるまる1世代古いアーキテクチャが使われているということになる。

 LGA 1366のころのハイエンドプラットフォームは、メインストリーム向けプラットフォームに先んじていたこともあったが、現在はこのようなスタンスに落ち着いている。ただ、Sandy Bridge-Eもここまで遅れてはいなかった。戦略上、ということもあるし、あるいは製造上、開発上の理由など、さまざまな理由が考えられるが、実際のところ、インテルが何か口にしないことには分からない。

 さて、Sandy Bridge-EとIvy Bridge-Eを、Extreme Editionで比較してみたのが下記の表だ。

製品名 Core i7-4960X Core i7-3970X Core i7-3960X
コードネーム IvyBridge-E SandyBridge-E SandyBridge-E
コア数 6 6 6
スレッド数 12 12 12
定格クロック(GHz) 3.6 3.5 3.3
ターボ時クロック(GHz) 4 4 3.9
L1キャッシュ(KB) (32+32)x6 (32+32)x6 (32+32)x6
L2キャッシュ(KB) 256x6 256x6 256x6
L3キャッシュ(MB) 15 15 15
製造プロセス 22 32 32
TDP 130 150 130
DDR3メモリ 1866 1600 1600
チャネル数 4 4 4
ソケット LGA2011 LGA2011 LGA2011

 基本的な点として、6コア/12スレッドという点に変更はない。サーバ向けのLGA 2011プラットフォームではSandy Bridge-EP(サーバ向けコアの開発コード名)のころから8コア/16スレッドの製品が登場していたが、コンシューマー向けハイエンドプラットフォームにはまだ投入しない方針であるようだ。

 また、最も大きな違いとしては、22ナノメートルプロセス化が挙げられる。Sandy Bridgeは32ナノ世代であるのに対し、Ivy Bridgeは製造プロセスを1世代進め、同時に3D Tri-Gate技術も採用している。つまり、同じ数のトランジスタを用いた場合において、ダイの面積を小さくできることになる。

 この点からも、コア数を増やすことは不可能ではなかったものと考えられる。しかし実際には6コア/12スレッドのままだ。また、ダイ面積の余裕という点で、LLC(ラストレベルキャッシュ)の増量という手法も検討できるところだが、仕様を見てみると、15Mバイトのまま変わっていない。

Core i7-4960XをCPU-Zからみた情報。Core i7-3960Xからの大きな違いは製造プロセスとクロック倍率。なお、コア電圧も若干引き下げられているようにみえる

 スペック的に変更があったのは動作クロックだ。コアクロックは3.6GHzに引き上げられ、Turbo Boostによる最大クロックは4GHzに設定されている。この点がちょっと面白く、Core i7-3960Xと比べると、コアクロックは300MHzアップしているのに対し、Turbo Boost時のクロックは100MHz増と、さほど向上していない。それだけクロックの引き上げが難しいということか、消費電力、つまりTDPによる制限なのか、あるいは、マーケティングによるものか、理由はいくつか考えられるが、おそらくサーバ向けIvy Bridge-Eの仕様がヒントになるものと思われる。

 22ナノメートルプロセス化の恩恵とみられるのがTDPだ。Core i7-4960XのTDPは130ワットとされ、ほぼ同じクロックで動作するCore i7-3970Xの150ワットというTDPからすると改善が見られる。

 CPU自体は、LGA 2011のままであるため、表面やヒートスプレッダ側の形状には変化がない。あえて違いを言えば、表面の刻印が大きく見やすくなったくらいだが、評価用CPUはエンジニアリングサンプルであり、製品版の刻印とは異なる可能性がある。

 裏面もボールのグリッドアレイに変更はない。ただし、チップコンデンサの配列はかなりシンプルになっている。シンプルになったからといって、全体の容量が減ったとは考えられないが、外見上の大きな違いではある。

Core i7-3960X(左)とCore i7-4960X(右)の表と裏。表面では刻印の文字が大きくなっているが、製品版でどのようになるかは実際に確認しないことには分からない。裏面ではコンデンサのレイアウトが変わっている

 マザーボード側の対応だが、LGA 2011のままであるため、基本的にはLGA 2011プラットフォーム投入当初の製品でも対応できる。ただし、最新BIOSへの更新や、Intel MEの更新などは必要とされる。この点、マザーボード製品のサポートページで確認しておくのがよいだろう。今回の検証でもこれらを実行し、最新の状態としたうえで計測を行った。

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