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ケビン・ベック氏に聞く、最新世代ThinkPadの「知られざる技術と工夫」今使っているそのPC、「“信頼”できますか?」(2/3 ページ)

» 2013年11月01日 17時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

内部部品を守る衝撃吸収へのこだわり

ITmedia そちらはHDDのマウントでしょうか。

photophoto HDDマウントも現世代(左)と旧世代(右)でかなり変更された

ベック氏 はい。前世代(CS09)までのThinkPadは、HDDに金属製シールドをネジ止めし、左右からゴムで挟んで保護する構造としていました。ゴムは適度な厚みとクッション性があり、見るからに安心感があるのですが、それだけ厚みが必要です。

ITmedia この構造では20ミリ厚以下の薄型モデルは少し難しそうですね。

ベック氏 ええ。だからといってHDDの保護を諦める考え方は大和研究所にはありません。新世代のThinkPadは「エラストマー」と呼ぶ特殊なゴム素材を加工し、HDDのマウントの固定と衝撃吸収を兼ねるよう改良し、薄型化と保護性を両立しました。

ITmedia どのくらい薄くできたのでしょう。

ベック氏 厚さはマイナス1.6ミリ(−13%)、重量も17.1グラム(−73%)の薄型軽量化を果たしています。また、同じ試験でHDDへの衝撃も43%削減、結果としてそれを要因とするHDD故障率も80%減らせる結果が出ています。

ITmedia 衝撃吸収といえば、底面のゴム足も形が変わりましたね。

ベック氏 ThinkPadにはHDDマウンタのほかにも、内蔵する加速度センサーで振動や衝撃を検知する機能、ソフトウェア「ハードディスク・アクティブプロテクション・システム」を実装しており、落下などの際には瞬時にHDDを停止することで故障を予防します。また、HDDの故障は加速度センサーが作動するようなはっきりした落下だけが原因となるとは限りません。机にバタンと音がするくらい乱暴に置いたり、何かをぶつけたり、普段の使用においても小さな振動や衝撃がかかる場面はたくさんあります。先ほどお話した会社支給PCだとなおさら……。そういう小さな振動や衝撃の繰り返しは部品寿命を短縮させ、その蓄積が故障につながります。

ITmedia 確かに。ITリテラシーの高い人はあまりしないでしょうが、会社PCであればそういう方ばかりでもありません。

ベック氏 そういう振動や衝撃の影響を最小限に抑えるため、ゴム足にもとてもこだわっています。これまでの世代のThinkPadには、ネコの肉球をヒントに、硬さの異なるゴムを組み合わせて2段階に衝撃を吸収する仕組みとしていました。

photophoto 底面のゴム足も最新世代のThinkPadで刷新。左が旧世代、右が新世代のゴム足。新世代のものは内部に空気が充填された仕様となっている

ITmedia 最新世代では棒状に形が変わりました。

ベック氏 そうなのです。ThinkPadシリーズは熱帯から寒冷地まで世界中で使われていますが、気象条件によってゴムの硬度が変化し、衝撃吸収効果が変わるという報告がありましたので改良しました。最新世代は「内部に空気を充填したエアポケット」を設ける仕組みに変更し、気温による効果の変化を最小限にとどめることに成功しました。衝撃吸収効率も従来のものと比べて5%ほど向上しています。

ITmedia エア・ジョーダン(古!)を履いているようなモノなのですね。なるほど。

メンテナンス性への配慮も健在

ITmedia そういえば底面パネルには、メモリソケットなどにアクセスできるメンテナンス用の小カバーがなくなりました。

ベック氏 ThinkPadにはメンテナンス性に対するユーザーニーズも多分にあります。ThinkPad X240系、T440系含め新世代のThinkPadシリーズは、8本のネジを外すと底面カバーごと外れる仕組みとしました。利便性は損ねず、より薄型化を推進するための工夫です。

photophoto 最新世代では、底面カバーごと外して内部へアクセスできるようにした(写真はThinkPad X240s)

ITmedia 8本ほどならそれほど手間でもありませんね。しかも“Captured”仕様なので安心です。

ベック氏 ただ、ThinkPad X240、T440系は「デュアル(2)バッテリーフォームファクタ」を採用し、内部にバッテリーを内蔵しています(X240、T440系は1つ、X240sは2つ)。安全性の確保のため、カバーに開閉センサーを設け、カバーが空いたことを検知するとバッテリーの接続が切れるようになっています。

ITmedia 自分でメンテナンスをしたいユーザーにとっては安心の工夫ですね。

ベック氏 実はそれだけではありません。大和研究所のスタッフは面白いことを考えました。せっかくコストをかけて開閉センサーを取り付けるのだから、ほかにもベネフィットが欲しいと。そこで考案されたのが、起動時間の短縮です。カバーが開けられていないということはハードウェア構成に変更がないということですから、POST(Power On Self Test)をスキップできるわけですね。これにより、POST時間分の22%を短縮することができています。

photo キーボードの防滴性能は、周囲を封止する工夫で高められた

ITmedia 確かに合理的ですね。このほか、防滴性能も向上しているようですが。

ベック氏 最新世代のThinkPadシリーズは、防滴性能を200ミリリットルから500ミリリットルに向上させています。以前はキーボードユニットを上から装着する設計でしたが、現在はキーボードを下から固定する構造に変えたので、その周囲を封止することで性能を高められました。フレキシブルケーブルにもさらなる予防のためにカバーを付けていますが、これはケーブルの経年劣化、摩耗対策の保護も兼ねています。


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