| ココが「○」 |
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| ・第4世代Core搭載で防水・防じんボディ |
| ・本体に収納できる筆圧対応の防滴ペン |
| ・利用シーンを広げる3つのスタイル |
| ココが「×」 |
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| ・着脱式キーボードの収縮機構と重量 |
| ・第4世代Core U搭載機では性能が控えめ |
| ・スタミナや放熱はBay Trail-Tより不利 |
「ぼくのかんがえた、さいきょうの、つーいんわんでばいす」――そんな言葉が思い浮かぶ(もちろん、いい意味で)、実に挑戦的な12.5型の2in1デバイス「ARROWS Tab QH77/M」が富士通から登場した。
何しろ、Haswellこと第4世代Core(しかも最も省電力な「Y」シリーズではなく、通常のUltrabook向けである「U」シリーズ)と冷却ファンを内蔵していながら、防水と防じんに対応したタブレット本体、着脱式のキーボードによりノートPCとしても利用できる2in1構成で、ワコムの筆圧ペンまで標準装備し、さらに別売のクレードルとつなげば性能と拡張性が向上してデスクトップPCの代替までこなす。
こうした特徴を列挙していくと、冒頭の言葉もあながち冗談ではないと思えてくるだろう。キーボード付きでUltrabookに準拠した製品だが、富士通のノートPCブランド「FMV LIFEBOOK」ではなく、タブレットブランド「ARROWS Tab」に属することから、タブレットとしての利用に重きを置いていることが分かる。
もちろん、性能と機能を追求すると、タブレットとしてもモバイルノートPCとしても厚さや重さが増し、放熱設計にも無理が生じるため、全体として中途半端な製品になりがちだが、このQH77/Mはどのようなバランスの製品として成り立っているのだろうか。その実力をじっくりチェックしていこう。
まずは写真とともにARROWS Tab QH77/Mの概要を見ていく。

タブレット単体での本体サイズは309.6(幅)×199.3(奥行き)×11.9(高さ)ミリ、重量は約980グラム(実測値は967グラム)。防水・防じんのボディにCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)と冷却ファン、12.5型フルHD液晶ディスプレイを搭載しているため、このサイズになる。液晶ディスプレイは、10点マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネルと、1024段階の筆圧検知に対応したワコム製の電磁誘導式デジタイザも備えている。画面下のWindowsボタンはタッチセンサー式で、押すと振動する
1920×1080ドット表示の12.5型ワイド液晶ディスプレイを搭載(写真=左)。表面に傷や衝撃に強い高強度ガラス「Dragontrail」を貼り付けてある。ガラス表面は光沢で、他の標準的なタブレットと同様、映り込みがある。ブラックで統一された背面は、左側にNFCポートとスライド式の指紋センサーを装備(写真=右)。内蔵カメラは前面が有効約200万画素、背面がカメラライト付きで有効約500万画素だ
付属のスリムキーボードは、キーピッチが約19(横)×18.5(縦)ミリ、キーストロークが約1.7ミリと余裕があるサイズだ(写真=左)。タッチパッドも92(横)×54(縦)ミリと十分な広さがある。ヒンジ部の左にはタブレット本体のイジェクトボタンを用意している。背面のデザインもシンプルにまとまっている(写真=右)。背面のパネルは中央付近から2つに分かれており、奥側のパネルは後方にスライドしてスタンド代わりになる仕組みだ
スリムキーボードはタブレット本体に合わせた専用設計だ(写真=左)。タブレット本体をスリムキーボードのヒンジ部にグイッと差し込むと合体でき、クラムシェル型ノートPCのスタイルとなる(写真=右)。取り外す際はヒンジ部のボタンを押して、タブレット本体を引き抜けばよい。スリムキーボードの重量は実測で670グラムあり、合体時の総重量は約1.67キロ(実測で1.636キロ)、サイズは309.6(幅)×212.7(奥行き)×20(高さ)ミリとなる
タブレット側がキーボード側より重い設計のQH77/Mでは、液晶を開いた際に自重で後方に倒れないよう、スリムキーボード底面の半分ほどをスライドさせて引き出し、スタンド代わりにして使う必要がある(写真=左)。合体時に液晶ディスプレイのチルト角度は150度程度まで大きく開くが、この状態でも後方に倒れることはない(写真=右)
付属のACアダプタは、サイズが32(幅)×135(奥行き)×29(高さ)ミリ、電源ケーブル込みでの重量が233グラム(いずれも実測値)と、モバイル向けのUltrabookでは標準的なサイズだが、スティック型で持ち運びやすい(写真=左)。容量46ワットアワーのバッテリーを内蔵し、駆動時間は本体のみで約16時間、スリムキーボード接続時で約13.5時間としている。純正オプションとして、拡張性とパフォーマンスを高める「ターボモード用拡張クレードル」(実売価格1万500円前後)も用意している(写真=右)
標準状態のデスクトップ画面(写真=左)。12.5型フルHD液晶は画素密度が約176ppiとなり、Retina級の細かさではないが、電子書籍の雑誌で細かい文字を表示するようなケースを除き、通常の視聴距離でドットが気になることはなく、十分な精細さといえる。スケーリングは125%の拡大表示に設定されており、文字やアイコンの視認性も問題ない。デスクトップのタスクバーには、ウィンドウや任意のアプリを指定したレイアウト通りに整列できる「ぴったりウィンドウ」や「お気に入りウィンドウ」といったユーティリティも登録してある(写真=右)
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