冒頭で述べた通り、本体サイズは後方のバッテリー部分に厚みがあるが、液晶ディスプレイが狭額縁設計になっており、フットプリントは13型クラスの画面を搭載するノートPCとしては小さく、コンパクトで扱いやすい印象がある。重量はDVDスーパーマルチドライブ搭載時で約1.59キロ、軽量化できるベイカバー搭載時で約1.48キロと、軽量化を優先した設計ではない。
もっとも、バッテリーが張り出している液晶ディスプレイのヒンジ側に重心が偏っているため、ヒンジ側を持つと数字から受けるイメージほどの重さは感じない。ヒンジ側は持ちやすさを意識して丸みを持たせたデザインとなっており、ホールド感も良好だ。さすがに1キロを切るような超軽量軽量の製品とは比べられないが、時々持って歩くくらいならば十分許容範囲内だろう。
持ち運び時の耐久性にも配慮されている。キーボードベゼル/パームレスト部は独自の「超圧縮ソリッドコア」構造の採用により、剛性感の高いソリッドな仕上がりだ。約200kgf(重量キログラム)の天板加圧試験、約35kgfの天板一点加圧試験をクリアしているという。ただし、ベイカバーを装着した場合は、このベイカバー部分が少々頼りない印象がある。持ち歩く際は、ここを持たないほうが無難だ。
13.3型ワイドの画面はIGZO液晶ディスプレイを採用し、2560×1440ドットの超高解像度表示に対応する。画素密度は221ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)と高く、画面から10〜15センチくらいまで目を近づけてもドットを視認できず、Windows 8.1のスタート画面や写真、映像などのコンテンツを精細に美しく表示する。
高精細というだけでなく、明るく鮮やかで視野角もかなり広く、ユーザー体験を大きく引き上げることに貢献している。
2560×1440ドットでは、1920×1080ドット(フルHD)の約1.8倍も多くの情報を1画面に表示できる。この情報量を生かすため、複数ウィンドウをさまざまなパターンで簡単に整列表示できる「高精細ユーティリティ」がプリインストールされている。複数のWebページを見比べたり、PDFで資料を参照しながら文書をまとめたりしたい場合に便利だ。
もっとも、13.3型という画面サイズを考えると100%の等倍表示(OS標準の96dpi)ではデスクトップのテキストやアイコンのサイズが小さすぎて見づらいという方も少なくないだろう。そのため、SH90/Mでは初期状態で200%の拡大表示に設定されている。
ただし、これは結構大きめな表示なので、125%あるいは150%の拡大表示に設定し直して使うと、精細さと情報一覧性のバランスが取れる印象だ。
画面には10点マルチタッチに対応した静電容量式のタッチパネルも搭載しており、画面に直接触れて操作できる。タッチの精度、指の滑りも上々で、タッチでの操作もストレスがなく快適だ。
右側面のモバイル・マルチベイには、標準でDVDスーパーマルチドライブが内蔵されているが、底面のロックを外せば簡単に引き出すことができ、付属のベイカバーに加えて、オプションで用意されている増設用バッテリー、増設用HDDユニット、モバイルプロジェクターユニットと交換して使うことが可能だ。
携帯時はベイカバーで本体を少しでも軽くしたり、長時間駆動を優先して増設バッテリーを装着したりできるほか、机上で使う場合は、HDD容量や光学ドライブの利便性を取るなど、状況に応じてフレキシブルな運用が可能だ。モバイル・マルチベイによって、SH90/Mの利用シーンはかなり幅広いものになっている。
また、最近のモバイルノートPCでは省かれがちなアナログRGBや有線LANの端子を装備していたり、メンテナンス性が確保されている点も大きな特徴だ。底面の標準バッテリーはカートリッジ式で容易に着脱できる。別売で交換用のバッテリーも用意され、複数のバッテリーを入れ替えて使ったり、万一トラブルがあった際に予備のバッテリーと迅速に交換できるのは強みだ。
底面にはメモリスロットにアクセスできる小さなカバーが用意され、メモリの交換が容易に行えるのも見逃せない。標準構成の4Gバイトメモリはオンボードの2Gバイトと、2GバイトのSO-DIMM(PC3L-12800)で構成されており、標準の2GバイトSO-DIMMを外し、8Gバイトを増設することで、最大10Gバイトまで対応できる。
こういったメンテナンス性は、数年前のモバイルノートPCならば標準的に備えていたものだが、最近では薄型軽量化のために省かれている製品が多い。ユーザーによる部品交換はメーカー保証の範囲外となるものの、保証期間より長く使い倒したいユーザーにとってはありがたい仕様だ。
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