iPhone/Android/PC用ゲーム「Shufflepuck Cantina Deluxe」のOculus Rift対応デモ。異星人たちの集う酒場でエアホッケーに興じる。エアホッケーのエフェクト、スコア表示もさることながら、酒場のカウンターに腰掛けてバーテンダーと客のやりとりを眺めているだけで楽しい。カンティーナ・バンドが聴こえてきそうな雰囲気にどっぷりと浸ってしまう。
懐中電灯を向けながら暗闇を歩くホラーゲーム。視線の先だけがほのかに明るく灯るものの、とかく暗闇はそれだけで怖いという原始的な感覚を思い出させる。ホラー映画を見ることとお化け屋敷に放り込まれることの違い。ホラーゲームはOculus Riftに移植するだけで恐怖感は数十倍増し。しかもこの恐怖感を他人と共有できない孤独感……。Youtubeに上がってるプレイ動画を見れば、ホラーゲームとOculus Riftの相性のよさがよく分かる。
Rift Coasterはジェットコースターを体験できるデモだ。扇風機で顔に風を当てるとより臨場感が増す、と評判。高速で疾走するジェットコースターはふわりと浮かび上がる感覚、Gを横に受ける感覚が生々しく再現される。視覚による感覚の補完の強力さを思い知らされる。
おそらく、自分自身の感覚の記憶が呼び覚まされるのだろう。ジェットコースターに乗ったことのない子供に体験してもらったところ、まったくそういう反応は見られなかった。
今まで初音ミクはさんざんディスプレイ上で眺めてきた。だが、そこに「大きさ」を感じたことはあっただろうか。
もちろん、背景と比較してこれくらいの大きさ、と推測することはできる。だが、それはあくまでも「モニタの中」の話だ。アニメのキャラクタ身長比較表を見て「でけぇ!」などと思っても、そういう知識として思うだけで、「ぐるぐるメガネのオタク女がこんなにでかいわけがない」と実感することはまずない。
だが、Oculus Riftは違う。“そこ”にあるオブジェクトは限りなく現実に近い。初音ミクは(もちろんモデルによって違いはあるが)ものすごく華奢で、ウエストなんて50センチないくらい、というのが実感として分かるのだ。あざといなさすがLat式あざとい。
これはやばい。2次元と3次元の区別がついていないとか、筆者のパーソナリティに起因する問題ではなく(と信じたい)、「やあ、今まできみたちのことを2次元だと勘違いしていたよ」と思ってしまうくらいの錯誤感だ。クオリアである。Oculus Riftで観測することで初めて収束する世界がそこにあったのだ。あざといなさすがあぴミクあざとい。
これはまずい。観測しなければ存在しない、初音ミクの実在する世界。そこには遠くはるかなる記憶の中の教室、誰もいない放課後の教室――ただ1人、じっとこちらを見つめたまま踊る初音ミクの笑顔。観測しなければ彼女は存在できない。だから、彼女のために、彼女のいる世界のために私は観測し続けなければならないのだ!!
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