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» 2014年02月25日 12時45分 公開

SOHO/中小企業に効く「NAS」の選び方(第3回):NAS選びに失敗しないための3大チェックポイント (2/2)

[山口真弘,ITmedia]
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高信頼性HDDの導入

 もう1つのトレンドは、HDDの信頼性向上にまつわるものだ。大事なデータを保管する以上、HDDは一定の信頼性があって当然なのだが、実はここ1〜2年でトレンドががらりと変化したのがこの分野である。その理由は、NAS利用に適したHDDが採用されるようになったことだ。

 これまで多くのNAS製品に使われていたHDDは、一般的なPCに使われている内蔵HDDと基本的に同じだった。これはつまり、24時間365日の連続運転を想定しておらず、例えば1日に8時間、週に5日の利用といった利用環境しか想定されていないことを意味する。それゆえ、NASのドライブとして電源を入れたまま長時間運用していると、想定外のトラブルが発生しかねないという問題があったわけだ。

ウエスタンデジタルジャパンのNAS向け3.5インチSerial ATA HDD「WD Red」

 そこに取って代わるようになったのが、ウエスタンデジタルジャパンの「WD Red」に代表されるNAS用に設計された長寿命HDDだ。これらは24時間運転やRAID環境を想定して設計されているうえ、振動対策や低消費電力といった特性を備えており、まさにNAS向きのドライブといえる。あるメーカーでは、これらのドライブを従来と同じモデルに採用することで、初期不良が激減したという。従来のデスクトップ向けHDDと比べて、それほどの違いがあるわけだ。

 サーバ向けの上位製品ともなると価格は一般向けHDDの数倍に跳ね上がるが、WD Redのような普及クラスの製品であれば、せいぜい何割増しで済むことから、いまや各社がこのタイプのHDDをこぞってNASに採用し始めている。アイ・オー・データ機器のNASなどは、今やすべてのNASにWD Redを採用しつつあるほどだ。

 今から新たに購入するのであれば、予算が許す範囲で、このWD Redや、シーゲイト・テクノロジーの「NAS HDD」、また価格はやや上がるがサーバ向けに作られたニアラインHDDを搭載した製品をチョイスするのがよいだろう。

障害の通知

 NASは壊れないことが大事なのは当然だが、内蔵するHDDは消耗品といわれるため、故障時にどれだけ業務を止めずに復旧できるかが重要なのは、先に述べた通りだ。その前段階として、致命的な状態に陥る前に、そのことを管理者に通知する方法も重要になる。

 例えばNASをRAID 5で構成している場合、4台のドライブのうち1台が壊れてもデータアクセスには支障がないが、2台目が壊れると復元できなくなってしまう。それゆえ1台目が故障したら速やかにドライブを交換してリビルドを実行する必要があるが、「まだアクセスできるから急がなくて構わないだろう」と復旧を後回しにしていて、そのうち2台目が壊れてデータがすべて失われてしまうケースは、メーカーによると意外に多いそうだ。

 突き放した言い方をすると、ある意味で管理者の自業自得だが、こうした事態を減らすべく、NASにはさまざまな障害通知方法が用意されている。最もベーシックなのは、NAS本体の液晶パネルによる情報表示だ。ステータスを表示しつつ、エラーが出たらその詳細を表示してくれる。液晶パネルを備えていない製品では、LEDの点滅パターンで通知するものもある。

 もっともこれは、NASの液晶パネルを目視する習慣がなければまったく気づかないので、NAS自体がサーバールームに押し込められていたり、あるいは前述の遠隔地バックアップのように設置場所そのものが別の事業所だったりすると意味をなさない。

 こうした場合に有用な、もうワンランク上の通知方法といえるのが、メール通知だ。多くのNASでは、ステータス異常が発生した際に管理者宛にメールで通知してくれる機能を備えている。これを活用することで、障害発生の情報を限りなくリアルタイムに近いタイミングで受信できるというわけだ。プロバイダは限られるが、メール以外にSMSでの通知が可能な製品もある。

 これなら遠隔地のNASについてもステータスが的確に把握できるので、全国津々浦々の営業所や販売店に設置したNASの障害をいち早く察知することも可能だ。送信先をケータイメールなどにしておけば、それこそ24時間モニターできる。ただし言うまでもないが、メールを受信したまま何の対策も取らなければ、みすみす障害を引き起こしてしまうことになるので、運用方法はきちんと策定しておく必要がある。

アイ・オー・データ機器が提供する「NarSuS」の仕組み(同社の製品情報ページより引用)

 もう1つは、一部のメーカーが採用している障害通知サービスを利用することだ。例えばアイ・オー・データ機器の「NarSuS(ナーサス)」という仕組みでは、NASのステータス情報をクラウドに集め、異常が発生すれば登録したユーザーに対してメールで通知してくれる。

 NarSuSは一見するとNASが発信するメールアラートと大差ないように思えるが、障害の対処方法が明確に示されていたり、機器が壊れると一緒に失われてしまう過去のイベントログがクラウドで照会できるなど、従来のメールアラートとは一線を画するサービスとなっている。


 以上、NASを選ぶ際の重要なポイントについて見てきた。次回はNAS編の最終回ということで、具体的なおすすめ製品を、松竹梅の3つのグレードに分けて紹介していく。

※最終回の前に、NASの搭載OSについて説明する記事を掲載しました(2014年3月3日20時30分追記)

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