こういった仮想化の考え方は、コンピューティングのスタイルとしては別段新しいものではない。しかし、オフィスで一般的なPCのようなクライアントではなく、グラフィックス/CADツールを扱う高性能なワークステーションということになると、そう話は簡単ではない。いくらデータセンターのリソースを活用できるといっても、クライアント側でも描画結果のリアルタイムでの正確な再現ができなければ話にならない。クリエイター/エンジニアがストレスなく作業できるレスポンスも求められる。
何より、ミッションクリティカル性が半端ではない。ワークステーション、および使用するエンジニアの作業効率は企業の収益に直結し、ワークステーションで作成されるコンテンツは企業の財産そのものである。「万が一」があってはならず、それゆえに保守的にならざるを得ないという事情もあった。
パフォーマンス、ソフトウェアの互換性、再現性、ミッションクリティカルな信頼性の確保と、課題は多い。それらの課題を解決したうえで、さらなるパフォーマンス、ユーザーエクスペリエンスといった付加価値を上乗せして提供しようというのが、Dellのアプローチであり、そのためのソリューションとして「Dell Wyse Data center for Virtual Workstations」を用意した。
データセンター向けのハードウェア(Dell Precision R7610 rack WorkstationsまたはDell PowerEdge R720 rack Servers)、NVIDIA GRID K1/K2グラフィックスオプション、クライアント向けハードウェア、仮想化ハイパーバイザー技術(Citrix XenDesktopまたはVMware Horizon View)などを組み合わせてワークステーションの仮想化に最適なアーキテクチャセットを「リファレンスアーキテクチャ」として規定し、これをベースに導入、管理のコンサルティングなど、使用ソフトウェアやユーザー個別のニーズに合わせて包括的なサポートを行っていくというソリューションだ。
また、仮想化ソリューションの検証施設として「Workstation Virtualization on Center of Excellence(CoE)」をDell本社内にオープンした。
施設内にはリファレンスアーキテクチャに基づいたデータセンター、およびクライアントルームを設置してあり、石油、ガス、メディア、エンターテインメント制作、その他2D/3Dグラフィックスなど、さまざまなアプリケーションの仮想化環境上での評価、検証の機会を、チャネルパートナー、ソフトウェアベンダーに対して提供する。実際に施設を訪れての利用だけでなく、リモートアクセスによる検証も可能だ。
アンディ・ローズ氏は、Dellにはエンタープライズやデスクトップでの仮想化ノウハウがあること、そしてワークステーション事業での実績もあり、ハードウェア/ソフトウェアベンダーとの密接な関係を継続しているアドバンテージがあることを強調。Dellがワークステーションの仮想化トレンドをリードしていくことに自信を見せた。
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